忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「嘆きのテレーズ」観ました

 | サスペンス  com(14) 
Tag:フランス 

嘆きのテレーズ
この目に惚れた(笑)
原題:THERESE RAQUIN
製作:フランス’52
監督:マルセル・カルネ
原作:エミール・ゾラ
ジャンル:★ドラマ/サスペンス

【あらすじ】リヨンの裏町。両親を亡くしラカン夫人に引き取られ、そのまま息子カミーユの妻となったテレーズ。彼女は病弱でわがままな夫を世話し、夫人にこき使われる毎日を送っていた。そんなある日、夫がイタリア人のトラック運転手ローランを家に連れて来て…。

タイトルと最初の展開から、アホな不倫ものか~と思って観てたんですが、意外にも、すごく面白かったです。
ダメで嫌味な義母と、病弱でずるい夫と共に暮らし、一緒にいるだけで陰鬱な気分になりそうな表情をするテレーズ。はっきり言って彼女が魅力的とは思えなかったんですが、不幸な女に嵌る男は多そう。
不倫相手となるトラック運転手も、可哀相なヒロインを救出する王子様の気分で口説いてたのかな。「旦那の友人として会っていれば、いずれは結ばれる運命なんだから、今駆け落ちする方が傷は浅いぜ!」みたいな事を、あの眼力で自信満々に言われたら、テレーズのような境遇ならいちころでしょうね。
ただ、長年ダメ親子と暮らしていたせいか、彼女にもずるいところが。「恩を仇で返すわけにはいかない」と言いつつ、駆け落ちはできないけど一緒に居たいと、ずるずる不倫関係に持ち込むんですよ。しまいにゃ「夫が死んだら?」というような事まで口走って、見えない蜘蛛の糸で男を操っているようにも。
だんだんと悪女になっていく様子は怖いものの、すっかり彼女のいいようになっている男には、つい笑ってしまいました。

義母の陰湿さもいいですね~。ショックで死ぬのかと思いきや、口は利けないけど数年は生きるだろうと医者に保証され、ただただ 「お前が殺したんだろう」という目で彼女を見続けるという執念深さ。これほどの復讐があるだろうか?
そして、終盤は珍しく脅迫者との円満な解決となるはずが…。
…これはあれですね、義母の呪いです。生霊となって復讐を果たしたんでしょう!
それくらい出来そうな眼力でした(笑)
脅迫者は意外といい人だったので少し可哀相なものの、わたし的に主人公や夫、義母にはまったく同情できないので、とてつもなく痛快なラストでした。苦手な不倫絡みなのに後味爽やか~♪

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■ Comment

コワイです~!

眼が~!義母の眼が~~!
あのするどい眼光を見事に再現していますね。さすがです。

>見えない蜘蛛の糸で男を操っているようにも。
無表情でテレーズが何を考えているのかわからず、
私には彼女の本心がさっぱりわかりませんでした。
無意識なのか、意識的なのか・・・でもしっかりと操ってましたね。

>…これはあれですね、義母の呪いです。
>生霊となって復讐を果たしたんでしょう!
絶対ソレです!!
すっごく納得しちゃいました。
2012/10/06 18:56  マミイ編集

先ほどは有難うございました☆

ものすごいイラストですね~!
怖いです!!!
今年のイラストナンバー1では???

>執念深さ。これほどの復讐があるだろうか?
>…これはあれですね、義母の呪いです。生霊となって復讐を果たしたんでしょう!
>それくらい出来そうな眼力でした(笑)

ご自身で書かれた文章と、イラストが見事一致☆
もうこれは何か「賞」を出さねば・・・座布団では足りません・・・。

>不幸な女に嵌る男は多そう。
>テレーズのような境遇ならいちころでしょうね。
>見えない蜘蛛の糸で男を操っているようにも。
>だんだんと悪女になっていく様子は怖いものの、すっかり彼女のいいようになっている男には、つい笑ってしまいました。

すごい分析ですよね~。
多分この場合の成り行きは、書かれている通りなのでしょうね~。

>とてつもなく痛快なラストでした。苦手な不倫絡みなのに後味爽やか~♪

なんというか、宵乃さんらしいこの記事の中で
もう「とどめを刺した」感じですよね~!

カルネ先生もさぞお喜びだと思います☆
あ、ゾラ先生もね♪
2012/10/06 19:38  miri〔編集

>マミイさん

コワイと言ってくださり、ありがとうございます!
やっぱり義母の眼光がこの作品の肝ですよね(笑)

> 無表情でテレーズが何を考えているのかわからず、
> 私には彼女の本心がさっぱりわかりませんでした。

あの親子と暮らしていたせいで、色々と諦めていたんでしょうね~。あんまり先の事を考える思考は持ち合わせてなかったかも。
非難されたり、恨まれたり、罪悪感に苛まれるのは嫌だけど、恋はしたいし、人並みの幸せは掴みたいし、捕まりたくない!という、割と単純で利己的な欲求に従ってるだけに見えました。

> 絶対ソレです!!
> すっごく納得しちゃいました。

やっぱりそうですよね!
実はこの映画のジャンルって、ホラーなんじゃないかと思ってます(笑)
2012/10/07 10:21  宵乃〔編集

>miriさん

ありがとうございます!
この眼光に、もうこのシーンしかないな!と思いました。自分でも気に入ってます(笑)

> ご自身で書かれた文章と、イラストが見事一致☆
> もうこれは何か「賞」を出さねば・・・座布団では足りません・・・。

あはは、ノリで書いてしまいました。この作品には、日本の古典ホラーと通じるものがある気がします。

> すごい分析ですよね~。
> 多分この場合の成り行きは、書かれている通りなのでしょうね~。

miriさんにそう言って頂けると、ちょっと自信がもてそうです。
人間の普遍的な愚かさを描いた作品でしたよね。

> なんというか、宵乃さんらしいこの記事の中で
> もう「とどめを刺した」感じですよね~!

「突然炎のごとく」の時と同じで、人が死んでるのに不謹慎かなぁとも思ったんですが、そう思っちゃったんだから仕方ないと開き直ってみました(笑)

> カルネ先生もさぞお喜びだと思います☆
> あ、ゾラ先生もね♪

正統派なファンの方が読んだら怒られそうだと思ってたけど、先生方は広い心で受け止めてくれますかね~?アハハ☆
2012/10/07 10:48  宵乃〔編集

こんにちは。

 コメントとTBありがとうございました。
 宵乃さんと同じような感想だったので、嬉しいような気分です。

 エミール・ゾラの原作「テレーズ・ラカン」は未読ですが、あの水兵に纏わる話は全く無いと聞いています。(原作を知って居られたら御免なさい)
 「嘆きのテレーズ」は、映画としての武器を活かして素晴らしい作品に仕上げたものだと感心します。
 あのサスペンス風の匂いが堪らなかったです。
2012/10/08 09:29  アスカパパ〔編集

>アスカパパさん

いらっしゃいませ!
こちらこそ、同じような感想の方がいて嬉しかったです♪
わたしも原作は未読です。あの水兵さんが「もう会えないかもな」とこぼすシーンや、死の間際に手紙の事を気にするシーンにホロリときたので、彼の存在は大きいですよね~。素晴らしいアレンジでした。

>  「嘆きのテレーズ」は、映画としての武器を活かして素晴らしい作品に仕上げたものだと感心します。
>  あのサスペンス風の匂いが堪らなかったです。

観始めた時は、こんなに爽やかな気分で観終われると思ってませんでしたよ。
サスペンスの名作です!
2012/10/08 10:39  宵乃〔編集

遅くなってごめんなさい

今TBしました。
TBされているお二人さんもこれから訪ねてみます!

>色々セキュリティの事を考え直してみたものの、結局自分のわかる範囲で最善を尽くすのが一番ですね。ファイアーウォールの設定調べまくったけどわかんない!(泣)わからないでいじると逆に悪くなりそうだから今回は諦めました

PCに長けていそうな宵乃さんでもそうなの!
だったら、私が困っているのは当たり前だと妙に納得です。
|(・艸・。||)ヾ(゚∇゚;) ヨシヨシ…

無線RANにしようかどうか迷っています。
毎年冬になると寒くて炬燵に持っていきたいからねぇ。
昨日買って来たのは親機だけで子機が付いていませんでしたから、
交換するか返品かで迷っています。

2012/10/09 14:47  しずく編集

>bambooさん

> 遅くなってごめんなさい

いえいえ、忙しい時は無理しなくても大丈夫ですよ。いつもコメントありがとうございます!

> PCに長けていそうな宵乃さんでもそうなの!
> だったら、私が困っているのは当たり前だと妙に納得です。
> |(・艸・。||)ヾ(゚∇゚;) ヨシヨシ…

慰めて下さってありがとう。頭痛くなるほど調べたんですが、調べ方が悪いのか、いまいち設定の仕方の良し悪しがわからなくて…。やったらまずい事がわからないと、怖くていじれないんですよ。フリーソフトのファイアーウォールを入れようか迷ってます。

> 無線RANにしようかどうか迷っています。
> 毎年冬になると寒くて炬燵に持っていきたいからねぇ。
> 昨日買って来たのは親機だけで子機が付いていませんでしたから、
> 交換するか返品かで迷っています。

無線RANもややこしくてよくわからないですよね。bambooさんのPCは無線LANが内臓されてないタイプなんですね?
親機と子機はメーカーが同じものがいいので、同じメーカーの子機を買えるならそれにして、ないなら返品してセットで買えるものを選んでは?
冬はあったかくしてPCライフを楽しみましょう♪
2012/10/10 07:43  宵乃〔編集

BSで見ました。

素晴らしかったです!
シモーヌ・シニョレは風貌も演技も非常に印象に残る女優さんですね。
ラカン夫人を演じたシルヴィーの眼だけの演技も素晴らしいです。
予想と違うラストも驚きました。
「見て良かった!」
そう思いました。

追記:宵乃さん。大変でしたね。本当に世の中には色々な人がいます・・・・。
2013/07/11 22:19  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

いらっしゃいませ、こちらをご覧になりましたか!
楽しめたようで良かったです。印象的で素晴らしい作品ですよね。

> シモーヌ・シニョレは風貌も演技も非常に印象に残る女優さんですね。
> ラカン夫人を演じたシルヴィーの眼だけの演技も素晴らしいです。
> 予想と違うラストも驚きました。

本当に女優陣の演技が光ってました。
あの眼は一生忘れられそうもない…(笑)
ラストも痛快です♪

> 追記:宵乃さん。大変でしたね。本当に世の中には色々な人がいます・・・・。

ありがとうございます。
まあ、わたしもちゃんと規約を観てなかったのがいけないんですけどね。
あちらのブログを使い続けるのが不安で引っ越そうかと思って調べたんですが、無料ブログはどこも大差ないことがわかったので、とにかくこまめにバックアップをとる事にしました。
これからもよろしくお願いします!
2013/07/12 07:39  宵乃〔編集

復員水兵

テレーズを脅迫する男。
彼の存在もまたいいですね。
本当に憎たらしい。特にあの不適な目付き。
でも、終盤になると小市民っぽい憎めない面が出てきます。
2013/07/19 20:16  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

> 本当に憎たらしい。特にあの不適な目付き。
> でも、終盤になると小市民っぽい憎めない面が出てきます。

そうなんですよね!
最初は殺人犯を脅迫するなんて愚かな!と思ってみてたんですが、意外にも約束は守るし、ふたりを助けようとするしで、根はいい人だったんだなぁとしみじみしてしまいました。
わずかな出番でしたが、欠かせない人物だったと思います。
コメントありがとうございました。
2013/07/20 07:24  宵乃〔編集

こんばんは☆

今月これからは「1人カルネ祭り」をしようと思いまして
スタートがこの作品です☆

5年ぶりに見ましたが、基本的に若い時の初見時感想と同じような目線で
(見ようと思ったのではなく結果的に)見てしまいました。

こういった作品はおおむね、(登場人物への感想等が変わっても)
作品全体への感想は自分の中に素直目線が根付いているようです☆

>不幸な女に嵌る男は多そう。
>可哀相なヒロインを救出する王子様の気分で口説いてたのかな。

あれはそういうのではなく、好みのタイプという事だったと思います。

>ただ、長年ダメ親子と暮らしていたせいか、彼女にもずるいところが。
>だんだんと悪女になっていく様子は怖いものの、すっかり彼女のいいようになっている男には、つい笑ってしまいました。

私は主人公はその長い暮らしの中で思考しない癖がつき、
全て流されたのではないかなぁ?と思いました。

>義母の陰湿さもいいですね~。

あの女優さん、毎年見ている「巴里の空の下セーヌは流れる」の
ネコを飼っているお婆さんなのですが、今回初めて気付いたという(笑)
女優って凄いなぁ~全然違うじゃん!って感じでした☆

>…これはあれですね、義母の呪いです。生霊となって復讐を果たしたんでしょう!
>それくらい出来そうな眼力でした(笑)

私的にはバイクの故障→トラックの暴走→子供をよける、と
自然な流れの脚本のような気がしました。

義母さんの出演シーンが終盤ほとんどなく、宵乃さんのようには
思えなかったです・・・が、ホントはそうなのかもしれませんね~?

>脅迫者は意外といい人だったので少し可哀相なものの、

いい人ではなかったような・・・

夫が悪いのは母親のせい
男が悪いのは外国人(で差別を受ける)せい
水兵が悪いのは戦争のせい(フランス人が中国で日本軍と戦ったのってマジか???)

そう思ったら、あ、これは反戦映画でもあるのかも~?と思える私でした。


.
2016/09/19 20:52  miri〔編集

>miriさん

いらっしゃいませ、カルネ祭りですか~。一瞬”カルト祭り”と空目しました(笑)
この作品からスタートとは…。他の作品は良く知りませんが、インパクトで負けたりしませんか(笑)

> こういった作品はおおむね、(登場人物への感想等が変わっても)
> 作品全体への感想は自分の中に素直目線が根付いているようです☆

自分の変化と、変わらない部分がわかるのも、映画の面白さですよね。

> 私は主人公はその長い暮らしの中で思考しない癖がつき、
> 全て流されたのではないかなぁ?と思いました。

あはは、上のマミイさんへの返信と同じことを言ってる。
そういうところを”ずるい”と受け取るかどうかの違いでしょう。

> あの女優さん、毎年見ている「巴里の空の下セーヌは流れる」の
> ネコを飼っているお婆さんなのですが、今回初めて気付いたという(笑)
> 女優って凄いなぁ~全然違うじゃん!って感じでした☆

他の作品ではまるで印象の違う役を演じてるんですね!
さすが女優さん。いつか観てみたいです。

> 私的にはバイクの故障→トラックの暴走→子供をよける、と
> 自然な流れの脚本のような気がしました。

そのバイクの故障や、子供をよけなければいけないタイミングだったということがすべて…(笑)

> いい人ではなかったような・・・

いい人と言うと語弊があるかもしれませんが、悪党になりきれない魔が差した一般人ぽかったという意味です。

> そう思ったら、あ、これは反戦映画でもあるのかも~?と思える私でした。

その発想はありませんでした!
2016/09/20 08:08  宵乃〔編集
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