【あらすじ】南仏オーバーニュ、厳格で頼もしい父と優しく美しい母の間に産まれたマルセル。彼が9歳の夏、弟を加えたマルセル一家と叔父夫婦は、プロヴァンスの小高い丘へバカンスに。それは彼の生涯でもっとも美しい日々で…。
他人の思い出話を聞かされているようなものなのに、まるで本当に自分がこのような美しい夏休みを過ごしたような気分になれる作品でした。「マルセルの夏(原題では「父のお手柄」)」では尊敬する父、「マルセルのお城(「母のお城」)」では愛する母の姿を、子供の視点で繊細に描いています。ふたつあわせると結構な時間になるんですが、幸せな思い出を振り返るように時間を忘れて観られました。
大人でも嘘を吐くのだと悟る瞬間や、父が全能ではないと不安に揺れる姿、母を友だちのように感じているところなど、飾ることなく子供の頃のそのままの気持ちが綴られていて、自分とはまるで違っていても自然と入り込めるんですよね。丘で出会った人々や、こういう作品では忘れられがちな弟もしっかり描かれており、素朴で微笑ましいエピソードの数々に心温まりました。
神を信じない父親と信仰の厚い叔父の、何度もつっかかりながら互いに尊重しあう関係も素敵。
家族の団らんを何よりも大切にする彼らを愛しく思いつつ、そのために私有地をこっそり通り抜けるというちょっとした冒険に、とてもハラハラさせられたりしました。
ラストは予想外に切ないものでしたが、時が進むのを止められないからこそ、その時その時を大切に生きなければならないんですよね。永久保存しようかと思ったけれど、いつかまたふとめぐり合った時に観る方がいいような気がしてやめました。わたしにとって大切な作品になったと思います。
■ Comment
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2011/08/04 21:54
自分もこの作品大好きです。(^^)
二作観るのに時間がかかるのですが。
あの世界に触れるだけでも十分その価値があるきがします。
2011/08/06 13:53 きみやす
いらっしゃいませ~!
さすが、この作品を知ってらっしゃいましたか。
わたしはオンエアがあるまで全く知りませんでしたよ~。すばらしい作品でした!
> 二作観るのに時間がかかるのですが。
> あの世界に触れるだけでも十分その価値があるきがします。
夏の暑い日に蝉の鳴き声を聞きながら、ゆっくりまったり観たいですよね。
完全にセットの作品でした。
2011/08/06 14:09 宵乃
やっと今日からパソコン再開です。随分長い間返信をそのままにしていてごめんなさいね。
>他人の思い出話を聞かされているようなものなのに、まるで本当に自分がこのような美しい夏休みを過ごしたような気分になれる作品でした
本当にそうでしたね。感想では触れなかったのですが、親友と出会って2人で駆け回る山々や洞窟の情景は素晴らしく、稲光のシーンなどは山に登っている者にとっても嘘を感じられないほどの自然描写でした。
イラストにそこを選んで描いてもらったのも嬉しいです。
職業柄、私有地をこっそり通り抜けるということに反対したり、漁で大物をしとめた同僚をなじったのに自分の獲物を見せて廻る父親。彼はヒーローではないけれどユーモアが溢れ家族を愛する男性でした。そんな父親を素直に観察できたのはマルセルが父さん大好きだったからでしょうね。私は両親に対して批判的だったので、ずっと羨ましく思いながら観ていました。
彼らが私有地を抜けるシーンは私もドキドキしながら、彼らと一緒になって通り抜けていましたよ。
>ラストは予想外に切ないものでしたが、時が進むのを止められないからこそ、その時その時を大切に生きなければならないんですよね
ノスタルジアに浸っていても、いつかは別れが来てしまう人生だとはっと現実にもどし、同時に切なくなるラストでした。
2011/08/11 13:20 bamboo〔
編集〕
> 随分長い間返信をそのままにしていてごめんなさいね。
いえいえ、帰省のことは知っていたので、返信はいつでもよかったんですよ。気になさらないで下さい。
> 親友と出会って2人で駆け回る山々や洞窟の情景は素晴らしく、稲光のシーンなどは山に登っている者にとっても嘘を感じられないほどの自然描写でした。
あんな場所で思いっきり遊んでみたかったです!
稲妻を見るのは好きなので、あのシーンも迫力があってしびれました。
> 彼はヒーローではないけれどユーモアが溢れ家族を愛する男性でした。そんな父親を素直に観察できたのはマルセルが父さん大好きだったからでしょうね。
本当に仲の良い家族でしたよね~。わたしにとっても羨ましい光景でした。
> ノスタルジアに浸っていても、いつかは別れが来てしまう人生だとはっと現実にもどし、同時に切なくなるラストでした。
あのラストにはグサリときましたよ。リリの姿が目に焼きついてしまって・・・。
でも、不思議と嫌な気持ちにはならず、大事な思い出を胸に、前に進んでいかなきゃなぁと思えました。いい作品でしたね~。
2011/08/12 09:36 宵乃
来月オンエアがあると知り、やっと見ました☆
夏ではないけど、今見ても良かったです♪ (特に“お城”の方の季節は、夏ではないですしね)
>まるで本当に自分がこのような美しい夏休みを過ごしたような気分になれる作品でした。
宵乃さんらしいご感想だと思いました☆
>飾ることなく子供の頃のそのままの気持ちが綴られていて、
>丘で出会った人々や、こういう作品では忘れられがちな弟もしっかり描かれており、
>素朴で微笑ましいエピソードの数々に心温まりました。
>神を信じない父親と信仰の厚い叔父の、何度もつっかかりながら互いに尊重しあう関係も素敵。
特に“夏”の方は、映画の出来が 『秀作』 だったと思います。
私も宵乃さんと同じようにも感じはしたのですが、
それ以上に、この映画の「音」(自然音も、映画音楽としての音楽も)の使い方の素晴らしさや、
画面から香ってくる“フランス映画の香り”にシビレました。
>そのために私有地をこっそり通り抜けるというちょっとした冒険に、とてもハラハラさせられたりしました。
“お城”の映画は、なんというか・・・(私としては)作らなくても良かったような気もしましたが、
まぁ両方セットで見ても良い作品だと思います。
>ラストは予想外に切ないものでしたが、
私は“夏”の最初から、これは絶対にお母さんは短命(ここネタバレなら、隠して下さって結構です)だと
分かりながら見たし、
年代的に1900年の頃のフランスの小学生は、第一次世界大戦で、多くが犠牲になるに違いないと
そう思いながら見たので、主人公が成功した事の方が意外でして、丘の友人と、弟の事は、納得いきました。
>時が進むのを止められないからこそ、その時その時を大切に生きなければならないんですよね。
本当にそうですね・・・
素晴らしい“夏”を過ごして、その後のいろんな事を通り抜けて、
天分と努力で成功した主人公が手にした“お城”
出来過ぎのような気もするけど、嫌な気持ちには全くならない、本当に良い作品群でした。
>永久保存しようかと思ったけれど、いつかまたふとめぐり合った時に観る方がいいような気がしてやめました。
さて、来月、宵乃さんは永久保存の道を選ばれるのでしょうか???
2011/10/26 13:59 miri〔
編集〕
いらっしゃいませ!
ご覧になりましたか、オンエアがあるとなると、早く見なきゃって気になりますよね(笑)
> それ以上に、この映画の「音」(自然音も、映画音楽としての音楽も)の使い方の素晴らしさや、
> 画面から香ってくる“フランス映画の香り”にシビレました。
お~、フランス映画の香りですか!
さすが、miriさん。音の使い方もよかったですよね~。
> 年代的に1900年の頃のフランスの小学生は、第一次世界大戦で、多くが犠牲になるに違いないと
> そう思いながら見たので、主人公が成功した事の方が意外でして、丘の友人と、弟の事は、納得いきました。
ちゃんと年代も考慮して観ているところもさすがです。わたしはもう歴史とか年号とかすぐには思い出せない歴史オンチなので・・・。
> 素晴らしい“夏”を過ごして、その後のいろんな事を通り抜けて、
> 天分と努力で成功した主人公が手にした“お城”
> 出来過ぎのような気もするけど、嫌な気持ちには全くならない、本当に良い作品群でした。
本当にキラキラ輝く思い出を分けてもらえるような作品でした。
この作品は、自分の思い出みたいに匂いつきで思い出せそうなくらい特別なので、とりあえずは録画はしません。10年くらいしたら気も変わるかもしれませんが。
2011/10/27 07:33 宵乃
宵乃さん、こんにちは。
トラックバックもありがとうございました!
本当にいい映画でした。
最後はちょっとほろ苦くなってしまったのですが・・・。
>時が進むのを止められないからこそ、その時その時を
>大切に生きなければならないんですよね。
そうなんですよね。
きれいな想い出だけにひたりたかったという思いもあるのですが^^;
「お城」を見ないとその時その時の大切さってわからないですからね。
10年単位でフッと観なおしてみたくなるような作品でした。
コメントとTBありがとうございます。
やはり2つでセットの作品ですよね。
最後は思いがけずほろ苦くて、わたし的には引き締まったと思います。きれいな想い出に浸っていたい気持もすごくわかるけど、わたしの場合、せわしない日常に戻るのが嫌になってしまいそうで(笑)
> 10年単位でフッと観なおしてみたくなるような作品でした。
同感です!
2011/11/26 09:46 宵乃
さっきのコメントと一緒にお返事しようと思ったのに忘れてしまいました!
ご指摘ありがとうございます。ずっと気付かず放置してると恥ずかしいので、これからも何か気付いたら教えてくださいね~♪
2011/11/26 09:50 宵乃