映画「デリー6:DELHI-6」観た
製作:インド’09
原題:DELHI-6
監督:ラーケーシュ・オームプラカーシュ・メヘラー
ジャンル:ドラマ
【あらすじ】NY育ちのローシャンは、祖国に帰りたいという祖母に付き添いインドの首都デリーへ。彼が最初に目にしたのは、都市伝説の黒猿が人々を襲っているというニュースだった。初めてのインドに戸惑う彼だったが、美しい娘ビットゥーと出会い…。
インド映画らしい活気にあふれた作品でした。
ちょっと大雑把というか、ぶちぶち途切れて、はっきりいって上手い映画ではないんですけど、インドへの深い愛情が伝わってくるし、街の賑やかな雰囲気を味わえます。
インドの古典「ラーマーヤナ」や、実際にあった黒猿騒ぎがベースになっていて、宗教や差別、警察の腐敗、結婚の問題などを取り上げながら、それでも明るく生きていくインド人の魅力を描いていました。とくに仲良しでやんちゃな少年二人組みが、この明るさに一役買ってたかな。
あと、NY育ちの主人公目線でみていくのが入りやすかったです。
後半は暗雲が立ち込めてくるんですけど、最初はみんな楽しんでいた黒猿の噂がエスカレートし、宗教対決に発展してくのが滑稽で恐ろしい。そのなかで、彼らの本来の姿を信じる主人公が伝えた、狂人の言葉が良かった!
『どんな欠片にも神の光がある。自らを覗いて見よ、神はお前の近くにいる。
神を愛するなら、皆を愛せ。それがこの信仰の定めなのだ』
そう言って、暴徒と化した彼らに鏡を突きつけます。
そして、そのくだりを活かしたエンディングが本当に素晴らしいんですよ~!!!
例の鏡のなかに、街の人々がひとりづつ顔を出し、笑ったりはにかんだり、ふと罪悪感を覚えたような表情を浮かべたり、目をそらそうとするのを思いとどまったり…。それぞれが”自らを覗いて見る”のですね。中には腹が立つほど憎たらしい人物もいたんですが、それを見たら、ふっと笑いがこぼれました。
監督さんは、本当にインドとそこに生きる人々が好きなんだと思います。
ちなみに、タイトルの意味は、デリーの郵便番号「110006」が”デリー6”と呼び親しまれていることから。