忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「八甲田山」観ました

八甲田山
製作:日本’77
監督:森谷司郎
原作:新田次郎
ジャンル:★伝記/ドラマ

【あらすじ】明治34年末、日露戦争を目前にして陸軍は寒地訓練の不足を痛感していた。ロシア軍と戦うためには雪中行軍をし、兵士たちに雪と寒さの厳しさを教えなければならない。そして、生きては帰れぬ冬の八甲田山が訓練地に選ばれ…。

集中して観たかったので先にCMカットをしたら、雪山を歩く映像ばかりで「これ面白いの?」と思いながら観始めたんですが、すごく見ごたえあって最後まで目が離せなかったです。
なんと言っても自然の恐ろしさ、それを舐めている人間(についていく)の恐ろしさがありありと描かれていて、寒い部屋がさらに寒く感じました。
服装同じ上に顔真っ白で見分けつかないよと思っていたら、指揮官が判断を間違う度に状況が悪化していって、後半は一目瞭然っていうのも怖い。しっかりした足取りで迷い無く進んでいく徳島大尉一行と、まるで死神を背負っているかのような虚ろな目で真っ青になって歩き続ける山田少佐一行…。白い地獄とはよく言ったものです。
そんな指揮官の下、このままじゃヤバイとわかっていても何もできない神田大尉のもどかしさが…!
ちょうど前日に見た「しあわせの隠れ場所」でマイケルが死地に向かう兵について「バカでも勇気は持てる。でも誇りがあるから人は頑張れる」というように書いていたんだけど、それを思い出してしまいました。彼も誇りを持って最後まで頑張ってましたよね…。
一方、人間らしい顔色を保つ徳島大尉の”案内人への敬意”が素晴らしかったです。女の子の案内人について歩いていた時、振り返りつつ先導する彼女の微笑みが、天使か女神の加護のように感じたんじゃないかな?
村に入ったとたん「案内人を最後尾に移動させますか?」と部下に言われても、それが軍では当然だっただろうにきっぱり断ったところが素敵。お別れの時の「案内人殿に敬礼!」はマジで痺れました。
しばしば入る、子供の頃の思い出や春うららかな風景の回想なども良かったです。
ラストは戦争の虚しさを感じました…。

関連記事
「八甲田山」再見
「劔岳 点の記」観た(新田次郎原作)

■ Comment

宵乃さんのご感想に同感です。

①指揮官の判断力と決断力の重要性。
②指揮能力不足上官の許での生き様。
について、深く教えられ、考えさせられました。

 寒い。そして冷たい。白い悪魔の中で凍り付いてしまうような、怖ろしい映画でもありました。
①一人の兵が着衣を脱ぎ捨て凍死する場面が今も焼き付いています。
②凍傷防止の油紙は、私の子供の頃にあったのを覚えています。
③そんな中で、案内人の秋吉久美子が女神のように見えました。

 イラストは、「案内人殿に敬礼!」の徳島大尉ですね?。
 陰影深い顔。純白の手袋。背景の青白い雪原。何と素敵!。

 私の感想は、TBさせていただきます。
2012/12/16 14:51  アスカパパ〔編集

>アスカパパさん

いらっしゃいませ!
アスカパパさんも同じように感じたという事で嬉しいです。本当に恐ろしくて考えさせられる作品でした。
軍の事を知ってらっしゃるならなおさらでしょうね。

> ①一人の兵が着衣を脱ぎ捨て凍死する場面が今も焼き付いています。

わたしもです…寒さがあそこまで恐ろしいものだったなんて…。

> ②凍傷防止の油紙は、私の子供の頃にあったのを覚えています。

たまに田舎から佃煮を送ってくるんですが、あれを包んでるのが油紙かな?
あまり見かけないですね~。

> ③そんな中で、案内人の秋吉久美子が女神のように見えました。

白い息を吐きながら、微笑を浮かべて待っている様子はまさに女神でした。一方が地獄絵図でしたから、彼女が登場してどれだけほっとしたことか!

>  イラストは、「案内人殿に敬礼!」の徳島大尉ですね?。
>  陰影深い顔。純白の手袋。背景の青白い雪原。何と素敵!。

そうです。お褒めの言葉ありがとうございます。
真の敬礼を見た思いでした。心がこもった敬礼は美しいですね。
心打たれるシーンでした!
2012/12/16 16:51  宵乃〔編集

♪雪の進軍 氷を蹴って♪

今でも、冬の北風の強い日に外を歩くと、この歌がふと浮かびます。

天使か女神>そんな感じでしたね、笑顔が本当にチャーミングでした、とても明治の女には見えないけど。(笑)

この映画は何のために作ったのかな?
「男の友情物語」なんだろうけど、仕掛けが大きすぎてピントが埋没してしまった気がします。
それとも、馬鹿なリーダーに着いてくと取り返しのつかない事になる、なんでしょうか。
そう言ったって兵隊は上官を選べないんだし・・・。

青森の連隊も弘前の連隊も、八甲田で死ぬか大陸で死ぬかの違いしかなくて辛いです。

油紙>そうか、もう今の人は見たことないのか。(笑)
少し厚めの紙に油を塗りつけたもので飴色をしてました。
表面は粉薬を包んでたパラフィン紙に似ています。(パラフィン紙は蝋)

2012/12/16 19:03  鉦鼓亭〔編集

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2012/12/16 21:34  

>鉦鼓亭さん

> 今でも、冬の北風の強い日に外を歩くと、この歌がふと浮かびます。

おなじみの歌なんですね。わたしはこの作品で初めて聴いたけど、ホント耳に残る曲でした。吹雪の中を歩いた事なんてほぼないけど!

> とても明治の女には見えないけど。(笑)

あはは、そうでしたか。明治の女のイメージが思い浮かばなくて。
東北の色白美人という感じではあったけど、確かに農家?の娘には見えないかもしれません。

> この映画は何のために作ったのかな?
> 「男の友情物語」なんだろうけど、仕掛けが大きすぎてピントが埋没してしまった気がします。

最終的には反戦の気持ちを持ちました。
あと、どうにもならない状況で人間が人間であり続けるには、誇りや友情などが必要なんだという事も伝わってきたかなぁ。

> 青森の連隊も弘前の連隊も、八甲田で死ぬか大陸で死ぬかの違いしかなくて辛いです。

そうなんですよね…。戦場を描いていないのに、戦争の虚しさをよく伝えていたと思います。

> 油紙>そうか、もう今の人は見たことないのか。(笑)
> 少し厚めの紙に油を塗りつけたもので飴色をしてました。
> 表面は粉薬を包んでたパラフィン紙に似ています。(パラフィン紙は蝋)

えーと、パラフィン紙は薬包に使われてる白い紙なんですね?
今まで紙の名称を気にしてませんでした(笑)
2012/12/17 06:59  宵乃〔編集

天は我々を見捨てたか

流行語大賞になるほど人気のでた映画のようですね。

少年の頃にテレビだかレンタルだかで見て、すごく引き込まれたのを覚えてます。今回のテレビ放送を知って楽しみにしてました…が録画に失敗してショックです(T_T)

この作品の原作者に聞き覚えがあると思って調べたら、富士山レーダーを作った新田次郎さんとは驚きました。
実話が元になっているとはいえ、生存者も少なく資料も少ない中、原作者の新田次郎さんが気象学者だったからこそ自然の恐ろしさをうまく表現できたのだろうと今になって思います。
2012/12/18 00:47  Deka-E

>Deka-Eさん

> 流行語大賞になるほど人気のでた映画のようですね。

それは知りませんでした。
このような出来事を風化させず、多くの人の心に刻み付けた作品だったんですね~。

> 少年の頃にテレビだかレンタルだかで見て、すごく引き込まれたのを覚えてます。今回のテレビ放送を知って楽しみにしてました…が録画に失敗してショックです(T_T)

子供の頃に観たら一生忘れられない作品になりそうです。
再放送あるといいですね!

> 実話が元になっているとはいえ、生存者も少なく資料も少ない中、原作者の新田次郎さんが気象学者だったからこそ自然の恐ろしさをうまく表現できたのだろうと今になって思います。

新田次郎さんは作家の顔しか知らなかったんですが、気象学者だったんですか。
富士山レーダーの事は良く知りませんが、この作品を遺してくれた事には感謝です!
2012/12/18 10:36  宵乃〔編集

中学時代に見ました。

1977年。1学期末テストが終わった後。
生徒会顧問の先生の尽力で、僕らの中学校の体育館で上映されました。
見終わった後、みんな呆然としていましたね。

自然の力には勝てない人間。
そして上官の命令には絶対服従の軍隊。
無残に死んでいく兵士達。

すべてショックでした。

この生徒会顧問の先生に薦められて、駅の近くの会館で「戦艦ポチョムキン」も見ました。
2012/12/28 12:15  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

> 1977年。1学期末テストが終わった後。
> 生徒会顧問の先生の尽力で、僕らの中学校の体育館で上映されました。

学期末テストの後ですか!
それはそれは…開放感を味わう間もなく衝撃的な作品に出会ったわけですね。良い作品を見せてくれるのは嬉しいけど、ちょっときつそう…。
忘れられない作品になったでしょう。

> この生徒会顧問の先生に薦められて、駅の近くの会館で「戦艦ポチョムキン」も見ました。

映画が好きな先生だったんですね。
その作品は階段のシーンが圧巻でした。暴動の原因も印象的で、中学生にはショッキングかもしれません。
2012/12/29 09:41  宵乃〔編集

3年ぶりに、こちらにお邪魔します。

>案内人殿に敬礼!

良い場面でした。


>一方が地獄絵図でしたから、彼女が登場してどれだけほっとしたことか!

彼女に救われた軍人達。武力だけが全てではないです!

>ラストは戦争の虚しさを感じました…。

結局は戦死。悲しいです。

>うわぁ、それはひどい…。本当に大変でしたね。愚痴を聞くくらいなんでもないですよ。

愚痴を聞いて下さってありがとうございます!
伯母の四十九日だけでなく、通夜と告別式の会食でもいろいろ嫌な思いをしました。

>清々しい秋晴れに、嫌な思い出も吹き飛ばしましょう!

そうですよね。爽やかなコメントをありがとうございます!
2015/11/11 18:33  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

いらっしゃいませ!
案内人殿に敬礼のシーンは、何度見ても胸に迫りますよね。

> 彼女に救われた軍人達。武力だけが全てではないです!

そうそう、先人から伝わる知恵と積み重ねた経験を舐めちゃいけません。
自然は怖いですもんね。

> 愚痴を聞いて下さってありがとうございます!
> 伯母の四十九日だけでなく、通夜と告別式の会食でもいろいろ嫌な思いをしました。

どこにもマナーのなってない人がいるもんですね。せめて酔っ払った時のことを覚えていて、本人が反省してくれていればいいんですが…。
こういう席で禁酒令を出せたらいいのに!
本当にお疲れ様でした。
2015/11/12 07:57  宵乃〔編集
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八甲田山
 確か「雪の進軍、氷を踏んで、何処へ行くやら道さえ知れず・・」という歌詞だった。この歌を子供の時に、よく口ずさんだのを今も覚えている。「雪の進軍」は八甲田山のあの悲劇を...
アスカ・スタジオ|2012-12-16 14:56
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