忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「トゥモロー・ワールド」観ました

 | SF  com(13) 
Tag:イギリス 

トゥモロー・ワールド
原題:CHILDREN OF MEN
製作:アメリカ・イギリス’06
監督:アルフォンソ・キュアロン
原作:P・D・ジェイムズ
ジャンル:★SF/サスペンス/ドラマ

【あらすじ】人類に子供が生まれなくなって18年が経過した2027年。希望を失い世界各国が混沌とする中、英国政府だけはなんとか治安を維持していた。そんなある日、エネルギー省の官僚セオは、元妻ジュリアン率いる反政府組織に協力を要請され…。

設定はしっかりSFでしたが、本質的には反戦映画で考えさせられる作品でした。
子供が生まれなくなった近未来は、絶望に蝕まれ混沌に包まれてるわけですが(ここが納得できないという人がいてビックリ!)、そこに描かれているのは今まで人間がしてきた恐ろしい事をそのまま詰め込んだような未来。他人事ではないのだというリアルさがあります。
そして、そこに差す一筋の希望の光である移民少女キー…。ここに描かれる絶望も希望も、今現実にあるものなんですよね。
ネタバレというほどでもないですが、キーの役割は聖母マリアでした。そんな彼女を守り導くのが主人公のセオ。強いわけでも特別な能力を持ってるわけでもない、ただの平凡な男です。
後半のキーたちを守る描写の中で、彼がいかに子供を愛していたのかが伝わってきて涙があふれてきました。妊婦を見た事がなく、何の知識も持たないキーを安心させ支える姿に、出産も育児も夫婦で協力してきた様子が、幸せに満ちたその光景が目に浮かぶようでした。
出産のシーンはややあっけなかったけども、赤ん坊の泣き声を聞き、その姿を見て、戦いに明け暮れていた兵士たちが銃をおろすシーンは胸に迫ります。こんな未来が訪れるまでもなく、きっと本当は誰もがわかっているはず…。
原題の意味は「人類の子供たち」。複数形であるところが重要なのに、邦題は陳腐なものになってしまいました。エンドロールで流れる子供たちの笑い声も印象的です。

■ Comment

偶然にも

地上波でやっていたのを何とは無しに見ていたら結局最後まで観ちゃいました。
(普段、地上波放送での映画は全く見ない派なので・・・)
あのクライマックスの長回しシーンは改めて見ても圧巻でした。
カメラレンズに血糊が飛び散ったままとかゾクゾクします!


>赤ん坊の泣き声を聞き、その姿を見て、戦いに明け暮れていた兵士たちが銃をおろすシーンは胸に迫ります。

長回しシーン直後だから尚更ですねー。
2013/02/07 19:05  nor

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2013/02/07 19:14  

>norさん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
普段、地上波を観ないのに吸い寄せられてしまったとは、直感が働いたのかも!?

> あのクライマックスの長回しシーンは改めて見ても圧巻でした。
> カメラレンズに血糊が飛び散ったままとかゾクゾクします!

長回しのシーンは緊張感があってホントすごかったです。
でも、血のりは私的にカメラの存在を意識しちゃってダメでした。撮り直せよとか思ってたけど、もしかして演出だったのか…(笑)
兵士たちが戦うのをやめるシーンを長回しが際立たせてましたね。
2013/02/08 07:25  宵乃〔編集

長回し

これ、ストーリーはさておき
長回しというカメラワークに驚きます

緊迫感と臨場感がハンパなく

このシーンは凄い
http://www.youtube.com/watch?v=en16i8BY4hI

ピンポン玉だって凄いけど
カメラは確かに車の中で撮ってるはずなんだけど
助手席にも運転席にも役者がいて
カメラのスペースはどこにもないし
フロントガラスの向こう側でもない

更に警官のところで
セオと共にカメラがドアをすり抜け外に出る
どうやってるんだろ


http://www.youtube.com/watch?v=MXUZ__bBuXM

これも一切のカットがないように見える
1takeでここまでは簡単にできない
まさに神業です




これってメイキングで明かされたけど
恐るべしアルフォンソ・キュアロン



2013/02/12 02:40  庄屋弁当

>庄屋弁当さん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます♪
普段はあまり長回しかどうかとか気にしないんですが、改めて観てみるとホント凄いです。紹介して下さった動画のシーンもどうやって撮ったのか!?

> 助手席にも運転席にも役者がいて
> カメラのスペースはどこにもないし
> フロントガラスの向こう側でもない

ぜひメイキングを観てみたい作品です。(TVで観たので)

> 更に警官のところで
> セオと共にカメラがドアをすり抜け外に出る
> どうやってるんだろ

目の付け所がさすがです!そのシーンの後、前方のドアが映る時には閉まっていて驚きました。
ドアの開閉係が画面外で頑張っていたんでしょうか?

> これも一切のカットがないように見える
> 1takeでここまでは簡単にできない
> まさに神業です

このシーンも観ている間は引き込まれていて、それを撮るのがどれだけ大変かなんて考えてませんでした。教えて下さってありがとうございます!
アルフォンソ・キュアロンの他の作品も観てみたくなりました。
2013/02/12 11:24  宵乃〔編集

こんばんは☆

今日見ました☆

>設定はしっかりSFでしたが、本質的には反戦映画で考えさせられる作品でした。

う~ん、色々な意味で不協和音の聞こえる、ヘンな映画だと思いました。
でも、宵乃さんの書かれたとおりの、そういう作品だと思います☆

>ここに描かれる絶望も希望も、今現実にあるものなんですよね。

仰る通り! さすが!

>出産も育児も夫婦で協力してきた様子が、幸せに満ちたその光景が目に浮かぶようでした。

まぁこの辺は、涙は浮かばなかったけど、納得感はありました。

>出産のシーンはややあっけなかったけども、

やはり出産・新生児・初産婦の一日目、の描写が、
全然ダメでした、キッパリ☆

>赤ん坊の泣き声を聞き、その姿を見て、戦いに明け暮れていた兵士たちが銃をおろすシーンは胸に迫ります。

「スカーフェイス」などでも感じた事ですが、赤ん坊とか小さい子供を見て、守りたい・希望を持つ・などの心情が、古今東西誰にでもあり、ごく自然なことと、それをこの映画でも上手に描写していたと思います。

>原題の意味は「人類の子供たち」。複数形であるところが重要なのに、邦題は陳腐なものになってしまいました。

原作ってどうなっているんでしょうか?
この映画では、あの船の事、その先の事をあまり詳しく描写していなかったので、私にはあんまり良い感じは持てませんでした・・・悪くはないけど・・・それほど胸に来なかったかな・・・。

イラストは良いシーンですし、リアル感あって素敵です☆
なお、長回しについては、テオ監督のを見なれているので、こういう戦闘シーンで使って欲しくなかったというか、「自分はこんなの出来るんだぜ」みたいな?そういう監督の気持ちが伝わって来て残念でした。

ジュリアン・ムーアさんが綺麗で上手で、けっこう好きなのですが、彼女の役柄の胸の内を思うとき、この映画の中で一番私には迫ってきました。


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2014/11/20 20:06  miri〔編集

>miriさん

> う~ん、色々な意味で不協和音の聞こえる、ヘンな映画だと思いました。
> でも、宵乃さんの書かれたとおりの、そういう作品だと思います☆

SF好きだと細かいところは全部補完できてしまうから、わたしの感想は当てにならないかも(笑)
子供が生まれなくなったくらいで…という感想を見かけたのが一番の衝撃でした。

> やはり出産・新生児・初産婦の一日目、の描写が、
> 全然ダメでした、キッパリ☆

ですね~、ここはこういう世界を描くならもっとリアリティを追及してほしかったです。

> 「スカーフェイス」などでも感じた事ですが、赤ん坊とか小さい子供を見て、守りたい・希望を持つ・などの心情が、古今東西誰にでもあり、ごく自然なことと、それをこの映画でも上手に描写していたと思います。

「スカーフェイス」は未見なんですよ。間諜X72さんのおススメ作品なので気になっていたんですが、そういうシーンがあったんですか。ますますみたくなりました!

> 原作ってどうなっているんでしょうか?
> この映画では、あの船の事、その先の事をあまり詳しく描写していなかったので、私にはあんまり良い感じは持てませんでした

原作とは別物みたいですね。キーは映画オリジナルで、あの船も出ないとか…。
でも、原作の伝えたかったものは描かれているという人もいるみたい。賛否両論みたいですが。
なが~いですけどこちらで詳しく考察しているので、読めば少しはスッキリするかも?
http://cinema.pia.co.jp/com/16213/232598/

> イラストは良いシーンですし、リアル感あって素敵です☆
> なお、長回しについては、テオ監督のを見なれているので、こういう戦闘シーンで使って欲しくなかったというか、「自分はこんなの出来るんだぜ」みたいな?そういう監督の気持ちが伝わって来て残念でした。

ありがとうございます。
長回しって、正直「だから何なの?」と思う事が多いです。撮るのは大変なんだろうけど、気付かない事の方が多くて。この作品では気付けましたが、テオ監督の作品は自然すぎて言われなければ気付かなかった気が。それが凄いのかもしれないけど…。

> ジュリアン・ムーアさんが綺麗で上手で、けっこう好きなのですが、彼女の役柄の胸の内を思うとき、この映画の中で一番私には迫ってきました。

ネタバレしそうなので彼女の事はほとんど書けませんでしたが、彼らの逃避行を必死で応援したくなるのは、彼女あってこそでしたよね。セオの想いや行動のには、常に彼女の託した想いを感じられました。
コメントありがとうございました!
2014/11/21 08:07  宵乃〔編集

有難うございました☆

>なが~いですけどこちらで詳しく考察しているので、読めば少しはスッキリするかも?
>http://cinema.pia.co.jp/com/16213/232598/

半分以下しか読めなかったけど、よく分かりました。 私と同じようにモヤモヤしている人が多くって、それだけでも嬉しかったです(笑)。

昨日書き忘れたけど、あの収容所はアウシュビッツだなあ~とかチラッと思ったのです。 そういう書き方ではないけど、同じような意味を書いている人もいて嬉しかった☆

>「スカーフェイス」は未見なんですよ。間諜X72さんのおススメ作品なので気になっていたんですが、そういうシーンがあったんですか。ますますみたくなりました!

「スカーフェイス」は、チェーンソーから始まる暴力映画で、私的には積極的にはお勧めできません・・・ただ、そんな酷い映画の中で、一瞬だけ、「子供は殺さない」という強い意志を(役柄の、脚本の、監督の、皆の)感じたので、そこだけが光って見えました☆
もしいつか機会があれば・・・と思います。

宵乃さんのお陰で、今からはスッキリとした一日を始められそうです、本当に感謝・感謝です♪


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2014/11/21 08:40  miri

Re: 有難うございました☆

> 私と同じようにモヤモヤしている人が多くって、それだけでも嬉しかったです(笑)。

お役に立てたようでよかったです。
やはり同じように感じた人がいると嬉しいですよね~。

> 昨日書き忘れたけど、あの収容所はアウシュビッツだなあ~とかチラッと思ったのです。

ホント、アウシュビッツそのものでした。かなり色々なところが現実にあったことばかりで見ていて胸が痛みます。

> 一瞬だけ、「子供は殺さない」という強い意志を(役柄の、脚本の、監督の、皆の)感じたので、そこだけが光って見えました☆

チェーンソーからですか(汗)
そのような映画でそういう意思を感じると嬉しくなりますね。
それでは、スッキリした気持ちで映画や読書を楽しんで下さい♪
2014/11/21 16:19  宵乃

こんばんわ

重い映画でしたね。
近未来ものなのに夢はなくて。
なのにとても印象に残る映画でした。

このイラストもスゴイですね!
キーのマントの布がまるでホンモノみたい!

因みにうちの実家に居たニャンコは18歳まで生きました。
(その娘は16歳)

良い週末を♪
2015/12/18 19:28  mia☆mia

>mia☆mia

いらっしゃいませ!
近未来もので重い作品が多いのは、それだけ現代人が危機感を抱いているということでしょうね。夢と希望に溢れまくった近未来なんて、絵空事にしか思えませんし。
最後に希望を見出せるところに「今ならまだ間に合う」というメッセージを感じます。

> このイラストもスゴイですね!
> キーのマントの布がまるでホンモノみたい!

ありがとうございます。目を酷使した甲斐があります!(笑)

> 因みにうちの実家に居たニャンコは18歳まで生きました。
> (その娘は16歳)

おぉ~、16、18歳でも相当長生きですよね。
きっとmia☆miaさんたちに愛されて幸せだったからでしょう♪
2015/12/19 10:44  宵乃〔編集

こんにちは。

他の方もおっしゃっているように、
私もあの市街戦の長回しカメラワークは凄いと思いました
どこからでも銃弾は飛び、
結局はセオも被弾してしまうわけですけど、それもありなんという感じで…。
ボートのシーンは感動的でしたね。きっと愛情をこめて育てようとしていたんだろうという想像が自然に出てきました。

ジャスパー爺さんはファンキーな役回りで
絶望的な世の中のなかで、セオの希望のような人だったので
残念でした…。
2019/05/11 17:04  maki編集

>makiさん

いらっしゃいませ。
みなさん長回しがあるとちゃんと気付くんですね~。
私はどちらかと言うと、撮影風景が思い浮かぶと映画から現実に引き戻されるので苦手なんですよね。まあ、長回しの場合は気付かないことが圧倒的に多いからいいんですが。
銃撃戦の臨場感が素晴らしいシーンとしては印象に残っています。

> ジャスパー爺さんはファンキーな役回りで
> 絶望的な世の中のなかで、セオの希望のような人だったので
> 残念でした…。

うっすら思い出してきました。いいキャラほど退場しやすい気がします。
それが物語の都合という感じになってしまうとダメですが、彼の場合はどうだったかな…。
2019/05/12 08:49  宵乃〔編集
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