映画「フリーダム・ライターズ」観ました

製作:アメリカ’07
原題:FREEDOM WRITERS
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:フリーダム・ライターズ(生徒たち)&エリン・グルーウェル
ジャンル:★ドラマ
【あらすじ】1994年、ロス郊外のウィルソン公立高校に、理想と情熱を持った国語教師エリン・グルーウェルが赴任する。だがそこでは、2年前のロス暴動以来、教室内でも人種間の対立が。その日を生きるのに精一杯で、将来のことなど考えようともしない生徒たちに、彼女は日記帳を配るが…。
こんなに感動したのは久しぶりかも。教育ドラマに弱いのもあるけど、素晴らしい実話だし、素晴らしい映画だったと思います。
今まで、何度もこういう境遇にある子供たちを題材にした作品を観てきたのに、まだまだ認識が甘かったのだと思い知らされました。冒頭から、ギャングのリーダーの娘がどういう大人たちに囲まれて、こういう生き方しか知らずに成長したのかよくわかります。
”18歳まで生きられれば十分。仲間を守って死ぬのは名誉なこと。”
15,6の生徒たちの口から語られる言葉が重い…。本当にいつ殺されてもおかしくないし、「殺られる前に殺る」くらいの気構えで毎日登校しているんですよね。
彼らにとって、本当に毎日が戦争と同じなんです。
エリンがそんな彼らの心を開いていく過程もとても自然で、淡々と進んでいくのに涙が何度もこみ上げてきました。黒人生徒に対する嫌がらせを注意した事からホロコーストの話になり、生徒たちと本気で話し合うくだりから、もう目が離せません。
とくに、人種間の確執を取り除くために行ったラインゲームは目からうろこでした。彼女が考えたんでしょうか?
先生が質問し、イエスなら教室の中央にあるラインを踏むというだけのゲームなんだけど、ラインまでくると今まで敵として見ていた相手と顔を向き合わせる事になるんですよ。
趣味なんかの軽い質問から始まり、しだいに彼らの日常に踏み込んだ質問に変わっていき、「友達を殺された事があるか?」という質問に、ラインまで来た生徒の多さ…。互いに顔を見合わせて、ここで彼らは初めて気付きます。自分たちが同じような悲しみと苦しみを背負っていると。
それからの生徒たちの変化には本当に感動しました。彼女から与えられたものだけではなく、自分から新しい世界に踏み出して行きます。表情も今までとまるで違って、希望を持った若者の顔になって!
彼女のやり方を快く思わないベテラン教師たちや、エリンに引け目を感じて離れていく夫、意見は違ってもずっとエリンを心配して見守ってくれた父親など、周りの人々の反応も自然で、実話モノでは必ず思う”脚色はしてるんだろうな”という考えもまったく浮かんできませんでした。永久保存決定です!
ちなみに、タイトルの意味は”自由のための書き手たち”。日記をまとめた本のタイトルであり、日記を書いた彼らのこと。授業で教わった、人種差別政策に抗議した13人の大学生 ”自由のための乗り手”をもとにしてます。
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■ Comment
こちらも鑑賞予定で録画しましたので、いつか見ます。
「イントゥ・ザ・ワイルド」というのも録画しました。
内容知ってしまったのですが、いつか見ると思います。
私は今日、やっと借りられた「ジュリエットからの手紙」を見ました♪
記事は近日中にアップします。
しずくさんの仰るように、女性の心をくすぐる作品でした(笑)。
宵乃さんも是非いつか見てね~!
それにしても、宵乃さんも複数作品鑑賞なさって・・・
本当に人間は怖いモノが見たいのですよね~
(自分に被害のない限り)
きもだめし大会、大盛況、おめでとうございます!
本当に素晴らしい企画者ですよ~貴女は♪♪♪
2012/09/02 14:58 miri〔
編集〕
いらっしゃいませ!
鍵コメの方も今読ませて頂きました。…なんというか、返信が遅れてしまって申し訳ありません。あの冒頭ははっきり覚えています。わたしでもラストまであのシーンが頭から離れなかったので、miriさんには辛かったでしょう…。お察しします。
> 私は今日、やっと借りられた「ジュリエットからの手紙」を見ました♪
> しずくさんの仰るように、女性の心をくすぐる作品でした(笑)。
あの作品をご覧になったんですね!
観たいなぁと思いつつ、先延ばしになっています。記事楽しみにしてますね♪
> それにしても、宵乃さんも複数作品鑑賞なさって・・・
> きもだめし大会、大盛況、おめでとうございます!
> 本当に素晴らしい企画者ですよ~貴女は♪♪♪
ありがとうございます。わたしもこんなに盛り上がるとは思ってなくて驚きました。norさんにも楽しんで頂けたし、ホントやって良かったです!
日記って意外と次第に本音がでてくるものなんですよね
彼女が教えたことは彼らの人生を変えてしまうもので、
本当にとても素晴らしかったです
実話と言うのがまた感動しました
こんな教師が、まだいたんだって。
また保守派の科長を演じたイメルダさんもさすがの貫禄でしたよね~
絶対的に現実視した先生のほうが多いのだろうけれど、
よりよくしようとする先生もいて、ぶつかり合いながらも
学校を運営していく、それがなんて難しいものか
ボーダーゲームの素晴らしさはシンプルで誰にでもわかりやすいところですね
自分たちが同じ悲しみを背負っていたなんて、
当たり前なのに気づいていなかったのかなと考えると、
子供たちのそれまでの環境が本当に恐ろしく感じます
いらっしゃいませ!
今まで溜め込んできたものを日記に吐き出して、それだけで結構楽になるもんなんですよね。自分を見つめ直すきっかけにもなるし。
> また保守派の科長を演じたイメルダさんもさすがの貫禄でしたよね~
> ぶつかり合いながらも学校を運営していく、それがなんて難しいものか
あの先生の本性(この言い方しか思いつかない…)には、エリンと一緒になってガーン!となってしまいました(笑)
イメルダさんの存在が、この映画のリアリティを確かなものにしてたと思います。エリンが闘ってきたのは、たぶんものすごく大きなものだったんでしょうけど、彼女はその象徴なんでしょうね~。
> 子供たちのそれまでの環境が本当に恐ろしく感じます
そうなんですよ、エリンがホロコーストの事を教えようと思った気持ちもわかります。エリンと出会えた彼らは本当に幸運でした。彼女と一緒に活動を続けたというのが嬉しいです。
イラストすっごく良いです☆
彼女の「醸し出す雰囲気」が出ています!
ところで「モナリザ・スマイル」の事思いだしたのですが、
あれはこれらの映画と違って、元々荒んでいない学校
(誰も何も言わないけど不平不満はたまっていた)に、
風変わりな教師が着て引っかき回すので、
簡単に言うと反対の物語りだったのですよね~。
この映画に戻って・・・
1992年のロス暴動は覚えています。ニュースで見ました。
でもその後もこうして人種差別が続いていて、
子供たちの生活にも暗い影を落としていた事は知りませんでした。
いつも思うけどアメリカは遅れているけど、
日本はほぼ単一民族で、このあたり日本人には理解が難しいですよね~。
>彼女のやり方を快く思わないベテラン教師たちや、エリンに引け目を感じて離れていく夫
夫さんは可哀想でした。
結婚している意味がないと思いました・・・。
申し訳ないけど、私の目から見たら、
夫さんが引け目を感じた云々は
彼女に良いようにしか描かれていないので、
脚色(もしくは嘘)だと思います。
ホロコーストの件で授業が続くことは悪くはないけど
何と言うか・・・この映画を作るにあたって、
反キリスト教社会的なメッセージを感じてしまいました。
良い映画ですし、保存はしますが、
今までに見たこういう映画とそんなに変わりはなかったです。
もちろん実話の人々は素晴らしいと思いますが、
取り上げたエピソードに、ちょっと「?」を感じてしまって・・・
もちろん全ての授業を再現は出来ないけど、
製作者の意向が見える作品はいまひとつ好きになれません。
PSアイラブユーの監督さんで、それも良い作品でした。
今後も期待したい監督さんです♪
2012/09/07 19:14 miri〔
編集〕
> イラストすっごく良いです☆
> 彼女の「醸し出す雰囲気」が出ています!
こちらもコメントありがとうございます。
やはり彼女は外せないですよね~。エリンが手を添えるシーンとどちらにしようか迷いました。
> (誰も何も言わないけど不平不満はたまっていた)に、
> 風変わりな教師が着て引っかき回すので、
> 簡単に言うと反対の物語りだったのですよね~。
そうですか?
固定観念に縛られた学校に変化をもたらすという点では変わらないと思うのですが…。
> 1992年のロス暴動は覚えています。ニュースで見ました。
> でもその後もこうして人種差別が続いていて、
> 子供たちの生活にも暗い影を落としていた事は知りませんでした。
本当に恐ろしいですよね。こんな事が普通の街の中で行われていて、大人たちはそのままでいいと思ってるなんて。
壮絶な世界で生きていくのがどういうことなのか、うまく想像することすらできません。
> 夫さんは可哀想でした。
> 結婚している意味がないと思いました・・・。
名前も同じ「エリン・ブロコビッチ」の男性と比べてしまいました。ただ単に合わなかったんだろうなぁと。どちらのエリンも相当冷たかったですし。
脚色はもちろんあったんだろうけど、見ている間はぜんぜん気になりませんでした。
> 反キリスト教社会的なメッセージを感じてしまいました。
そこら辺はぜんぜんわからないですね~。
> PSアイラブユーの監督さんで、それも良い作品でした。
> 今後も期待したい監督さんです♪
そちらは未見です。機会があったらぜひ観てみます!