忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「地球最後の男(1964)」観た

地球最後の男(1964)
原題:THE LAST MAN ON EARTH
製作:アメリカ・イタリア’64
監督:シドニー・サルコウ、ウバルド・ラゴーナ
原作:リチャード・マシスン
ジャンル:SF/ホラー/サスペンス

【あらすじ】1970年代、死者が吸血鬼として蘇る新種のウイルスが蔓延する世界。生き残ったロバートは、吸血鬼が眠る昼間の間だけ外に出て、生活必需品の確保と吸血鬼退治を行っていた。そんなある日、太陽の下で活動する女性を発見し…。

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に影響を与えた作品という事で観てみました。
淡々としていてだいぶ長く感じたけど、同一原作の「アイ・アム・レジェンド」と違って狂った怖さがあるというか、オリジナルに忠実だというラストも含めて印象的な作品でした。
前半の無表情に”日課”をこなしていく主人公が怖いんですよ。朝起きて、壁に描いたカレンダーに日付をつけ、食事、吸血鬼撃退アイテム(にんにくや鏡)の点検、木の杭つくり、無線チェックを行います。そして、家の周りに転がっている共食いした”ヤツら”の死体を車に乗せて、生活必需品の調達に出発。途中、焼却場で死体を燃やし、店で必要なものを揃えたら、今度は眠っている”ヤツら”を探し出して、胸に杭を打ち込んで殺し、帰りにまた焼却場に寄って行くんですよね。
もう、3年も続けている生活というだけあって、その”日課”に無駄も感情も一切ありません。
話し相手は一人もおらず、名前を呼ぶのは夜中に家の周りをうろつく吸血鬼たちだけ(この描写が「ナイト~」のゾンビそのもの!)。彼の絶望が不気味なほどリアルに描かれていました。
そんな彼が別人のように嬉しそうな表情を浮かべたのは、真っ黒い犬を見つけた時くらいでしょうか。そんなにも喜んでいたのに、血液検査で陽性だったというだけで(症状が人間と同じかどうかはわからない)殺してしまう描写のあっけなさも恐ろしい…。
ラストはやはり「ナイト~」を思い起こさせる絶望感が良かったんだけども、回避しようと思えばできた気もするし(ワクチン完成の事を伝えろよ!)、なんで今までやられっぱなしだったんだという疑問も浮かんできて、スッキリとはしなかったかも。でも、一見の価値はあったと思います。
二度目の映画化作品「オメガマン」も機会があったら観たいなぁ。

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■ Comment

No title

宵乃さん こんばんは
>3年も続けている生活というだけあって、その”日課”に無駄も感情も一切ありません

ここ、良いですよね。
ラストにしっかりつながっていて。

>(ワクチン完成の事を伝えろよ!)
>なんで今までやられっぱなしだったんだという疑問も浮かんできて、スッキリとはしなかったかも。

ですよね~。

個人的には『オメガマン』もそこら辺のすっきりさせるためにある部分が改変された感じがしますが
その分、この原作の苦味まで薄めてしまっていたので、正直・・・

結局、この作品のオマージュとしては
子供の頃、読んだインパクトもあって
藤子不二雄の『流血鬼』が一番だった気がします。

それでは!
2013/01/23 22:41  きみやす

>きみやすさん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
日本では劇場未公開らしいですが、人間がリアルに描かれたSFでしたね。前半を淡々と描く事で、ラストに静かな衝撃を与えてくれました。さすが地味ながら古典SFとして語り継がれるだけあります。

> 個人的には『オメガマン』もそこら辺のすっきりさせるためにある部分が改変された感じがしますが
> その分、この原作の苦味まで薄めてしまっていたので、正直・・・

そうなんですか~。整合性を求めると失われるものもあるという事ですね。難しいです。でも、同一原作の映画はあとオメガマンだけなので、いつか必ず自分の目で確認したいと思います!

> 結局、この作品のオマージュとしては
> 子供の頃、読んだインパクトもあって
> 藤子不二雄の『流血鬼』が一番だった気がします。

その作品は知らなかったです。画像検索したら、眠ってる吸血鬼に杭を打ち込もうとしている少年?を、女の子が止めようとしているコマが引っかかりました。お~、あの藤子不二雄もこの作品に影響されたのか~。なんかすごい!
2013/01/24 07:43  宵乃〔編集

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2013/01/25 20:13  
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