忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「サラエボの花」観ました

サラエボの花
製作:ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、オーストリア、ドイツ、クロアチア’06
原題:GRBAVICA
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】サラエボ。シングルマザーのエスマは、娘サラの修学旅行費を稼ぐためナイトクラブで働いていた。一方サラは、同じシャヒード(殉教者)の遺児サミルと友情を深めていく。だが、母が父のことを教えてくれず、次第に不満を募らせていき…。

内容を知って避けていた作品でしたが、そんなに重くないという事で観てみました。
かなり見やすかったです。母親の秘密についてはっきりと明かされるのは後半なんですが、それは娘が抱えるフラストレーションと、過去を思い出したくない母親の気持ちを表しているようで、真実を知ったときの衝撃をメインにしてなかったところが良かったのかもしれません。
娘サラの反応が自然でいいですね~。あまりにティーンエイジャーそのもので時々ムカついたけど、何も教えてくれない母親に反発するようになっていく気持ちはよくわかりました。
娘の修学旅行費を稼ぐため、きっと吐くほど怖いナイトクラブで働くエスマが泣かせます。沈黙を守るかぎり、娘には伝わらない苦労ですよね。辛そうにしている姿を娘に見せられず、独りで耐えている姿が痛ましい。
そんな彼女と惹かれあう、一見強面、でもよく見ると優しい目をしている用心棒のおじさんも素敵でした。たぶん、エスマを送って家の窓に娘の姿を見た時から、彼女の過去には見当がついていて、細心の注意を払って彼女の側にいたんだと思います。ラストのトラブルの後、大丈夫だったのかな?
あと、疲れ果てたエスマをあたたかく迎える親友も良かったです。工場の仲間からカンパを集めてきて、「もう安心よ。泣きたいだけ泣きなさい」と抱きしめるシーンで涙腺が…。
すべてを知って、父親への思慕の念を断ち切るように、サラが自らの髪を切り丸坊主にするシーンも印象的。ラストで笑顔を見せるエスマに希望が持てました。
ちなみに、原題はグルバヴィッツァで、もっとも激しい戦闘が行われた地区の名前だそうです。邦題はセラピーでエスマたちが歌っていた「砂漠にも花は咲く~」からきているみたいですね。エスマにとってのサラを示す邦題も素晴らしいです。

■ Comment

こんにちは☆

鑑賞されたのですね。

>真実を知ったときの衝撃をメインにしてなかったところが良かったのかもしれません。

ハイ、そういう(衝撃をメインにする)映画ではなかったですね。

>娘サラの反応が自然でいいですね~。
>沈黙を守るかぎり、娘には伝わらない苦労ですよね。辛そうにしている姿を娘に見せられず、独りで耐えている姿が痛ましい。
>あと、疲れ果てたエスマをあたたかく迎える親友も良かったです。工場の仲間からカンパを集めてきて、「もう安心よ。泣きたいだけ泣きなさい」と抱きしめるシーンで涙腺が・・・。
>すべてを知って、父親への思慕の念を断ち切るように、サラが自らの髪を切り丸坊主にするシーンも印象的。
>ラストで笑顔を見せるエスマに希望が持てました。

希望の見える、良い映画だと思います。
過去の傷ではなく、前を見て生きる事を、描いていると思いました。

>邦題はセラピーでエスマたちが歌っていた「砂漠にも花は咲く~」からきているみたいですね。エスマにとってのサラを示す邦題も素晴らしいです。

「花」というのは女性をあらわす言葉として、いろんな使われ方をしますが、この邦題は美しいですね。
「運動靴と赤い金魚」でも小学生の女子が皆で「私たちは国の花」というところにグッときました。
古い表現かもしれないけど、大和撫子、とも言いますし、素晴らしい表現だと思います。
2012/04/17 14:17  miri〔編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/04/17 14:30  

>miriさん

いらっしゃいませ!
miriさんとbambooさんのおかげでやっと観られました。勇気を出して見てよかったです。

> 希望の見える、良い映画だと思います。
> 過去の傷ではなく、前を見て生きる事を、描いていると思いました。

そうですよね。用心棒さんがどうなったのか気になるところですが、みんな前を見て生きていけると希望を持てました。紛争を体験した、女性の監督ならではの優しさに溢れた作品だったと思います。

> 「花」というのは女性をあらわす言葉として、いろんな使われ方をしますが、この邦題は美しいですね。
> 「運動靴と赤い金魚」でも小学生の女子が皆で「私たちは国の花」というところにグッときました。
> 古い表現かもしれないけど、大和撫子、とも言いますし、素晴らしい表現だと思います。

そうですね~。「運動靴~」でもそういえば歌ってました。
こういう素敵な邦題を目にすると嬉しくなります。英語題では、原題の後に、やはり歌の歌詞”私たちの幻想の楽園”にちなんで、”夢の地:THE LAND OF MY DREAMS”と続くそうです。

あと、鍵コメもありがとうございます。miriさんがあの作品を本当にお好きなんだという事がよくわかりました。
わたしがああいうエピソードが苦手なのは、怖くて気分が悪くなる場合と、怒りで他の事が考えられなくなってしまう場合があって、あの作品の場合、後者なんですよね。miriさんのおかげで、どういう作品だったのかわかって感謝してます!
2012/04/17 16:20  宵乃〔編集

良い作品でしたね

ボスニア紛争は終わってもまだ爪痕は市民を苦しめます。しかしこの作品では主人公
親子を通してその苦労を描きつつも前向きに希望が見言い出せるないようで決して
暗く哀しい話にはなっていませんでしたね、そこがこの作品の好きなところです

4分間のピアニストですがラストの演奏は白木加絵さんとう日本人ピアニストさんが
演奏されていたそうです。
またそれ以外のピアノの演奏は木吉佐和美さんという方が担当されていたそうですよ
ラストの演奏はまたひと味違った迫力のある感情のこもった演奏でそれだけに
レッスン時のシューベルトの『即興曲 作品142の2 変イ長調』とは違うピアニスト
を起用したのでしょうね
いずれにしても日本人ピアニストが外国の映画に携わっているというのは嬉しいも
のですね~
2018/02/11 18:13  ねむりねこ

>ねむりねこさん

> 決して暗く哀しい話にはなっていませんでしたね、そこがこの作品の好きなところです

ですよね。戦争映画は暗くて重いものが多いけど、そういうのは思い出したり再見するのが嫌になることもあるので、こういう希望が持てる作品の方が私も好きです。

> いずれにしても日本人ピアニストが外国の映画に携わっているというのは嬉しいも
> のですね~

なんとなく同じ日本人として誇らしくなっちゃいますよね。
いつか再見することがあったら、白木加絵さんと木吉佐和美さんの演奏をじっくり聞いてみたいと思います。
2018/02/12 08:06  宵乃〔編集
名前
タイトル
URL
本文
非公開コメント

■ Trackback

映画「サラエボの花」を観る
サラエボの花はたぶん緋色だろうけど、頼りげなく揺れる草原のギボウシにも感じられた (ストーリー)ボスニア内戦から10余年経ったかつての戦火の街・サラエボ。シングルマザーのエスマは、修学旅行を楽しみにする12歳の娘・サラを見て、旅費の準備に奔走していた。父親...
晴山雨読ときどき映画|2012-04-17 22:27
.