忘却エンドロール

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映画「江分利満氏の優雅な生活」観ました

 | 戦争ドラマ  com(4) 
Tag:岡本喜八 日本 

江分利満氏の優雅な生活
読み:えぶりまんしのゆうがなせいかつ
製作:日本’63
監督:岡本喜八
原作:山口瞳
ジャンル:ドラマ/コメディ

【あらすじ】36歳の冴えないサラリーマン江分利は、無気力な毎日を送っていた。ある日、酒の勢いで雑誌編集者に小説を書くと約束してしまった彼は、平凡で不器用な自分の生活をそのまま小説に書くことにする。それが思わぬ反響を呼び…。

タイトルが気になって観てみたのですが、昔の邦画なのに色々と面白い表現方法をとっていたり、前半だけならコメディなのに、後半も含めるとしっかりしたドラマに仕上がっていたりと、なかなか興味深い作品でした。ちなみにタイトルの江分利満は主人公の名前で、「えぶり・まん」と読みます。

さて、ひょんな事から小説を書くことになった主人公は、冴えない自分の生活を小説にしようと思い立ちます。美人だが時々ひきつけを起こす妻、大事な一人息子、我侭な父親。そして、自分自身の間抜けな一面や日々考えていることを面白おかしく書いていきます。
その表現方法がユニークで、彼が話し出すと周りの人々がぴたっと止まったり、アニメーションが入ったり、自分の下着の話を始めたら彼や同僚のサラリーマンたちが下着姿になってしまったりと様々です。
ところが、これが父親の話に移ると途端に重いテーマが全面にでてきます。
思春期に戦争を体験した主人公は、会社を興しては潰していた父が戦争で成功し、終戦で落ちぶれた姿を間近で見てきました。
そして、すっかり老いた父を見て思うのです。
「戦争で財産を築いた父を悪人だとは思わない。でも、もう戦争はやめてくれ。息子が戦場に行ったりしたら、俺は死んじまうよ。」
実際に戦争を体験した監督ならではの重みのある言葉でした。

でも、彼の中の戦争への憤りは文章にしただけでは収まりません。彼は酒の席で若手社員に話し(もとい絡み)続けます。実に映画の四分の一くらいは愚痴ってました。正直見てるのが辛かったです。
もちろん若手社員がちゃんと聞いてくれるはずもなく、
最後、屋上で若手社員たちがはつらつと遊んでいる奥で、ぽつんとたたずむ彼の姿が印象的でした。

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■ Comment

こんにちは☆

この記事が印象的だったので、いつか見ようと思っていて
昨日見ました。(日本映画専門チャンネル)

小林桂樹さんって、私的はオジサン(おじいさん)なので、
今まで見た中で一番若いかも?でした。
イラスト良いですね~♪ イケてますよ~☆

>その表現方法がユニークで、

このあたり良かったですね。
昔のテレビドラマでも主人公以外が止まるのってよく見たし、
あの漫画は、サントリーの懐かしいですね~CMでよく見ました☆

私の2歳の頃の映画なので、リアルタイムは知らないけど、
なんとなく幼少時、こんな雰囲気が残った中で育ったと思います。
あの息子ちゃんが「団塊」なんですよね~。

>彼は酒の席で若手社員に話し(もとい絡み)続けます。
>実に映画の四分の一くらいは愚痴ってました。正直見てるのが辛かったです。

あれ、最後の30分くらい、どうにかなりませんかね?
岡本喜八もとうとうおかしくなったのか?と、マジに思いました。

でもね~山口瞳って人は、私小説家で、エッセイストで、
私なんかは全然良いイメージ持っていなかったのですが、
このまんまだったと思いました(笑)。

***********************

>いいかげんで自分勝手な主人公の場合、それを忘れさせるくらい魅力的な部分も描かないとね。友人のキャラは良かったです。

あんまりたいした話でなくてガックリしたような覚えがありします。
(自分的に、もっと何とかなったように思いまして・・・)

もしお時間頂ければお願いします(この記事、何回目???(爆))
http://saisenseisuki.blog97.fc2.com/blog-entry-1735.html
2012/05/23 12:23  miri〔編集

>miriさん

いらっしゃいませ、まさかこちらにコメント頂けるとは思ってもみませんでした!
小林桂樹さんという方が主演だったんですね。なんかもう自分が描いたイラストの方が印象に残ってて元の顔が思い出せないや(笑)

> 昔のテレビドラマでも主人公以外が止まるのってよく見たし、
> あの漫画は、サントリーの懐かしいですね~CMでよく見ました☆

わたしが知らないだけで、こういう表現方法を工夫した作品はたくさんあったんですね。
サントリーのCMでおなじみのイラストレーターさんは、たしか横浜のひとだったかな。NHKでみたような?味のあるキャラクターです。

> 私の2歳の頃の映画なので、リアルタイムは知らないけど、
> なんとなく幼少時、こんな雰囲気が残った中で育ったと思います。
> あの息子ちゃんが「団塊」なんですよね~。

そうなんですか~。やっぱり少しでも雰囲気がわかると感じるものもありますよね。
にしても長い愚痴でした。岡本喜八監督の事はよく知らないけど、誰も止めなかったんでしょうか(笑)

> でもね~山口瞳って人は、私小説家で、エッセイストで、
> 私なんかは全然良いイメージ持っていなかったのですが、
> このまんまだったと思いました(笑)。

作家さんの名前、そんなアイドルみたいな可愛い名前だったんですか!
このまんまっていうのは、この作品の主人公みたいってことかな?
う~ん、名前とのギャップが(笑)

では「ベッドタイム・ストーリー」の感想の方も読ませていただきますね♪
2012/05/23 15:24  宵乃〔編集

No title

 宵乃さん、こんばんは
 
主人公の父親役の初代・黄門さま(東野英治郎)が上手かった・・・と思う。(笑)
典型的な山師で成金のなれの果て、下手クソな役者が演じたらウソ臭いか嫌悪感だけになるポジション。
それを憎みきれないと言うか、尻尾巻いて逃げて来た子犬みたいな絶妙な愛敬で上手く誤魔化してる(中和してる)。
愛妻の葬儀、喪主の癖に不在かまして酔っ払って帰ってきても、
火葬場へ、
「俺は行かないよ」
って二階の欄干からニコニコしながらホザいても、
その実、どんな醜態を晒すか解らない・・からだろうと想像させる演技力。
(皆が出て行った後、慟哭するんだろうな、否、案外、そのまんまでヘラヘラしてたりして・・・そこまで想像させる演技の幅が面白い)

流石、スター性と演技力を兼ね備えた大女優 高峰秀子から、一目も二目も置かれてた役者さんだけの事は有りました。

※東野英治郎>
 皆さんにとっては「初代・黄門さま」でしょうね。
 僕の初代・黄門さまは月形龍之介(笑)。それも映画じゃなないんですよ。
 子供の頃、日本テレビが再放送?(平日17:30~18:00)してたモノクロのTVシリーズが、黄門さまとの初対面。(主題歌も、その時の画ヅラも一部憶えてる)
 年齢的に「月形・黄門」号の最終列車には間に合わなかったですが、その後、仕立てられた臨時列車の二つ目(TVシリーズ再放送)に乗っちゃった。(笑)
 その後、何年かしてリアルに東野版「水戸黄門」の初回を見てますが、あの頃の多くの人と同じに、
 「イメージ合わね!」だった記憶が有ります。(笑~あの時は)
 
2015/07/10 00:34  鉦鼓亭〔編集

>鉦鼓亭さん

> 主人公の父親役の初代・黄門さま(東野英治郎)が上手かった・・・と思う。(笑)

かなり前に観たので顔が思い浮かびませんが、初代・黄門さまの人だったんですね。
ホント、一つ間違えば胸糞悪くなるキャラなのに、そんな印象はまるで残ってないです。上手かったんでしょうね~。

> (皆が出て行った後、慟哭するんだろうな、否、案外、そのまんまでヘラヘラしてたりして・・・そこまで想像させる演技の幅が面白い)

想像しながら観られる作品っていいですよね。妄想癖があるので、そういうの大好きなんですよ(笑)
大女優も一目置くほどの演技、いつか再見して確認したいです!

>  僕の初代・黄門さまは月形龍之介(笑)。それも映画じゃなないんですよ。

あ~、水戸黄門って何度もTVシリーズ化されてたんですね。さすが国民的時代劇の代表です。

>  その後、何年かしてリアルに東野版「水戸黄門」の初回を見てますが、あの頃の多くの人と同じに、
>  「イメージ合わね!」だった記憶が有ります。(笑~あの時は)

私は東野版もまともに観たことがなくて、あまり顔が思い浮かびません(汗)
画像検索してみたら、月形龍之介さんの方がなんとなく上に立つ者の余裕みたいなのを感じました。
背筋がシャンとしてるからかな?
2015/07/10 10:57  宵乃〔編集
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 「江分利満氏の優雅な生活」(1963年、日本)    監督 岡本喜八    脚本 井手俊郎    原作 山口瞳    撮影 村井博    音楽 佐藤勝    出演 小林桂樹        新珠三千代        東野英治郎  寿屋(現・サントリー)宣伝部の...
セピア色の映画手帳|2015-07-11 22:42
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