映画「あるじ」観ました
製作:デンマーク’25
原題:DU SKAL ARE DIN HUSTRU
監督:カール・テオドール・ドライエル
ジャンル:★コメディ/ドラマ
【あらすじ】家族に対して横暴な振る舞いをし、妻のイダにも容赦なく当たっていたヴィクトア。見かねた彼の元乳母マースは、イダにしばらく身を隠すように言う。マースはイダが病気で療養していると説明し、身の回りの事は自分でやるようにヴィクトアに言いつけるのだった。
冒頭で主婦が主役、主婦のための作品!と断言しているだけあって、普段から不満を抱えている主婦にはスカッとする作品です。
この父親がもう酷いったらないんですよ。口を開けばネチネチ嫌味しか出てこなくて、「お前は性質の悪い舅か!」と言いたくなる様な腹立たしさ。手を出さなきゃ虐待じゃないと思ってるんですよね~。既視感はんぱなかったです。周りの人々が「本当は愛し合ってる」と信じてるのが不思議なくらい冷酷な態度でした。
そんな虐待されるイダを黙って見ておられず、彼の元乳母マースが一計を案じます。
現代のコメディの原型でしょうか。他人の気持ちがわからない、わかろうとしない人間が、その立場になって悪戦苦闘を経てやっと自分の過ちに気付くという流れです。
あの冷たい目をした横暴な旦那が、しだいに乳母に叱られた幼い頃の記憶が蘇ってきて、従順な教え子みたいになっていく過程が痛快でした。なんたって、最初は父親の真似をして「凍えてしまえ!」と吐き捨てるように言った娘が、母親を恋しがる父親の姿にほだされそうになってしまうくらいでしたから。
最後のプライドを打ち砕くため、マースが手紙を使った一連の罠も面白かったです。
あ、書き忘れたけどサイレント映画です。こんな古い作品なのに、まったく時代を感じなかった。まだまだそこら中にあると思うよ、こういう家庭。
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