忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「現金(げんなま)に体を張れ」観ました

現金(げんなま)に体を張れ
製作:アメリカ’56
原題:THE KILLING
監督:スタンリー・キューブリック
原作:ライオネル・ホワイト
ジャンル:★犯罪/サスペンス

出所したばかりのジョニーは、さっそく競馬場の売上金強奪という大仕事に乗り出す。信用の置ける仲間を集め、周到な準備の末、いよいよ決行の時が。計画は予定通りに進められるが…。

今年初の映画感想はこちらになりました。といっても、観たのは年末だけど。
これは面白かったです。テンポもいいし、「地下室のメロディー」と似てるなぁと思いながら観てました。あちらはギャバン&奥さんの魅力と、ラストの余韻が好きだったのに対し、こちらはイラストの男&奥さんの魅力と、計画が進行していく小気味よさが素晴らしかったです。…主人公のジョニーとやらは、彼にぞっこんの恋人が利用されてるように見えて好きになれなかったし、顔が覚えられなくて印象に残ってないですね(笑)
他にも、仲間の誰がどんな役割を果たしているのかいまいち把握できなかったり、狙撃の男が駐車場で銃を構えた時にはそれはないだろと思ったりもしましたが、しだいに計画の全貌が明らかになっていく展開には手に汗握りました。
やはり、計画の不安要素である夫婦が面白かったです。いや、旦那さんは可哀そうだったけど、奥さんの悪妻っぷりが見事で。金の匂いを嗅ぎつけて、普段は絶対に言わないような言葉や態度で、計画を聞きだそうとする姿が滑稽で醜悪。あれだけ意図がはっきりしているのにそれにひっかかる一途な旦那は、ある意味可愛かったです。
わたし的にラストは「地下室~」が好きなので、この作品で一番アッと言わされたのは、彼ひとりで状況を覆したあの瞬間ですね。奥さんにも見せてやりたかった!

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■ Comment

No title

す、すごいタイトルの映画があるものですね。(@_@)
ビックリしました。
でも、サスペンスものは退屈しない展開が多くて、好きなので、是非見てみたいと思いました。
宵乃さんが面白かったのなら是非とも。
2012/01/06 12:14  かえるママ21

★★★★★

当方でも五つ星の、大お薦め映画です。
時間軸を自由に移動しながらの作りは、後年、「パルプフィクション」なんかに真似されましたが、面白さはコチラの方が数段上のような気がしますね。
5年前の記事、TBしました。

遅れましたが、明けましておめでとうございます♪
今年もよろしくお願いいたします。
2012/01/06 13:12  十瑠

>かえるママ21さん

> す、すごいタイトルの映画があるものですね。(@_@)
> ビックリしました。

アハハ、最初は”げんきん”って読んでたんですが、まさかの”げんなま”でした。
古めの作品ですが、テンポが良くって今でも十分通用すると思います。モノクロなので、苦手な人もいると思いますけどね~。機会があったらぜひ!
2012/01/06 14:53  宵乃

>十瑠さん

明けましておめでとうございます!
こちらこそよろしくお願いします、今年も映画のお話たくさんいたしましょうね♪

十瑠さんもこの作品、お好きでしたか。
「パルプフィクション」は未見ですが、つくりを真似する作品があるくらい斬新な作品だったんですね~。
テンポもいいし、若い頃に撮った作品とは思えない完成度でした。
では、後ほどブログの方、お邪魔させていただきます!
2012/01/06 14:59  宵乃

こんにちは。

スタンリー・キューブリックが同じ1950年代に作った「突撃」でも同じ事を感じましたが、同時間帯に於ける異なる場所での出来事を交錯させるクロス・カッティングが抜群に巧い監督だと思いました。人物描写も丹念で、面白味は格別でした。
1960年代は“英雄も人間”を感じさせた「スパルタカス」や“自由に解釈して呉れ”と豪語した「2001年宇宙の旅」。1970年代は、現世の凶悪犯罪を予言するかのような「時計じかけのオレンジ」で、私の度肝を抜いて呉れた監督でした。
2012/01/09 12:12  アスカパパ〔編集

>アスカパパさん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
「突撃」も観たいんですよ~。この間、ドキュメンタリーを観てキューブリック熱が高まってます。

> 同時間帯に於ける異なる場所での出来事を交錯させるクロス・カッティングが抜群に巧い監督だと思いました。人物描写も丹念で、面白味は格別でした。

下手な監督がやったら頭がこんがらがって観辛いだけですが、さすがキューブリックという感じでした。人物像も多くを語らず映像から伝わってくるものがありましたし。

> 1960年代は“英雄も人間”を感じさせた「スパルタカス」や“自由に解釈して呉れ”と豪語した「2001年宇宙の旅」。1970年代は、現世の凶悪犯罪を予言するかのような「時計じかけのオレンジ」で、私の度肝を抜いて呉れた監督でした。

「2001年~」と「時計じかけ~」はわたしにはちょっと合わなかったですけど、他にはない独特の世界で、どこかに本当に存在していそうなリアリティは凄かったです。
ぜひとも全作品観てみたいですね~!
2012/01/09 13:35  宵乃

宵乃さん、こんばんは☆

この映画、今月見ました☆
すっごく良くって、明日記事をアップしますので、またお願いします♪

イラスト、イイですね~!
見ていて「こういう場面?」と思いましたが(笑)

実はこのイラストを印象的に覚えていたので見たのです・・・
もう1年半も経っていたなんて、ビックリ仰天!

>計画が進行していく小気味よさが素晴らしかったです。
>しだいに計画の全貌が明らかになっていく展開には手に汗握りました。

ハイ、そういう映画でした。
時間を戻すこととか、もっともっと知られても良い作品だと思いました。

>・・・主人公のジョニーとやらは、彼にぞっこんの恋人が・・・以下

私はそういうふうには見えなかったです。
たしかに彼女の想いの方が強そうだったけど、
彼は女性は彼女だけで、とにかく「お金」に興味があったのだと思います☆

>他にも、仲間の誰がどんな役割を果たしているのかいまいち把握できなかったり、

これは割りと分かりやすかったです☆

>狙撃の男が駐車場で銃を構えた時にはそれはないだろと思ったりもしましたが、

これは多分、結構遠い方の駐車場で、あの時間は警備員以外はあんまり出入りしないからという意味だと思いましたが、私も「今ここで?」とは思いました。

>イラストの男&奥さんの魅力と、
>やはり、計画の不安要素である夫婦が面白かったです。以下・・・
>それにひっかかる一途な旦那は、ある意味可愛かったです。

この夫婦がこのお話しのキモなのでしょうけど、
やっぱ拒否感の方が強くて・・・。

よくもまああれだけの描写をと思うと、
まぁ、呆れるのを通り越してご立派かもしれませんが・・・。

>この作品で一番アッと言わされたのは、彼ひとりで状況を覆したあの瞬間です。

流れ的におかしくはなかったので、自然と受け止められたけど、やっぱりギョッとしました☆
良い作品をご紹介下さり、有難うございました☆


.
2013/07/30 18:58  miri編集

>miriさん

いらっしゃいませ~、こちらをご覧になられたのですね♪

> イラスト、イイですね~!
> 見ていて「こういう場面?」と思いましたが(笑)

ありがとうございます。観た直後は彼が一番印象に残ってたのに、今はどんなシーンだったのか思い出せません…。っていうか、背景汚ねー!

> 実はこのイラストを印象的に覚えていたので見たのです・・・
> もう1年半も経っていたなんて、ビックリ仰天!

嬉しいです。気に入って頂けたようで良かった♪
それにしても、一年半ですか…本当に時の経つのは早くて怖いくらいです。

> 時間を戻すこととか、もっともっと知られても良い作品だと思いました。

そういう作品のさきがけだったんでしょうね~。
キューブリック監督の代表作とはいかないまでも、もっと知られててもいいのに!

> たしかに彼女の想いの方が強そうだったけど、
> 彼は女性は彼女だけで、とにかく「お金」に興味があったのだと思います☆

あんまりよく覚えてないんですよ。たぶんこれも「地下室のメロディ」と比べてしまったのかな。
miriさんのように”今はお金に夢中”と考えた方が、楽しめそうですね。

> これは多分、結構遠い方の駐車場で、あの時間は警備員以外はあんまり出入りしないからという意味だと思いましたが、私も「今ここで?」とは思いました。

もう少し、どういう場所なのか説明があればよかったかも。テンポがいい分、説明が足りないところもありました。

> この夫婦がこのお話しのキモなのでしょうけど、
> やっぱ拒否感の方が強くて・・・。

あ~、嫌いな人は嫌いでしょうね。わたしは呆れるのを通り越して完全にフィクションとして楽しめました。

> 流れ的におかしくはなかったので、自然と受け止められたけど、やっぱりギョッとしました☆
> 良い作品をご紹介下さり、有難うございました☆

このシーンで一気に好感度MAXでした(笑)
こちらこそ観て下さってありがとうございました。
2013/07/31 10:08  宵乃〔編集
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