映画「フランケンシュタイン(1931)」観ました

原題:FRANKENSTEIN
製作:アメリカ’31
監督:ジェームズ・ホエール
原作:メアリー・シェリー
ジャンル:★ホラー
【あらすじ】生命創造の研究に没頭する若きフランケンシュタイン博士は、助手フリッツと共に墓地から死体を盗み出した。綺麗なパーツを継ぎ合わせ、雷の高圧電流を流し、死体を再生させようというのだ。実験は成功したかに見えたが、手違いから犯罪者の脳が埋め込まれていて…。
1930年代を舞台にした作品「ミツバチのささやき」で見かけてから、ずっと観たいと思っていた作品です。おぞましさと悲しみが半々の、見ごたえあるホラーでした。
冒頭から工夫されていて、前説でショッキングな内容だと注意があり、OPにはたくさんの目のイラスト、墓地には死神の像が。怪物の俳優名は”?” と書かれてました(笑)
この物語で一番怖いのは、やはりヘンリー・フランケンシュタイン博士でしょう。彼は、自分を変人と呼び、町の名士である父親と比べた(かもしれない)人々を見返してやろうと、”生命の復活”の研究に没頭します。結婚式直前だというのに狂ったように死体を探す様子は異常としか言いようがありませんでした。
それを手伝うのが、忠実なる助手、せむし男のフリッツです。以前観た「フランケンシュタインの花嫁」のリメイクでは、主人の研究を手伝う召使たちの気持ちがいまいちわからなかったんですが、彼の場合は想像が膨らみました。この外見のせいで、まともな仕事につくことすらできなかったのでしょう。それを、同じように孤立していたヘンリーと出会い、仕事をもらい信頼される事で、彼を心から慕うようになったのかも…。もう彼にとっては善悪なんて関係ないんですね。
また、彼が手違いから犯罪者の脳を盗むというくだりをあえて入れたのは、怪物の凶暴性が脳のせいなのかそうでないのか、視聴者に考えさせるためでしょうか。
ヘンリーは成功に酔いしれるだけで、生みの親としての心構えなどないし、フリッツは怪物を自分より下の存在と認識し、ここぞとばかりにいじめます。そして、ヘンリーの師や婚約者、親友にいたっては、恐ろしい事から目をそらし、すべてをなかった事に…。その中に”フリッツの死”も入っているのが怖い!
正直、怪物が”怪物”と認識されるまでの流れは強引でした。まず松明を近づけようとするフリッツを引き離せよ!と誰もが思うはず。
少女とのエピソードはグサッときましたね。悪いのは怪物じゃなくて、バカな生みの親なのに…。結婚式で町中お祭り騒ぎのなか、父親が歩いていくシーンは本当に悲しかったです。暴徒は怖いけど、今回はそうなる気持ちもわかってしまいました。
後味は悪いけど、観て良かったと思える古典ホラーの名作です。
- 関連記事
- 「ヤング・フランケンシュタイン」観た
■ Comment
これは、なんとなく見た様な気がします。
でも、ほとんど忘れてるみたいです。(汗)
そうか、これもホラーですよね。うん。来年の夏の肝試し大会はこれにしようかな。
来年の話したら、ゾンビが笑う....じゃなかった鬼が笑うでしたね。
いらっしゃいませ!
そうですか~、ご覧になった覚えがあるんですね!
わたしも肝試し企画の時にこの作品を思い出せばいいのに、忘れてて変なタイミングで観てしまいました。
>来年の話したら、ゾンビが笑う....じゃなかった鬼が笑うでしたね。
あはは、けっこうゾンビがお気に入りになってたり?
では、機会があったら観るということで(笑)
>後味は悪いけど、観て良かったと思える古典ホラーの名作です。
やっと見る事が出来ました☆
「ミツバチのささやき」見てからもう3年も経ちます・・・時の流れは、はやい!
宵乃さんの記事に書かれている事、ホトンドそのまま共感しました。
流れるような良い記事ですネ~。
イラストも怖くて、モンスターの悲しみさえ映しているようです。
ただ・・・
>少女とのエピソードはグサッときましたね。悪いのは怪物じゃなくて、バカな生みの親なのに…。
この部分だけはちょっと・・・。
あのエピソードが、あの映画に入れられていた部分で、
アナとか他の子供たちも見ていたと思うのですが、
エリセ監督がその部分を入れたのも深い意味があってのように思いました。
あの子が落ちたのは、親のせいでも、本人のせいでも、モンスターのせいでもなかったようにも思え、また、その全員のせいのようにも思いました。
もちろん他の人のところに預けるなりしていれば一番良かったとは思うのですが、実際手を下したのは?と考えると・・・やはりヘンリーが一番悪いという所に落ち着きそうですが いかがでしょうか?
あれっ? ココまで書いて・・・「生みの親」ってあの子の親でなく、ヘンリーのこと???
今が1931年として、ルネ・クレールやチャップリンの映画ばっかり見ている映画好き人間だったら、この映画マジ怖かったと思います☆
そういう意味で、本当に名作だと思い、見られて嬉しかったです♪
.
2014/10/09 13:52 miri〔
編集〕
いらっしゃいませ、ついにこちらを観たんですね~。
「ミツバチのささやき」は3年前ですか…、ホント時の流れが早いです!
> 宵乃さんの記事に書かれている事、ホトンドそのまま共感しました。
> 流れるような良い記事ですネ~。
> イラストも怖くて、モンスターの悲しみさえ映しているようです。
ありがとうございます♪
作品が良かったので、するする感想が書けました。
この怪物の表情も俳優さんの演技が素晴らしかったからだと思います。
> 「生みの親」ってあの子の親でなく、ヘンリーのこと???
詳細は忘れましたが、馬鹿な生みの親といえば怪物の生みの親ですね。
親が複数いるので紛らわしかったかも。
あの女の子の親は本当にかわいそうでした…。
> 今が1931年として、ルネ・クレールやチャップリンの映画ばっかり見ている映画好き人間だったら、この映画マジ怖かったと思います☆
> そういう意味で、本当に名作だと思い、見られて嬉しかったです♪
確かに、あの時代に観ていたら戦慄が走ったかもしれません。
子供たちのトラウマになっていそうですね。
わたしもこの作品を観られて、この作品についてお話できて嬉しかったです♪
後ろ歩きで登場のシーン、ずっと後ろ歩きで歩いていたのかと考えるとちょっとお茶目に感じちゃいますが、
振り返った時のジャーンと音が鳴るような衝撃が素晴らしいです。この、造作の出来のよさ!
ボリス・カーロフさんの出世作ですよね。「ミイラ再生」でもその異様な雰囲気でてましたが、やっぱりこっちのフランケンシュタインの怪物といえばこの容貌、になってしまうほどのインパクトでした。
少女と花を浮かべて遊ぶ怪物の姿は微笑ましく、花を見て微笑んだりしていたのが、余計に哀しく映ります
怪物にとっては善悪も知らず、無知で無垢なままであり、少女も「花」と同じだったのですよね
愛もなくなぜ造った は別のフランケンシュタイン映画からですが、ほんとまさにその通り作ったとたんにもてあましているヘンリー・フランケンシュタインには吐き気がします
> ボリス・カーロフさんの出世作ですよね。「ミイラ再生」でもその異様な雰囲気でてましたが、やっぱりこっちのフランケンシュタインの怪物といえばこの容貌、になってしまうほどのインパクトでした。
後ろ歩きで登場シーンは忘れてしまいましたが、昔ながらのシンプルな効果音と怪物の造形のインパクトは、まさに元祖という感じでしたね。
リメイクでは出せないカーロフさんだからこその存在感があります。
「ミイラ再生」もいつか観てみたいです!
> 花を見て微笑んだりしていたのが、余計に哀しく映ります
> 怪物にとっては善悪も知らず、無知で無垢なままであり、少女も「花」と同じだったのですよね
本当に哀しいシーンでした…。結果だけ見れば町の人々の怒りもわかるだけに、誰かが彼に愛し方を教えてあげられていればなぁと思わずにはいられません。
原作とは違うと仰っていましたが、このシーンも違うんでしょうか。原作も気になります…。
> 作ったとたんにもてあましているヘンリー・フランケンシュタインには吐き気がします
ですよね!自分の事しか考えられない男に生命の創造なんて土台無理な話でした。
彼を止められる人間がいれば…。