忘却エンドロール

ドラマカテゴリのご紹介

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「悲しみよこんにちは」観た

悲しみよこんにちは
読み:かなしみよこんにちは
原題:BONJOUR TRISTESSE
製作:イギリス・アメリカ’57
監督:オットー・プレミンジャー
原作:フランソワーズ・サガン
ジャンル:ドラマ/ロマンス

【あらすじ】何をしていても晴れることのない悲しみの中にいた少女セシルは、1年前、17歳の夏に想いを馳せる。彼女と父レイモン、そして若い恋人エルザの3人で過ごす楽しい時間に、突如割り込んできた亡き母の親友アンヌ。彼女が母親となる現実を受け入れられず、セシルはある計画を思いつくが…。

ヒロインが気持ち悪いくらいファザコンなんですが、何を着ても可愛くてファッションショーを見てるようでした。ベリーショートの女の子って好きなんですよね。
セピアカラーで始まって、物憂げな表情で太陽と青空がまぶしい去年の夏を思い返すという構成。この時に聞き入ってる曲の歌詞が良かったです。メモでも取ればよかった…観てから感想を書くまで間が空いてしまったので、もうすっかり忘れてます。割と楽しめたのに感想も淡白になってます。
ストーリーは、子供の出来心で済んだはずのものが、周囲にろくな大人がいなかったせいで最悪の事態になったというところでしょうか。
終盤の復讐ともとれる行動にスッキリしちゃった私は性質が悪いかも(笑)
セシルは「~を書かなかったのは私たちに対する優しさ」みたいな解釈をしてたけど、彼女に家族がいれば”家族のため”と解釈するだろうし、彼女には親兄弟はいなかったということかな。
もしそうなら、優しさというよりレイモンの罪悪感を増すためだったのでは。彼女がいい人であるほど効果的な方法ですし。もしくは、衝動に任せただけ?
まあ、この作品はストーリーよりセシルの可愛さを堪能する作品でしょう。読んだ事はありませんが、サガンを一躍有名にしたという原作と同じとは思わない方がいい気がします。

関連記事
「帰らざる河」観ました
「さよならをもう一度」観た(同原作者)

映画「ショーシャンクの空に」観ました

ショーシャンクの空に
読み:しょーしゃんくのそらに
原題:THE SHAWSHANK REDEMPTION
製作:アメリカ’94
監督:フランク・ダラボン
原作:スティーヴン・キング
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】妻とその愛人を射殺したかどでショーシャンク刑務所送りとなった銀行家アンディ。戸惑いつつも刑務所の中で仲間を見つけ、自分の才能を生かしてなんとかやっていく。だが、20年の歳月が流れた時、彼は冤罪を晴らす重要な証拠をつかみ…。

「感涙祭」ってことで、とりあえず鉄板でしょと思って久しぶりに再見したんですが、面白かったものの涙腺には一切来なかったです。…あれ、初見では泣けたんだけどなぁ?
先がわかってるから身構えてしまったのか、それともホルモンバランスのせいか…。
まあ、よくできた話で一瞬も退屈しないし、映画観たなぁという充実感はありましたね。真面目にこつこつやるタイプのアンディをティム・ロビンスが、一緒にいて安心感がありそうなレッドをモーガン・フリーマンがそつなく演じていました。
ほぼ刑務所の中が舞台で顔ぶれもあまり変わらないのに、カラスの成長や図書館の整備、ポスターの女性などの変化によって時の流れを感じられます。
そのなかで、出所したブルックスのエピソードや、新しく入所したトミーのエピソードなどがインパクトあります。淡々と描かれているから、初見ではその顛末にグサっときた覚えが。
こうやって時の流れをしっかり感じられるので、終盤わかるアンディの仕事ぶり、囚人だからこその根気のすさまじさが、こうドーンとくるんですよ。どんなに理不尽な目に遭っても、諦めたらそこで終わりなんだと。
運もあるけど、可能性を現実につなげられたのはアンディが諦めなかったからだし、生涯の友情を見つけることもできたんですよね。ラストの青い空と海が爽やかでした。
最後に「アレン グリーンに捧ぐ」とあってまさか実話?と思ったら、この作品が完成する前に亡くなった監督の親友の名前だそうです。この作品が多くの人の胸に響いたのは、この親友への気持ちが込められていたこともあるのかな。

関連記事
「ミスト」感想
「ゴールデンボーイ」観た(同原作者)
「スタンド・バイ・ミー」観ました(同原作者)

映画「100歳の少年と12通の手紙」観た

 | ドラマ  com(1) 
Tag:フランス 

100歳の少年と12通の手紙
読み:ひゃくさいのしょうねんとじゅうにつうのてがみ
原題:OSCAR ET LA DAME ROSE(OSCAR AND THE LADY IN PINK)
製作:フランス’09
監督・原作:エリック・=エマニュエル・シュミット
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】白血病を患う10歳の少年、オスカー。周りの大人たちが腫れ物を扱うように接する中、デリバリーピザの女主人ローズが見せた遠慮ない態度が彼の心を掴む。院長に彼の話し相手になってほしいと頼まれた彼女は、オスカーを励ますためにある提案をし…。

GyaOで観賞。気になっていた「地上5センチの恋心」の監督(&原作)作品ということで観てみました。
難病ものではあるけどお涙頂戴にはなっておらず、キュートな映像表現とユーモアに溢れた作品になってました。まあ、少年はあまり病気に見えないし(演技は上手いけど)、ちょっと無理があったり無茶しすぎなシーンがあるけど…半分ファンタジーみたいな作品なので。
でも、12日間で生きる意味をみつけ死を受け入れていく少年と、周りの大人たちの変化を描いた哲学作品でもあって、よく覚えてないけど「ソフィーの世界」の読後感と似た印象を受けました。

ややネタバレあり!
ローズの提案で1日を10年と考えて過ごすようになったオスカーは、12日間で人生を疑似体験していきます。それはもう濃密な12日間で、恋や修羅場、結婚。ローズを娘に迎え、両親とは仲直り。死への恐怖を克服し、毎日の美しさに気付き、人生の長さよりも毎日をどう生きたかが大切だと悟ります。
そんな彼の心境の変化を知るために、ローズが毎日書くようにアドバイスした神様への手紙もいい。同じ病院に入院する女の子が手術することになって、自分のことより彼女の無事と健康を祈る手紙にはホロリときました。
一方、愛や優しさを表に出せずにいたローズも、オスカーと接するうちに変化していきます。最初は人生の先輩、母親のような存在だったのが、最後には彼の友人であり娘でもあるという状況に。見方によっては、オスカーとは逆に人生をさかのぼり、なくしてしまったものを取り戻していくかのよう…。
愛する家族にも見せられなかった一面を、彼女が恐れた”病気”の子供に見せるのは、自分と似た匂いを感じたからでしょうか。彼女が語るプロレスのエピソードは「ビッグ・フィッシュ」みたいで、深い愛情と優しさを感じます。
ラストで驚くほど悲しくないのは、彼もローズも幸せを見つけられたからなんですよね。
若干説教臭く感じたり、宗教色が強いと感じる人もいるかもしれないけど、フランス映画好きの人には意外とおすすめな作品です。

映画「ニュー・シネマ・パラダイス」観た

 | ドラマ  com(18) 
Tag:フランス イタリア 

ニュー・シネマ・パラダイス
読み:にゅーしねまぱらだいす
原題:NUOVO CINEMA PARADISO
CINEMA PARADISO
製作:イタリア・フランス’89
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】シチリアの小さな村で生まれ育った映画監督サルヴァトーレ。かつて慕っていた映写技師アルフレードの訃報を聞き、映画館パラダイス座が世界の中心のようだった頃の思い出がよみがえる。彼は帰郷を決意し…。

最初にみたのがこの124分版で、完全版のオンエアがあった時は評判を知らずに喜び勇んで観たらガッカリした記憶があります。で、久しぶりに完全版じゃないこちらがオンエアされたので、また喜び勇んで観ました。
…びっくりするほど感動しなかったです。あれ?
別に退屈したわけではなく、トトとアルフレードの交流なんかは微笑ましくてニマニマしてしまったし、いろんなシーンでノスタルジーを感じたんだけども、それだけだったなぁと。
初見時は感動した気がするのに、いろんな映画を観るようになって感性が変わったのか、それとも完全版によって修復不可能なくらいトトのイメージが壊れてしまったのか…自分でもわかりません。
そんなわけで、わりと冷静に見てしまったので変なところが気になりました。
時代だから仕方ないものの、九九ができずに教師に耳をつかまれて黒板に叩きつけられるシーンは洒落にならないですよね。周りの子が笑っているのが怖い…。
あと、父親の写真が燃えて母親が怒るくだりでは、「缶の中の写真とフィルムが燃えたという事は、妹がランプにフィルムを近づけすぎて火がつき、驚いて缶の中に落とし、蓋を閉じるとか濡れふきんを被せる、水をかけるなどの対処法が思いつかないままに燃え上がる缶を持って外に出たの???」と状況を考えてしまったり。あの子が火のついたものを持って外まで行くとは考えにくいから、母親がパニクって適切な対処が出来なかっただけのような気がする。
また、アルフレードが試験でズルするところは、きっと失明してから後悔したんだろうなぁとか。外の壁に映画を映すくだりでは、2箇所同時に映写できる構造を具体的に知りたいとか。キスシーンフィルムを繋げたのはトトにあげると約束した後なのか、目が見えなくなった後なのか、その時の気持ちと形見として遺すことにした時の気持ちを考えたり。
それと、兵士のエピソードってオチがついてないような…。完全版では最期の日に去った兵士の気持ちについて結論とかでてましたっけ?
「愛のテーマ」は良いとは思うものの、お涙頂戴もののドラマや映画で似たような(影響を受けた)曲が多い気がして、こちらも素直に楽しめなかったです。
一番印象に残ったのはライオンの口が動くシーンですね。幼いトトにはあの映画館自体がファンタジックで夢一杯な場所だったというのが伝わってきます。
あの映画館を完全再現すれば、結構な観光スポットになる気がする(笑)

追伸:後からじわじわ喪失感が…。楽しめなかったことが地味にショックです。

<2018/5/29 再見>

またまた124分のインターナショナル版を見てみました。うん、3年前より素直な気持ちで見られたので、ラストは結構ウルウルきました。
自然と今回はトトの母親に目が行って、お母さんの頑張りっぷりに好感持てました。妹が「もう無駄よ」とあきらめ気味だったのに対して、「知らせなかったら悲しむわ」と何度も何度も電話して。

トトが幼少期の頃は、旦那が行方不明で生活費もままならない状況にあり、映画に夢中なトトに対してもピリピリしていましたよね。でも、アルフレードが映画代に消えたミルク代をバレバレな手品でお母さんに渡そうとした時、お金が必要だという必死さがお母さんの表情に出ていて、本当にぎりぎりの生活、そして精神状態だったんだというのがわかりました。

缶の中のフィルムが燃えたエピソードも、フィルムが自然発火したせいだとわかって、前回の感想でお母さんを悪く見てしまって申し訳なかったなと反省。
トトが映写技師の仕事に就けたのも、故郷を出て立派になれたのもアルフレードがいなかったらきっと違っていたことで、だからこそ冒頭で何度も何度も電話して息子に伝えようとしたんだとわかってしみじみしました。

また、オチのない兵士のエピソード。あれって告白された側が条件を出した場合は、普通はお断りの意味で無理難題を言ってるだけだし、そうでないなら100日間も青白くなるまで放っておく高慢で冷酷な人間だから、どちらにしろ最後の夜にそれに気づいて待つのをやめたということかな?
告白する側が条件を出した場合、「おまえがOK出すまで監視しているぞ」というストーカー行為にしか思えないから怖いだけです。よく彼女はOKしたな(笑)

映画「最高の人生のはじめ方」観た

 | ドラマ  com(0) 
Tag:ロブ・ライナー 

最高の人生のはじめ方
読み:さいこうのじんせいのはじめかた
原題:THE MAGIC OF BELLE ISLE
製作:アメリカ’2012
監督:ロブ・ライナー
ジャンル:ドラマ/ロマンス

【あらすじ】深い悲しみから創作意欲を失った小説家モンテは、甥のヘンリーの勧めで夏を避暑地で過ごすことに。モンテは美しい湖畔にあるキャビンを訪れるが、その隣に住む少女フィンが彼に物語の作り方を教えて欲しいと頼んできて…。

タイトルが「最高の人生の見つけ方」と勘違いさせようという気満々で紛らわしく、もう一つモーガン・フリーマン主演の「素敵な人生のはじめ方」という作品まであるから邦題考えた奴は出て来い!って感じですが、ほっこりできるよい作品でした。
ちなみに原題は「ベルアイルの魔法」でベルアイルは島の名前です。
最初から最後まで劇的なことは何一つ起こらず、登場人物のほとんどが”とても善い人”か”根はとても善い人”で、普通の人は2人しかいないです(笑)
なのでとても地味で印象に残らないかもしれませんが、観ている間はとっても幸せな気持ちになれるかも。
主人公は妻を亡くして絶望し、酒に溺れて早死にしようと考えている”エセ”アル中なんだけども、根は善い人で意外と器用だったりするので、頼られると応えずにはいられません。
傷ついた人や寂しい人がいれば優しい言葉を掛けて寄り添ってしまうお人よしなので、お隣にそんな一家がいたらアル中になってる暇なんてないわけですよ(笑)
フィンという少女が物語の作り方を知りたがり、想像力を開花させる手伝いをするくだりは「テラビシアにかける橋」を思い出して心温まりました。
あとは、障害を持つ少年カールを相棒に任命して友情を育んだり、家の持ち主の飼い犬と心を通わせたり、音楽と物語がラブレター代わりなフィンの母親とのロマンス、両親の離婚で傷つくフィンのお姉さんと母親の確執、寂しがるフィンの妹のために書いた象の物語など、それぞれの交流が静かに優しく描かれます。
お母さんとのロマンスはちょっと疑問だったけども、彼は心の中で踊ったのに、彼女にとっては踊れなかったのが心残りだったとわかるシーンはちょっと切なかった。
モンテが物語を書く気になったのはフィンのおかげなのに、書いた物語が子供向けのお話だったことでフィンがショックを受けるくだりもいいですね。お姉ちゃんの優しさも見られて。
このお姉ちゃんがホント良い人で、カールに対しても妹たちと接する時と同じくらい自然体なところが素敵。
全体的に心温まる作品で、気になったところを挙げるとすれば、子供の前で銃でおどすのはダメだろうって事と、あと邦題はダメ。
未だにこの作品のタイトルが覚えられないよ!(笑)

関連記事
「ア・フュー・グッドメン」観ました
「スタンド・バイ・ミー」観ました

映画「天井桟敷の人々」観ました

 | ドラマ  com(9) 
Tag:フランス 

天井桟敷の人々
読み:てんじょうさじきのひとびと
原題:LES ENFANTS DU PARADIS
製作:フランス’45
監督:マルセル・カルネ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】1840年代パリのタンプル大通り。パントマイム役者バティストは、美しいガランスに恋をする。だが、犯罪者でありながら文才のあるラスネールや女タラシの俳優ルメートル、金持ちなモントレー伯も彼女に夢中だった。一方、座長の娘ナタリーは自分とバティストは結ばれる運命だと信じていて…。

ずっと観たくて、NHKのBSシネマに2回くらいリクエスト出したんですが、先月やっとオンエアがあって期待しながら鑑賞。195分の長編にも関わらず最後まで一気に観られました(最近気を抜くとすぐ寝ちゃうのに!最近って言っても5/31だけど…)
ただ、今回はストーリーよりそれぞれのキャラクターの方に注目してしまったので、感想もそれぞれのキャラクターについて書いていこうと思います。

まず、イラストに描いた古着屋ジェリコがいいんですよね~。
たぶん生まれた時から貧しくて、信じられるのはお金だけで、才能といえば金の匂いを嗅ぎつけて人の心の隙につけ込む事だけ。当然、友達はいないし皆に嫌われていて、孤独で寂しくて虚しくて、でも自分は変えられないから(自分の事も信じられない)、不幸という形でもいいから他人の人生に関わろうとしてる…。そんなふうに見えました。
最初はただ哀しい人だなぁと思ってたんですが、巻き戻してイラスト用のシーンを物色していたら、色んなシーンで登場して「あれ、もしかしてこの人が流れをコントロールしてる?」と思ったり。
コントロールとまではいかないかもしれませんが、おそらく彼らがどのような運命を辿っていくのか予想はついていたんじゃないかな。それを傍観してほくそ笑んでる時だけ、孤独を忘れられるのかもしれません。

次に、ヒロインのガランスがクールで、やっぱり哀しいひとでした。
生きるためにいろんな事をしてきたんだろうけど、いつも正直なんです。でも、それは受け身な正直さであって、自分が何かをしたいという能動的な正直さではありません。
生きるためならモントレー伯との結婚も受け入れるけれど、自分の心は別にあるとハッキリ告げるんですよね。多分モントレーもそれを承知で結婚(偽装結婚 笑)したから、後半の彼女の行動もまったく気になりませんでした。子供もいないし、むしろルールを破って多くを求めたのはモントレーの方だろと。
ただ、こんな女性はカッコいいけども、女優さんが極妻の岩下志麻に見えちゃって…みんな熟女好きなのね(笑)

バチストは男としては頼りないけど(ナタリーと結婚しちゃうし!)、パントマイムの才能は本当に素晴らしくて、彼の舞台だけで一つの作品として観られるんじゃないかという感じでした。
俳優経験のないガランスのために、何も喋らずほとんど動かずに彼女が輝ける役を用意するところが素晴らしい。クスクス笑えるシーンもあって、なおかつ自虐的ストーリーから彼の自信のなさが伺えます。
押しの弱い男と受け身のガランスじゃ、どう考えてもハッピーエンドは無理!

そして、一番カッコいいのが女タラシの俳優ルメートルですね。恋の痛みを知ってそれを演技の糧にする…俳優の鑑です。バチストの事もその才能を認めて尊敬していたし、脚本家になったラスネールの才能も称賛していて、人はともかく才能をみる目はあります。心から舞台を愛してるんでしょう。

一方、世界一の道化役を演じたモントレー伯もね…哀れなくらい間抜けで、イラつく男なのに憎めません。
そんな世界一の間抜けすら羨む自分が道化だと理解してるラスネールさんもよかったですね。いっそ彼女が優雅な暮らしで変わり果てていれば良かったのにという気持ちが切ない!
愚かしいくらいに夢を信じたナタリーも、もう少しバチストという男をしっかり見ていればこんな事にならなかったのかも。これから息子にベッタリな過干渉な母親になりそうで怖いです。

こんな感じで、メインの登場人物たちがみんな個性的で存在感があって、最後までこの物語を堪能できました。原題の意味は「天国の子供たち」だけど、意味がよくわからんなぁ(ウィキペディアに書いてあった!あの一座で天井桟敷の人々をそう呼んでたんだね)。今度再見する時はそこら辺も考えつつ全体のストーリーを楽しみたいです。

関連記事
「嘆きのテレーズ」観ました

映画「列車に乗った男」観ました

列車に乗った男
読み:れっしゃにのったおとこ
原題:L' HOMME DU TRAIN
製作:フランス・ドイツ・イギリス・スイス’2002
監督:パトリス・ルコント
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シーズン・オフのリゾート地。くたびれた革ジャン姿の中年男ミランが列車から降り立ち、ひょんなことから知り合った初老の男マネスキエの自宅に泊まることに。少年に詩の個人教授するだけの平凡な日々を過ごすマネスキエと、流浪のアウトロー・ミランという対称的な2人だったが…。

Gyaoで鑑賞。ベタベタしないふたりの男の友情が、ふっと笑みがこぼれるような可愛らしさとあたたかさを含みながら描かれてました。
もうね、マネスキエが可愛いんですよ!
水がなくて頭痛薬が飲めずに困っていた男ミランを自宅に招くんだけども、さっさと薬を飲んで去ろうとする彼に、話し相手がほしいというオーラを全身で発しつつも、おしゃべりは我慢してほどほどに切り上げるところとか。結局他に泊まるところがなくて帰って来た彼を、ウキウキしながら一番いい部屋に案内するところとか。冒頭から見ててニヤニヤしちゃいました。
他にも、こっそり彼のジャケットを着て、鏡の前でワイアット・アープごっこをする姿は胸キュンだし、ピアノを弾きながら「わたしは刺繍以外なら、20世紀初頭の女性の教養は身につけている」とか、床屋で「出所直後とスポーツ選手の中間みたいな髪型にして」とか、銀行で「一度でいいから銀行を襲ってみたい」と言って周りをギョッとさせたりと、とにかく可愛いくて面白いおじいちゃんなんです。
これだけ並べると最初に書いた”ベタベタしない友情”ってのが嘘っぽいかもしれないけども、基本的にマネさんが一方的に話しかけたりしてるばっかりで、ミランが心を開いた頃にはマネさんも落ち着いてきているので(笑)、描かれる友情はホントさらっとしてます。
お互い自分のなりたかった人生を送っていて、そこに憧れと敬意を抱くようになっていくんですよね。
お店で騒ぐ迷惑な客に注意したり、夫に我慢し続ける姉に本音をさらけ出すように言うといった、マネさんにとっての大冒険ができたのも、勇気付けてくれるミランという存在があったからです。
ミランも自分とはまるで違う価値観を持つマネさんの影響を受け、人生を振り返ってみたり。
ふたりが何気なく、でも大切にこの数日を過ごしているのが丁寧に描かれていました。
ラストは”旅立ち”をやや曖昧に描いていて最初は戸惑ったものの、やはり特別な出会いだったんだと感じられるもので良かったです。(おそらく贈り物の室内履きを履きながら)ピアノを弾く男と、列車に乗る男の表情がいい!
列車の音のようなリズムのED曲を聴きながら、余韻に浸れました。

…ここから重要なネタバレですので、未見の方は回避!
実は銀行強盗に来たミランなんですが、それをさりげなく止めるマネさんと、旧友のためにマネさんの申し出を断るミランの胸中を思うと切なかったです…。
大手術を控えるマネさん的には、自分がもてあましていたものを友人のために遺したいと思っていたんだろうし、ミラン的にもなんとなく虫の知らせを感じていて、旧友を放って自分だけ新しい人生を送るなんてできなかったんですよね。
ラストに描かれた”一瞬の夢(もしくは死後の世界?)”はふたりにとって救いになったと思うし、このおかげで後味の悪い思いをしなくて済みましたが、やっぱりちょっと悲しい。
マネさんの想い人が、長年お世話になった看護師さんだったというのもね(涙)
にしても、午前10時に一言しかしゃべらない男ともう一人の仲間は、(たぶん銀行員の通報で)駆けつけた狙撃部隊に気付いて先に逃げ出しちゃうなんて酷いです!
せめて捕まってればいいけど…。

関連記事
「髪結いの亭主」観た

映画「バベットの晩餐会(ばべっとのばんさんかい)」再見

 | ドラマ  com(2) 
Tag:デンマーク 

バベットの晩餐会(再見)
原題:BABETTES GASTEBUD
製作:デンマーク’87
監督:ガブリエル・アクセル
原作:カレン・ブリクセン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】19世紀後半、デンマークの海辺の小さな村。亡き牧師の父の後を継ぎ、村のために尽くしていた敬虔なプロテスタントである老姉妹マチーネとフィリパ。そこに、一人のフランス人女性バベットが現れる。かつてフィリパに恋した男の助けで亡命してきた彼女は、ここに置いてほしいと頼み…。

またもやGyaoで視聴。ネタバレ注意。
淡々とした雰囲気は記憶どおりだけど、親しみやすさも感じる心地よい空気が全編に漂ってました。
姉妹に恋する男のエピソードはすっかり忘れてましたよ~。割と諦めの早い軍人と、積極的すぎてセクハラ扱いされそうなオペラ歌手…さすがパリっ子!
でも、一時の恋じゃなかった事がバベットに託した手紙から伝わってきて好感でした。亡命したバベットを頼むという内容と同じくらい、フィリパへの想いが綴られてたからね。
しかも、それを姉妹にバベットの前で声に出して読まれてしまうという(笑)
軍人も失恋をバネに軍務に打ち込み、立派な将軍になるも、マチーネがいない人生に虚しさを覚えていたり。奥さんはもう亡くなったんだろうか?

一方、結構覚えていた”料理にビビりながら将軍の真似をして食べる村人みんな”の様子や、”晩餐会で素直に感嘆をもらす将軍を華麗にスルーする村人”は相変らず面白かったです。
でも、それ以上に料理に込められたバベットの想い、姉妹への感謝の念に感動しました。
年老いて死を意識するようになった信者たちが、不安のあまり信仰を忘れかけてケンカばかりしていたのに、バベットがその心を解きほぐすんですよ。
この世界の素晴らしさを思い出せば、自然と恐れも消えるんでしょうね。
ここら辺の宗教的な感覚は初見ではまったくわかってなかったので見て良かったです。

ただ、晩餐会に望む彼らが口にした「カナの婚礼を思い出せ」という言葉の意味はわかりませんでした。カナの婚礼といえばルーブルにある絵画と、水がぶどう酒になったエピソードくらいしか…。
贅沢な食事を前に「魂を危険に晒している」とか、「舌はお祈りを唱えるためだけに使いましょう」とか言っていた彼ら的に、カナの婚礼はどういう意味をもってるんでしょう?

わからないところもありましたが、この作品で一番いいたかっただろう最後のバベットのセリフが心に染みました。
『貧しい芸術家はいません』
誰かを感動させる、幸せにするという事が、彼女の人生を豊かにしている…。その前に姉妹(?)が言っていた「天国に持っていけるのは、人に与えたものだけ」というセリフが思い出されます。
この晩餐会は、カトリックとプロテスタントの宗派の違いを乗り越えた上に、バベットが全てを失ったというプロレタリア革命への反逆というか…。彼女が狙われたのは、彼女の料理が贅沢の象徴のようなものだったからだろうし違った、逆でした。お客さんだった貴族などを敵に回したから処刑されそうになったんですね。つまり、前から彼女の料理に対する姿勢はお金とは関係ない”誰かを幸せにする”という一点にあったという事の証明にもなったんだろうなぁと。で、証明の必要もなかったと。…失礼しました!
というわけで、発見もあり初見よりももっとこの作品が好きになりました。再見できて本当によかったです♪

関連記事
お気に入り映画「バベットの晩餐会」

映画「フライド・グリーン・トマト」観た

 | ドラマ  com(5) 

フライド・グリーン・トマト
読み:ふらいどぐりーんとまと
原題:FRIED GREEN TOMATOES
製作:アメリカ’91
監督:ジョン・アヴネット
原作:ファニー・フラッグ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】倦怠期に悩む中年主婦のエヴリンは、知り合いの見舞いで訪れた老人施設でニニーという明るい老女に出会う。彼女の話すフライド・グリーン・トマトというカフェの物語に、エヴリンは夢中になっていき…。

かなり前に一度観ていて、フライド・グリーン・トマトという料理(肉詰めと思い込んでいたけど、本当にトマトのスライスを揚げただけだったのね)に憧れていたのと、ここに描かれる人々のたくましさや優しさ、素敵な笑顔が印象に残っていた作品です。
ストーリーはほぼ忘れていたので、初見のように観られました。
中には、思い出の作品でなければ引いてしまうようなシーンもあったけど(食べ物で遊ぶ、破壊行為、事故があった場所で子供を遊ばせるなど)、それもイジーたちの勇士を聞いているとエヴリンのように受け入れられてしまいます。
それだけイジーと彼女の話をするニニーが魅力的ってことでしょうか。
悲しいことや辛いことがたくさんあっても、彼らは笑顔で生き抜いて”幸せだ”と断言してくれそうなんですよね。
それらを誰かに話さずにいられなかった(&迷えるエヴリンの助けに)ニニーの気持ちもわかります。
エヴリンは感化されすぎなものの(笑)、ニニーとの友情は観ていて温かい気持ちになれました。
叔母の見舞いのついでに会っていたのが、話の続きを楽しみにして来るようになり、やがては親友として頻繁に遊びに来るようになる過程は、まるでルースとイジーが仲良くなり始めた頃のよう。笑顔が輝いてます。
最後のオチはギョッとするものだけど、昔話だし、なんとなくあっけらかんとしていて気楽に笑えました。
ラストは、ニニーの意味ありげな笑顔と、腕を組んで歩き出す二人の姿が印象的。
再見できてよかったです♪

映画「ヒア アフター(ひああふたー)」観た

ヒア アフター
原題:HEREAFTER
製作:アメリカ’2010
監督:クリント・イーストウッド
ジャンル:ドラマ/ロマンス

【あらすじ】臨死体験後、死後の世界に興味をもったマリー。霊能者として有能であるために孤独を抱え、能力を使う事をやめたジョージ。突然の交通事故で、双子の兄を亡くした少年マーカス。彼らはやがて、導かれるようにロンドンで出会い…。

CMは観てたのにすっかり忘れてました。冒頭の津波が怖かった…!
その後の展開は全く知らず、ちょっと長かったし、淡々としていて目新しい事はないんだけども、メインの三人をじっくり描いているので入り込みやすかったです。
理解者がおらず、理解者を欲する三人。とにかく三人とも行動的で、淡々としている割に展開は早いかも。なんせ、まったく接点のない、別の国で暮らす三人ですからね。自分から動かなければ物語は動き出しません。
強引に感じるシーンもあったけど(ジョージの能力がばれるくだりや、知られたくない過去があるのに霊視をしつこく頼む彼女など)、孤独を抱える三人の”どうにか変えたい”という強い気持ちが伝わってきて、そんなに気になりませんでした。
とくに少年のエピソードは胸が締め付けられました。母親の問題もいい方に向かい始めたと思ったら、突然の兄の死。そして、母との別れ。幼い子供が何かを求めるのもうなずけます。
いきなり霊能者だったのは双子だからかな。みえない”繋がり”というものを経験から知っていたのかも。
そして、彼との出会いで変わるきっかけを得たジョージ。後半の言葉は彼の思いやりだったように思えました。
その後の少年の小さな感謝の気持ちに心が温まります。吹っ切れて、表情も豊か。マリーの泊まるホテルを探し出す手口もなかなかのものでした(笑)
ラスト、ジョージの一瞬の妄想?がいいですね。未来に向かって歩き出そうという彼の心情がわかりやすく表現されていて。
手袋を外して明るい表情で握手を交わす二人の姿に、(正直マリーは好きになれなかったのに)明るい未来を信じたくなりました。

関連記事
「恐怖のメロディ」観ました
「インビクタス/負けざる者たち」観た

映画「リトル・ブッダ(りとるぶっだ)」観た

 | ドラマ  com(4) 
Tag:イギリス フランス 

リトル・ブッダ
原題:LITTLE BUDDHA
製作:イギリス・フランス’93
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シアトルに暮らす一家の元に、三人のラマ僧が現れる。9歳の息子ジェシーが、亡き師の生まれ変わりだと言うのだ。父と共に未知のチベットに旅した少年は、そこで太古の偉大な王子ゴータマ・シッダールタの伝説を学び…。

シッダールタ王子、キアヌ・リーヴスだったのか!!
気付かなかった…どこ人だろう?とかなり観察したつもりだったのに…ショック!
…それはともかく、映像とチベット仏教の世界観と子供たちの想像が素晴らしくマッチしている作品でした。ドラマ的には物足りないものの、チベット仏教の雰囲気を感じるにはちょうどいい感じ。
ジェシーに会いに来たラマ僧たちがくれた、子供向けの本と同じ”入門編”ですね。
主人公親子の心理描写はあまり描かれておらず、突然訪ねてきたラマ僧を家に上げたり、子供を半日預けたり、チベットに行ったり、わたしだったら無理だなぁという展開が多かったり。
でも、細かい変化は描かれてないのに、アメリカの冷たく寂しい風景と、幻想的な世界やチベット寺院の色鮮やかな風景のギャップのおかげか、彼らが何かを求めていてこうなっているというふうに思えるんですよね~。建築家の父親は、大いにインスピレーションを受けたんじゃないだろうか?
印象的だったのは、ジェシーと他のふたりの転生者候補が、伝説の一部を目撃するイマジネーションのシーン。子供たちの純粋な心が感じられます。
そしてラストの遺灰をまくくだり…三人とも心を込めてお別れしてるのが伝わってきて、その光景の美しさに感動してしまいました。
肌に合えば楽しめる作品だと思います。

映画「最高の人生の見つけ方」観ました

最高の人生の見つけ方
読み:さいこうのじんせいのみつけかた
原題:THE BUCKET LIST
製作:アメリカ’07
監督:ロブ・ライナー
ジャンル:★ドラマ/アドベンチャー/コメディ

【あらすじ】まじめで家族想いの自動車整備士カーターと、傲慢で孤独な実業家エドワード。同じ病室に入院し、揃って余命6ヵ月の宣告を受けた彼らは、カーターが書いていた死ぬまでに叶えたい”バケット(棺桶)リスト”を実行しようと思い立ち…。

初見時はタイトルから全く期待してなかった上に、吹替えCMありで入り込めなかったので、今回は字幕版をじっくり観てみました。
まあCGによる風景や、お金持ちだからこそできる部分は、初見同様「ふ~ん」という感じ。わざわざエドワードを金持ちにしたのは、映画的な見せ場をつくるためだろうに、それがCGばっかりなのがちょっと…。そりゃピラミッドに登るとかは無理でしょうけど、ロケできる部分はしてほしかったです。
そんなわけで、この作品の見どころはやはり名優ふたりの掛け合いでしょう。病室での交流や、旅の途中で見せる相手への気遣いと憎まれ口、ケンカのシーンでさえ、CGばかりのシーンより楽しかったです。
たとえふたりがビンボーだったとしても、きっと楽しくやっただろうし、ふたりの友情で魅せてくれただろうと思えるんですよね。
そっけないようでいて、相手をわかっている会話が心地よいです。自分だったらこうしてほしいというのが、ぴったり相手にも当てはまっていると、その何気ない会話のなかで伝わったんじゃないかな。まるで旧知の仲みたいになっていくふたりと、それを適度な距離を保って見守る秘書がいい。
カーターの奥さんも好きですね、本音でぶつかるところが。
リストをどう実現していくのか、終盤はさらっと描かれているものの、奥深いものがあってボロボロ泣いてしまいました。とくに”世界一の美女にキスしてもらう”と”赤の他人を救う”のくだりがステキでね…。
死んで終わりじゃないというところに意味があると思います。
ラストは彼の頑張りに拍手。息子でもここまでしてくれる人は少ないと思います。リストに線を引いて、優しい表情を浮かべているのを観たら、とても幸せな気持ちになってまた涙が。
爽やかな感動作でした。

関連記事
「恋人たちの予感」観ました

映画「博士の愛した数式」観ました

 | ドラマ  com(8) 
Tag:小泉堯史 日本 

博士の愛した数式
読み:はかせのあいしたすうしき
製作:日本’05
監督:小泉堯史
原作:小川洋子
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シングルマザーの家政婦・杏子は、交通事故による記憶障害で80分しか記憶が持たない天才数学博士のもとへ派遣される。博士との接し方を学ぶうち、数式の美しさに魅了されていく杏子。やがて、博士の提案で10歳の息子も一緒に過ごすようになり、博士は彼をルートと呼び仲良くなっていくが…。

どんな感想を抱いたかすら覚えてなかったんですが、再見したら中盤にはもうウルウルしてました。
成長したルートが、自己紹介を兼ねて生徒に博士の話を聞かせるという始まりからして温かな気持ちになりますよね。これだけで、どれだけ博士が彼に影響を与えたのか、いかに博士を敬愛しているのかが伝わってきます。
そして、深津絵里演じる杏子がまた良い。話し方や表情から優しさ、穏やかさが滲み出てて、まるで天使のようでした。
博士とのやり取りは、私だったらきっとイライラしてしまうものなんですが、それを戸惑いは見せても笑顔で接し続ける彼女は本当にすごいと思います。
一度だけ博士を傷つけるような発言をしてしまうものの、博士がそれを忘れるとしても自分は忘れないし、二度と傷つけないと、ルートと誓い合うくだりに感動!
まあ、ちょっと自分の矮小さを痛感していたたまれない気持ちになったんだけども…。
でも、それだけ優しい気持ちになれるのは、博士も”愛”を知っている子供思いのいい人だからなんですよ。彼を傷つけたくないと思う気持ちはよくわかるし、彼の講義を聴いていたら数式に魅了されていくのもわかります。とくに真実の直線や虚数の説明や、最後に示されたオイラーの公式は心に残りました。
そして、そう思えるほど博士の事を知る事ができたのは、やっぱり杏子の人柄があったから。彼らを繋ぐ友愛数の絆は本物だとすんなり納得できました。
再見してよかったです♪

関連記事
「雨あがる」再見しました

映画「まほろ駅前多田便利軒」観た

 | ドラマ  com(5) 
Tag:日本 

まほろ駅前多田便利軒
読み:まほろえきまえただべんりけん
製作:日本’2011
監督:大森立嗣
原作:三浦しをん
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】東京のはずれ。まほろ駅前で便利屋を営む多田は、ある日、中学時代の同級生、行天と出会う。中学生時代、不注意で彼の指に傷が残る大けがをさせた多田は、その負い目もあって宿無しの彼と共同生活を始めるが…。

ドラマの宣伝でオンエアしていたのをたまたま観たんですが、くすりと笑わせてくれて何気に考えさせられる、ゆる~い雰囲気に嵌りました。
基本的には、便利屋としてまほろの住人の様々な依頼を受けていく物語で、依頼人との交流の中で二人の人生観とかが見えてくる流れ。旅はしないけど、ロードムービー的な雰囲気があって心地よかったです。
二人の性格が一見正反対なのがいいですね。一番わかりやすいのが、「フランダースの犬」のラストがハッピーエンドかどうか言い合うエピソード。お互いふらふらしているようで頑固者。最後まで違う意見だったけど、男二人でアニメを見て(しかも他人の家!)涙をボロボロ流してしまうあたり、根は似たもの同士なんです。
そんな二人をなんとなく結び付けていたのが、中学生時代に多田が行天に負わせてしまった指の傷でした。決して元通りにはならないけど、時間が経つにつれ傷は癒えていく…。
ふたりの男の友情と再生を描いた作品です。

映画「日の名残り(ひのなごり)」観ました

日の名残り
原題:THE REMAINS OF THE DAY
製作:イギリス’93
監督:ジェームズ・アイヴォリー
原作:カズオ・イシグロ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】1958年、オックスフォード。ダーリントン卿が亡くなり、アメリカ人の富豪ルイスの手に渡ったダーリントン・ホール。かつては政府要人や外交使節で賑わったが、今は使用人も去り、老執事スティーヴンスの手に余っていた。そんな折、以前屋敷で働いていたミス・ケントンから手紙をもらい…。

印象に残っていたのは後半のケントンとの切ない関係だったんだけども、再見したら、それ以上に父親との関係に目が行ってしまいました。
体調が優れない父親を安心させようと、そっと手に触れるシーン。それが本当に控えめにそっと指の先っぽで触れる程度で、それが彼の精一杯の愛情表現なんですよね。亡くなった時も手の甲でそっと触れただけ。
きっと、父親と触れ合う機会なんて、執事としての仕事を教えられた時くらいで、抱きしめられるどころか手をつないだ事すらなかったのだろうと想像してしまいました。
浮気を知ってから妻への愛情を失ってしまった父親は、執事の誇りがよりどころになり、より仕事に没頭していったのかもしれません。そんな父親を見て育ち、厳格な父親が心から喜んでくれる”完璧な執事”を目指した事が、スティーヴンスの人生をこんなストイックなものにしてしまったのかなぁと…。
ケントンの愛に応えられなかったのは、執事の仕事に誇りを持ってるとか、仕事に忠実すぎたとかそういうことではなく(もちろんどちらも当てはまるのだけど)、この生き方しか知らなかったからだと思います。父親を見て育ったのもあるし、完璧な執事を目指したために余計なものは見ない聞かないを鉄則として生きてきた彼ですから。かろうじて知っていたのは、プライベートな時間に読んだ本の世界の事だけ。
彼は外の世界へ飛び立つ術を知らず、かごの中から出るのを恐れていたのでしょう。
それを後悔して正すために旅立った彼が、結局外へ出る理由を失い元の日々に戻るラストには、やるせなさがこみ上げてきました。
静かで淡々としているのに、心揺さぶられる名作だと思います。

関連記事
「ローズランド」観た

映画「やわらかい手(やわらかいて)」観ました

やわらかい手
原題:IRINA PALM
製作:ベルギー・ルクセンブルク・イギリス・ドイツ・フランス’07
監督:サム・ガルバルスキ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】ロンドン郊外の小さな町。難病の孫に手術を受けさせるため、渡航費を工面しようとするマギー。”接客係募集・高給”の貼り紙に釣られ店を訪れるが、そこはセックスショップだった。彼女の手を見たオーナーは、ある仕事を紹介し…。

何があっても諦めない、たくましいお祖母ちゃんが素敵でした。
何も知らず時給の良さに釣られて入っていった店は、なんと風俗店。おばあちゃんが相手にされるわけがないと思っていたら、オーナーが彼女の滑らかな手に可能性を見出しちゃうんですよ。必死さにほだされたのか、目ざといのか…。とりあえず、手を触りすぎです。
いざ本番というシーンでは、観てる私も身構えてしまったけど、息の詰まりそうな部屋と、壁越しに聞こえる男の声、哀愁漂う音楽など、直接的な描写なしで伝えていて、その上どこかユーモラスな雰囲気が。
”イカせる未亡人”とか、テニス肘ならぬ”ペ○ス肘”とか、変な名前が飛び交ったり、部屋が日に日に彼女色に染まっていくのも面白かったです。
孫の手術の日が迫る中、足りない渡航費を一気に手に入れようと、オーナーと駆け引きするくだりも見ごたえあり。ここで働くようになってから活き活きとしだした彼女は、堂々としていて魅力的です。
(後から、マギーを演じるのが「あの胸にもういちど」のフェイスフルだと知り驚きました。裸に黒のライダースーツの彼女だよ!)
家族にばれてしまう終盤も引き込まれましたね~。息子と嫁の反応がバレる前とは真逆になり、男は父親より息子として、女は義理の娘より母親としての反応を見せるところが面白い。
観終わって、じんわりあったかい気持ちになれる作品でした。
ちなみに、タイトルのイリーナ・パームはマギーの源氏名。邦題のほうが内容を表していて好きかな。

映画「ノーバディーズ・フール」観ました

ノーバディーズ・フール
読み:のーばでぃーずふーる
原題:NOBODY'S FOOL
製作:アメリカ’94
監督:ロバート・ベントン
原作:リチャード・ルッソ
ジャンル:★ドラマ

雪に閉ざされた小さな町ノース・バス。60歳の土木作業員サリーは、家族と別れて一人退屈な日々を送っていた。心を閉ざす彼に、大家であるミス・ベリルだけが温かいまなざしを向けている。そんなある日、疎遠になっていた息子や孫のウィルと再会し…。

何か大きな盛り上がりがあるという訳ではないんだけど、人間というものが丁寧に描かれていて、とても味わい深い作品でした。
主人公とそれぞれの関係がなんともいえなくて、ケンカして除雪機を盗み合いしても、三角関係?になっても、過去に許せない事があっても、根底では繋がっているというか…。
とくに、ミス・ベリルの「あなたはわたしの万馬券なの」というセリフや、「いつか気が変わるかもしれないから」と毎日お茶を飲むか訪ねるシーンが良かったです。変わらぬ愛って感じで。
劇的な変化は起こらないかわりに、このままずっとゆるゆると変化を続けて、決して終わる事はない気がするんですよね。ハッピーエンドやバッドエンドを目指してストーリーが進んでいくんじゃなくて、とある人物の人生をテキトーにちょこっと切り取って眺めている感じ。
まあ、うまく説明できないんですが、終盤に孫が勇気を出して義足を渡すシーンには、急にウルウルきてしまいました。
セリフのやり取りも洗練されているし、観る度に気付く事がありそう。いつかまた再見したい作品です。

関連記事
「プレイス・イン・ザ・ハート」観ました

映画「子供たちの王様(こどもたちのおうさま)」観た

 | ドラマ  com(6) 
Tag:チェン・カイコー 中国 

子供たちの王様
原題:孩子王
製作:中国’87
監督:チェン・カイコー
原作:アー・チョン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】文化大革命の最中。教師経験もないのに山奥の学校に赴任してきた青年”やせっぽっち”は、校長に言われるまま、毎日子供たちに教科書を写させていた。だが、賢いワンフーの指摘で新しい教育方法を模索する事に。やがて、自分の言葉で作文を書かせるようになり…。

かなりスローテンポだし、ところどころ意味のわからない幻想的描写があったものの、子供たちと笑顔で授業するようになっていく様子に感動しました。
写しているだけで、漢字の意味も内容もよくわかっていなかった子供たちに、短い文を書かせることから始め、自分の気持ちを素直に表現する事を教えていくんですよね。初めての作文はクラスで笑い声が起こるようなものばかりなんだけど、「あったことを正直に書いている」「自分の事だけじゃなく人の事も書いている」と良いところをきちんと褒めて、学ぶ事の楽しさを教えていきます。こんな先生がいたら、わたしも作文が苦手になったりしなかっただろうなぁ。
黒板を書き写す授業がつまらないと言っていたワンフーが、ある事をきっかけに、辞書を写す事に熱中していく皮肉な展開もいい。静かなドラマに引き込まれます。
音楽教師になりたがる姉御のキャラと、ラストの歌もよかった!
ただ、時代背景がわかっていればもっと楽しめたかも。文化大革命が民衆に与えた影響って、こういう詰め込み教育で感情や思想の自由を失ったってことでしょうか?
それと、映像が87年製作にしては汚かったです。中国の美しく情緒溢れる風景が素晴らしかったので、これで映像もクリアだったら…と残念に思いました。
ちなみに、タイトルは”教師を嘲った呼び名”のこと。”やせっぽっち”も悪口みたいなもんだし、ろくな呼ばれ方してないな(笑)

関連記事
「さらば、わが愛/覇王別姫」観ました

映画「ローズランド(ろーずらんど)」観た

ローズランド
原題:ROSELAND
製作:アメリカ’77
監督:ジェームズ・アイヴォリー
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】NYのダンスホール“ローズランド”を舞台に、そこに集まる人たちの様々な人生模様を綴る。「ワルツ」、「ハッスル」、「ピーバディ」の3話からなるオムニバス作品。

ダンスホールを舞台にしたオムニバス作品でした。1話目がファンタジックな内容だったので、「トワイライトゾーン」みたいな作品なのかと思ったら、これだけでした。亡き夫を想い続ける(だけでなくダンスパートナーに思い出話を聞かせまくる)老婦人メイが、ある男性と踊ってる時だけ、鏡に若かりし頃の自分と夫の姿が映る事に気付いて…っていう話。ストーカーおばあちゃんが完全に自分の世界に生きてて、彼女を好きになっちゃった男性スタンが哀れなんだけども、メイの気持ちも分からなくもない。でも、最後はちゃんと向き合えてよかったです。
2話目は、若いツバメをめぐる女の戦い。好きではないけど、ありそうな話でダンスホールの雰囲気を盛り上げた…のかな?気付いたら終わってて、ラストが思い出せません。
ツバメ役が若きクリストファー・ウォーケンで、わたしにとって生理的に受付けないタイプの外見でがっかり。面白いおっちゃんって感じで現在は好きなんだけど。
3話目は、優勝を狙うため猛特訓する高齢ペア、ローザとアーサーのお話。ローザにぞっこんなおじいちゃんがとにかく可愛い。ローザの歌をうっとりしながら聴いてて、彼女もまんざらでもない様子なのがやっぱり可愛い。失ってから気付くかけがえのないもの、という王道展開で泣かせます。
3話とも、孤独や老い、別れと始まりなどをノスタルジックに描いていて、雰囲気に浸れました。

関連記事
「日の名残り」観ました
「上海の伯爵夫人」観た

映画「グランド・ホテル」観ました

 | ドラマ  com(2) 

グランド・ホテル
読み:ぐらんどほてる
原題:GRAND HOTEL
製作:アメリカ’32
監督:エドマンド・グールディング
原作:ヴィッキー・バウム
ジャンル:★ドラマ

ベルリンで超一流の「グランド・ホテル」。今は落ち目バレリーナや、危機に瀕した大企業の社長と雇われ美人速記者、借金で首が回らない自称”男爵”、一生の思い出作りに来た老人クリンゲラインなどの客が、この場所で様々に交錯する。

”グランドホテル形式”の呼び名の由来となった作品。
ホテル内での、たった一晩の出来事なのに、それぞれの人生が垣間見えて、これからの彼らを考えずにはいられませんでした。
イラストに描いたシーンも好きなんですが、やっぱり男爵の魅力に惹かれましたね。メインの登場人物全員と関わる中心人物なんですが、泥棒なのに優しいし紳士なんですよ。
いいカモであるはずのクリンゲラインに近づくも、彼に「こんなにしてもらったのは初めてだ」と心から嬉しそうに言われ、ふと目を逸らし、それからとても優しい目で「友達だから」と答えるシーンでがっちり心を掴まれました。
財布を盗めず、ネックレスも盗めず、困りきっているという事をおくびにも出さないで、たまたまホテルで出会った人々に優しくする姿にはグッときます。
ラストは物悲しくも、どこかあたたかい余韻を残しました。

<2019/01/15再見>

久しぶりに再見。内容は覚えていると思っていたけど、終盤の展開をすっかり忘れていました。…そういえば結構重い話だった。
男爵が魅力的なのは前回同様ですが、今回気になったのはバレリーナや病気の老人、美人速記者、そして諸悪の根源となった社長さんでした。みんな男爵の死で大きな影響を受けた人たちです。

まずバレリーナのグルシンスカヤ。落ち目で自分の代わりなんていくらでもいるのだろうと落ち込み、今にも死にそうな精神状態だった人です。それが男爵との恋で自信を取り戻して「何も怖くない!」となったのに、その後どうなったのか考えると…。あまりにも急展開過ぎて抜け殻のようになってしまうか、それとも悲しみを踊りに昇華させるのか…。
彼女の場合は後者ではないなと思えてしまって悲しくなりました。お付きの人も必死で隠してたよね。

次に病気の老人クリンゲライン。もう先は長くないから、思いっきり楽しんでから死ぬんだと常にハイテンション。
仕事一筋だったようで家族も友人も恋人もなかった彼が、ここで男爵や速記者、顔にあざのある医者などの友人を得ます。男爵に友人だと言ってもらえた時、そして速記者フレムヒェンとダンスする彼の幸せそうな表情が印象に残ります。
死は誰にも等しく訪れるもの。だからと言って不幸になるとは限らない。…ただし、ある程度の元手と運があったからこそ得られたのだと、現実的な側面も見せてくれました。

そして、映画に出たい(だったかな?)という夢のため必死に働いているフレムは、真実の愛なんて存在しないといいつつ、紳士で優しい男爵の存在が気になって仕方がないという様子。彼女と男爵は似た者同士だったんでしょうね。
男爵が気に掛けるクリンゲラインには同じように優しく接し、彼に酷い態度を取る社長のことは快く思っていない。でも、お金のために仕方なく…。社長の部屋の扉の前で男爵と出くわして交わした言葉には、深い共感のようなもの込められているように思えました。
ラストでクリンゲラインと共に旅立つのも、男爵という共通の友人を亡くした悲しみを二人で乗り越えるためという感じ。恋愛感情ではないと思うけど、とても温かい旅になりそうだと思えました。

最後に周りに不快感を与えていた傲慢な社長プレイジング。仕事で窮地に陥り(たぶん仕事上)初めて吐いた嘘を皮切りに、瞬く間に転落していきます。明日なんとかできなければ詐欺で訴えられかねない状況で、不安を振り払うためにフレムに言い寄ったり。…妻を裏切ったことはないと言っていたけど、愛しているからというわけではなさそう。
さらに、盗みに入った男爵と鉢合わせ、自分に恥をかかせたことや男爵の人望の厚さに嫉妬したのもあったのか、激昂して殺してしまいます。

ある意味、一番の被害者は彼の会社で働く、かつてのクリンゲライン同様の従業員たちですよね…。
初見時は救いも感じられたけど、今回はバレリーナさんと従業員、社長の家族のことを考えると暗い気持ちの方がやや勝ってしまいました。
ただ、時間を忘れるほど素晴らしい映画だというのは変わりません。

.