映画「切腹(1962)」観ました

製作:日本’62
監督:小林正樹
原作:滝口康彦
ジャンル:★時代劇
【あらすじ】彦根藩井伊家の上屋敷に津雲半四郎と名乗る浪人が現れる。生活に困窮した浪人が「切腹する」と言っては、敷地内を汚されたくない人々から金品を巻き上げているのだ。家老の斎藤勘解由は数ヶ月前にやってきた浪人の話を始め…。
いやぁ、痺れました。武士道を批判するような内容だけど、これ観たら「サムライかっこいい!」ってなりますよ。
半四郎が語りだしてからの凄みなんて、言葉じゃ言い表せないほどの迫力。哀しい真実と彼の目的が見えてくるにしたがって、ぐいぐいと引き込まれました。
復讐といっても、命を奪ったり、相手を貶めるつもりじゃなかったところがいいですよね。ただ自分や井伊家の人々の前で真実を暴き、詫びの言葉のひとつでもあの世への手土産にしたかっただけ。何より許せないのは、刀を手放せなかった自分自身というのがひしひしと伝わってきます。命より髷を奪うというやり方もよかった。
でも、自分ひとり食べていくのがやっとな男と娘を結婚させるくだりは、彼視点でしか語られないから、ふたりが愛し合ってると勝手に決め付けていたようにも見えました。
側室でなくても、娘が気に入るような良い条件の相手を探しても良かったのでは?と思ったり。
井伊家のやり方が酷かったとはいえ、最終的には下級武士たちを殺してしまったわけだし、そこら辺をはっきりさせていればもっとスッキリした気持ちで観終われたのに…と少し残念に思いました。
■ Comment
すばらしいですよね!
画面から漂う緊張感に不安感、迫力が半端ないです!!
半四郎ののらりくらりとした口述にもサスペンス的な要素もあって
一体この男は何をしにきたのか?と先の展開が楽しみにもなります
「一命」は見られましたか?
同じ原作を使っていることからほとんどリメイクのようになっているのですが
若干違う部分もあり、解釈の違いの面白さもありますが
(ラストは竹光での大立ち回りになります)、個人的には
この「切腹」の良さが改めて浮き彫りになっていると感じました
発声、テンポ、切り回しの良さ。
29歳の仲代さんがどう見ても中年武士にしか見えないところも◎っ
復讐とはいっても井伊家に対してではなく、その裏にあるもの、武士という面目、
自分自身が刀を捨て切れなかった事に対する根本的なものに対するものであるところも
この作品の良い点だと思います
真実を明らかにし、武士の面目が形だけのものだと言う事を突きつけた上で
わびの一言でもあれば、確かに良かったのでしょうね
でもそれができないのが武士というものでもある…半四郎が切り込んだ部分は実に難しいところです
素敵なイラスト拝見しました
半四郎がかっこいい~!
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
この作品は本当に素晴らしいですよね。古さも感じないし、世界にも自信を持って見せられる作品でした。
最初はよく状況が飲み込めなかったけれど、半四郎が登場して語りだしてから一気に引き込まれましたね。これぞ映画という感じでした。
> 「一命」は見られましたか?
> 若干違う部分もあり、解釈の違いの面白さもありますが~
その作品は未見ですが、makiさんの記事を読んで気になってました。最近の時代物は苦手だけど、この作品の良さを知るためにも機会があったら観てみたいです。
仲代さんの存在感は、そうそう出せるものではないですよね。脚本の妙もあり、武士というものを改めて考えさせられました。武士を騎士に置き換えたら海外リメイクも可能かしら?と考えてみたけど、やっぱり無理!(笑)
何気に社会派ドラマでしたね。
> 半四郎がかっこいい~!
ありがとうございます。作品の大半を半四郎が占めているのに、それでも飽きないカッコよさでした。
マジで痺れます!!
レンタル屋をうろついていたらあったので、借りて見てみました。
たまらんです。一見単純な事件が次から次へとその姿を変えていく橋本忍の脚本が見事。仲代達矢の主人公もいいですが、立場上悪役となる江戸家老の三国連太郎がいい。お互いに大人で「こいつは何を考えているんだろう」的なやりとりにしびれました。
時代劇ベストどころかマイベストまで揺らいでしまうすごい映画でした。見てよかった!
そして後半の大チャンバラシーンをどこまでも悲壮に撮った監督の演出の手腕にもう拍手です。無声映画「雄呂血」みたい。
いちおう万事手配した家老の三国連太郎も、幕府の調査や当主の立て前のために、近いうちに「病死」するのだろうと思われる含みを持たせたラストシーン、いやー2時間が満腹。ムチャクチャ面白かったです。
2016/08/28 07:02 ポール・ブリッツ〔
編集〕
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
仰る通り、次々と物語の様相が変わっていくのでグイグイ引き込まれる作品でしたね~。
> お互いに大人で「こいつは何を考えているんだろう」的なやりとりにしびれました。
やはり主人公だけでなく、それに対する登場人物の存在感も重要です。
役者同士のぶつかり合いも相まって、緊張感が増していたと思います。
> 時代劇ベストどころかマイベストまで揺らいでしまうすごい映画でした。見てよかった!
素晴らしい作品に出会うと、アドレナリンがドバドバ出ますよね!
楽しまれたようで良かったです♪
> いちおう万事手配した家老の三国連太郎も、幕府の調査や当主の立て前のために、近いうちに「病死」するのだろうと思われる含みを持たせたラストシーン
そこら辺は忘れていました。もしかしたら気付いていなかったかも?
再見する時は、ラストもしっかり注目してみますね。
あと、もう一つの件もありがとうございました。
来月が楽しみです♪