製作:日本’56
監督:山本薩夫
原作:杉浦明平
ジャンル:ブラックコメディ
【あらすじ】巨大台風の直撃を受け、大きな被害を受けた海辺の小さな町。県会議員、町長、議長たちは、無事だった小学校をわざと取り壊し、国から一千万円の補助金を受け取ろうと画策していた。だが、大蔵省から監査官が来るという知らせを聞き…。
台風後の不正補助金申請にまつわる田舎町のあれこれを滑稽に面白おかしく描いた作品。…なんだけども、今もどこかしらで行われてそうで、あんまり笑えないかも?
まあ、この映画で描かれる不正役人は誇張・単純化されたお馬鹿さんばかりなのでクスクス笑えるシーンもあるんですが、やっぱり切実に困っている人たちを完全に無視して自分の利益の事ばかり考えてる人間には嫌悪感を覚えます。三島雅夫さんが演じる役の憎たらしさと言ったらもう!
どちらかというと、考えさせられる社会派作品でした。
芯のしっかりした女性教師と、彼女に想いを寄せるも、不正摘発できるほどの勇気はなかなか出せない代用教員。そして、彼の友人で「なんたらフィリップにそっくり」と言われる青年と、影のある花形芸者の、二組のカップルの恋模様は楽しめました。
イラストは、友人が子どもたちに「かたつむり」を歌っているシーン。子どもたちが喜ぶ様子に、小学生の頃、これと「ぶんぶんぶん」の歌詞の一文字一文字の間に「る」を入れて歌うのが流行ったのを思い出しました。昔から子どもに人気のある歌だったんですね~。
ラストに出る「災害の後には人災がやってくる」という言葉が印象的です。