映画「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」感想

製作:アメリカ’03
原題:THE LIFE OF DAVID GALE
監督:アラン・パーカー
ジャンル:ドラマ/サスペンス
【あらすじ】テキサス州。もと大学教授で、死刑制度反対運動の指導者だったデビッド・ゲイル。だが今は、レイプ殺人の罪で死刑執行を3日後に控える身だった。そんな時、女性記者ビッツィーは、大金と引き替えに独占インタビューを許可され…。
これは観てる間はそれなりに引き込まれるんですけど、最後で「う~ん?」となってしまいました。
死刑制度廃止を訴えていると見せかけて、マスメディアやそれに振り回される人を批判してる気がします。
以下、ネタバレ注意。
まず、最後のいらんネタばらしなんですが、あれはたぶんビッツィーが自分を責めないように、わざわざ入れたんだと思います。
でも、デビッドが全てを計画したんだとすると、動機は死刑制度批判というより、「冤罪があったと証明できるか?」とTV番組で挑発されたからのような。コンスタンスが言っていたように、自分の頭のよさを誇示したいだけだったのでは、と疑ってしまいます。ビッツィーにそれをばらしたのも、誰かにそれを知っていてほしかったとも取れますよね。
そして、出て行った奥さんに届いた大金と、「何でもする女」からの謝罪の手紙!
あれじゃ、「俺は無実だったんだ。お前はまた信じなかっただろう?」と責めているようなもんですよ。しかも、彼女には自分の意思で死刑になったとは知らせてないだろうから、夫は自分に見放されて孤独のうちに無実の罪で死んでいったんだ…と思い詰めるのは確実。ほとんど復讐です。
まあ、結局彼自身も、彼をよく知るコンスタンスの手の平の上で転がされていたような気もしますが。
ビッツィーの救済措置なんか考えず、きっぱり二つ目のビデオだけで終わらせておけば、まだ死刑制度廃止について思いをめぐらせながら見終われたと思います。真相はどうだったかなんて、観る側の想像力に委ねればいいじゃないですか。
あんなトリッキーな手段、アメリカなら誰かやりそうだけど(笑)、実際にやるんじゃなくて映画にして訴えるのは、いい方法だと思うんですけどね。
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■ Comment
宵乃さん、こんにちは。
この作品はブログを始める前に1度だけ見たことがあります。
私も観終わった後に「う~ん?」となりました。
私は今までは死刑制度にはどちらかというと賛成派だったんですが、
以前犬塚ケンさんが書いておられた記事で
冤罪の多さの事などを知り、
この映画を観なおしてみたくなってます。
でもまた「う~ん?」ってなっちゃいそうですけど。笑
マミイさんも首を傾げてしまいましたか(笑)
なんというか、社会的なドラマというより、どんでん返しのサスペンスを狙った作品でしたよね。
ある程度、サスペンスで盛り上げる事は必要だと思いますが、最後のはやりすぎだったように思います。
> 冤罪の多さの事などを知り、
> この映画を観なおしてみたくなってます。
わたしもどちらかというと死刑制度賛成派だったので、冤罪の事を重要視してなかったのが恥ずかしいです。刑事ドラマみたいに、どこでもしっかり捜査してるとも限りませんし、もし自分が・・・となったら恐ろしいですもんね。
でも、これを再見するよりは別の冤罪映画を探したほうがいいかも(笑)
2011/11/09 09:41 宵乃
これはラストにもやもやさせられますが見応えはありましたね^^
スペイシーにあの手の役やらせると一級品です。
冤罪、国内ではどうなんでしょうね。
なかなかタブーな領域っぽいので興味があります。。
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
そうですね、スペイシーさんの印象が一番強く残りました。死刑制度うんぬんより(笑)
> 冤罪、国内ではどうなんでしょうね。
> なかなかタブーな領域っぽいので興味があります。。
怖いから見たくないけど、知らなきゃいけないことなんでしょうね。
最近のだと「それでもボクはやってない」あたりでしょうか。言葉が届かない感じが怖かったです。
古い作品だと「真昼の暗黒」という邦画が実話をもとにした冤罪映画の名作らしいので、わたしも機会があったら観たいなぁと思ってます。
2011/11/17 12:11 宵乃
こんにちは。映画観ました。「動機は死刑制度批判というより、「冤罪があったと証明できるか?」とTV番組で挑発されたからのような。」確かにそうですね。この映画の結末の後はどうなったんだろう。ビッツィーはどんな形でこの問題を取り上げ、世に問うたのだろうと思いを巡らしています。心に残る映画です。素晴らしい作品との出会いに感謝です。
初めまして、コメントありがとうございます!
> この映画の結末の後はどうなったんだろう。ビッツィーはどんな形でこの問題を取り上げ、世に問うたのだろうと思いを巡らしています。心に残る映画です。素晴らしい作品との出会いに感謝です。
そうですね~、ひっかかる点はあったものの、死刑制度について考えさせられる作品でした。
計画に関わってない、純粋に死刑制度反対の意思を持つビッツィーなら、きっと改革の一歩を踏み出せる気がします。
この作品の良い部分に気付かせて下さってありがとうございました♪
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