映画「イントゥ・ザ・ワイルド」観ました

製作:アメリカ’07
原題:INTO THE WILD
監督:ショーン・ペン
原題:ジョン・クラカワー
ジャンル:ドラマ/青春
【あらすじ】1990年ジョージア州。大学を優秀な成績で卒業した22歳の青年クリスは、家族に何も告げず無一文でアラスカへ旅立った。アレキサンダー・スーパートランプと名乗り、彼は様々な出会いと経験を重ねていく。一方、残された家族は音信不通の息子の身を案じ、祈る思いで帰りを待つのだったが…。
ラストにゾッとして、実話だと知って更にゾッとしてしまったんですが、ロードムービーとしては結構好きかもしれません。ヒッピーや労働者、おじいさんとの交流がいいんですよ。旅の原動力は親や世の中の偽善への怒りなのに、それを感じさせない温かい言葉と眼差し…。旅で出会った優しい人々が、彼を心配して家に帰そうとしたり引き止めようとしたりするのは、彼自身が優しいからなんだろうなぁと思えました。
ただ、残された家族の事とか色々考えると、あんまり主人公の事は好きになれないんですよ。
妹の言うように、彼は苦しみぬいて穏やかになった両親の姿なんて見てないんだけども、これは彼だけの問題ではなく、家族の問題でもあります。音信不通になられたら、もう両親の方から歩み寄る事ができないじゃない!
でもまあ、アイデンティティを喪失して、自分が何者なのか分からなくなってしまった辛さや不安というのはひしひしと伝わってきました。彼が(独自の)倫理観でガチガチになってしまったのも、そうでもしないと自分がどんな人間かわからなくなってしまうからだろうし、両親のようにはなりたくないと強く思っていたからでしょう。
あそこまでアラスカに拘ったのも、その厳しい自然を生き抜くという儀式によって、初めて自分を確立し、両親と向き合う強さ(自信)を得られると信じていたからだと思います。
たぶん二度と観ないけど、美しい映像が印象的な忘れがたい作品でした。
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■ Comment
宵乃さん、こんにちは。
出て行ったほうは残された者の気持ちはわからないんでしょうね。
私の義弟が主人公と似たような状況で
(大学生のときに両親が再婚で実の父ではなかったことを知り
アイデンティティ喪失、家を飛び出してほぼ音信普通状態です。)
他人の私から見れば甘えているようにも思うし、
書類上の立場なんて小さな問題のように思えますが
本人にとっては大問題でとても苦悩しているんでしょうね。
さまざまな人と出会い、やさしさに触れ、大自然の凄さに圧倒されたあとで
帰ってきた彼が家族とどう接するか・・・を見たかったです。
ラストに出てきたご本人の写真の表情がとても印象的でした。
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
マミイさんの身近にも主人公のような人がいたんですね…。この作品、最終的には見るのが辛かったですけど、これを観て考え直す人がいるなら意義もあると思いました。
> 書類上の立場なんて小さな問題のように思えますが
> 本人にとっては大問題でとても苦悩しているんでしょうね。
なかなか同じ様な経験がないと想像しにくいものがあります。あちらはキリスト教の影響もありますし。
> さまざまな人と出会い、やさしさに触れ、大自然の凄さに圧倒されたあとで
> 帰ってきた彼が家族とどう接するか・・・を見たかったです。
わたしもそれを観たかったので、まさかあんな流れになるとは…。
まあ、ハッピーエンドにして彼の行動を肯定しちゃうと、真似する人も増えるかもしれないし、これでよかったのかもしれません。
描くシーンを探していたらラストの写真とまったく同じシーンがある事に気付いて、なんだか怖くなってしまいました。本当にあった事なんだなぁとしみじみしてしまいましたよ。
この映画は観てから3年ほど経ちますので、細かいことは忘れかけています。
が、強い衝撃を受けたことだけは覚えています。
主人公の心理は総体的に受け止め難かったことだけは事実です。
正直言ってこのような映画は好きではありません。
だけど、言葉では具体的に表現出来ませんが、映画的には優れた作品であることは認めたいです。
事実に基づく作品であることが、そうさせるのでしょうか。
TBさせていただきます。
2012/08/13 19:16 ascapapa〔
編集〕
こちらもコメントありがとうございます。
この主人公はほぼ共感できないですよね~。もう少し他の方法があっただろうし、結果的にあんな事になってしまって、家族に一生の傷を残したと思います。
でもまあ、この青年のような気持ちでいる若者がこの作品を観たら、考え直すかもしれないと思えば映画化した意味もあるかな。
実話の重さを感じました。
2012/08/14 11:00 宵乃
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2012/09/02 21:53
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/09/03 20:27
■ Trackback
- イントゥ・ザ・ワイルド
- 孤独で死に向かって歩くロードムービーとでも言おうか。この映画は私にとって、衝撃と、不可思議な魔力と魅力に充ち満ちた作品だった。理解に苦しむ一面を有してはいたものの、、。
アスカ・スタジオ|2012-08-13 19:21
- 素晴らしき出会いに感謝!
- イントゥ・ザ・ワイルド 原題:INTO THE WILD 製作2007年 アメリカ 監督:ショーン・ペン 原作:ジョン・クラカワー 脚本:ショーン・ペン 出演:エミール・ハーシュ、キャサリン・キー
子育て 時々 映画|2012-07-31 10:09
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