映画「母なる証明」観ました

製作:韓国’09
原題:MOTHER
監督:ポン・ジュノ
ジャンル:サスペンス/ミステリー/ドラマ
【あらすじ】知的障害を持つ青年トジュンには、いつでも彼を気に掛けている母親がいた。ある日、女子高生が無惨に殺される事件が起き、警察の強引な取調べでトジュンが犯人に。息子の無実を確信する彼女は、自ら真犯人を探すことを決意し…。
この監督は肌が合うらしく、瞬く間に引き込まれて最後まで一気に観てしまいました。どうやらわたしは、情とか欲とか恐怖なんかが絡まって、どうしようもなくなってしまう作品が結構好きらしいです。
(日本語的には間違っているけど)邦題がいいですね。鑑賞前と後では印象がまったく違ってくるし、皮肉が利いてます。彼女が何よりも求めたものだから内容にもピッタリでした。
テーマはもちろん原題にもある”母親”なんだけど、もうひとつ”罪は巡って自分にかえってくる”というようなのがありました。刑事のセリフにあって、息子が思い出したある出来事を考えるとこの事件自体そういうことなのかなぁと思ったり。鼻血を出しやすい体質の女の子はたぶんエイズで、彼女の客のおじさんを殺した犯人はたっぷり返り血を顔面に浴びていたことから、きっと感染したんじゃないかと。被害者たちの逆襲みたいなね。
最終的に彼女が得たのは、母子の絆ではなく○○○としての繋がり。例のツボに針をうっても、逃れることは出来ないでしょう。…まあ、真実をはっきりさせてないから、捉え方は人それぞれなんですけどね。
個人的には、この母親と対照的な存在がいてもよかったと思います。
雨の中、廃品回収のおじさんから傘を買い、おじさんが渡したお札の一枚だけ取って何も言わずに去っていくシーンが好きです。
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■ Comment
劇場で観ましたよ。
暗がりから、いきなりでっかい石(漬物石?)が飛んで来る演出には、かなりビックリさせられました。
酔っ払って、あの「おかんのダンス」を眺めたら・・しまいには発狂しちゃいそうな気がします(×_×)
2011/07/19 19:45 TiM3〔
編集〕
お、劇場でご覧になりましたか。
狂気に満ちていたから、劇場では大迫力だったでしょう。
> 暗がりから、いきなりでっかい石(漬物石?)が飛んで来る演出には、かなりビックリさせられました。
> 酔っ払って、あの「おかんのダンス」を眺めたら・・しまいには発狂しちゃいそうな気がします(×_×)
あの石!
殺す気かって感じでしたよね。誰が投げたのかいまいちわかりませんでした。
あのダンスも印象的です・・・。
2011/07/20 10:14 宵乃
コメントありがとうございました
エイズというところまでは考えが及びませんでした
でも、そうかぁ、ありえる事ですよね
だから彼女の「血」があんなところにもついてたり、と、
息子のグレーゾーンを示唆する場面がまた1つ増えましたね
個人的には、やはりあの針道具の箱を渡すシーンで
息子はわかっていて渡したのではないかと思わずにはいられません
だからこそ、母は嫌なことを全て忘れるツボをバスの中で鍼したのではないかと。
母親とは奇妙で不気味で素敵なものですね
いらっしゃいませ!
本当によく考えられた話ですよね。張り巡らされた伏線と、好きなように解釈できるほどよい曖昧さ。
鼻血も彼女のやっていた事を考えると、エイズを示唆していると思います。だから、あの顔面に返り血を浴びたシーンがよけいに怖くて。
> 個人的には、やはりあの針道具の箱を渡すシーンで
> 息子はわかっていて渡したのではないかと思わずにはいられません
ですね。表情の無い眼差しにゾッとしてしまいます。
まるで、「これで昔の事は許してあげる」と言っているような気がしました・・・。
2012/01/12 14:32 宵乃
こんばんは!!
>鼻血を出しやすい体質の女の子はたぶんエイズで
ああ、なるほど。
そう考えるとまた、複雑な気持ちになりますね・・・。
貧しさ故に、あるいは先天的な病、故に
被害者と加害者(そしてその罪を被る者も)
だれも、幸せではない。
そんな中で、唯一、あの“母親”がいるからこそ
かろうじて・・・
そして、その分 様々なものを背負うことになる
母親。
自分が自首をすれば、息子の罪も再度、表面化する訳ですから、それすらもできず。
勿論、例の点穴を刺したところで、消えるはずもなく。
だからこそ、彼女はその他の母親たちと同じように踊るしかないのかもしれません。
その輪の中に居たとしても、決して晴れない気持ちを一人だけ持って・・・
>おじさんが渡したお札の一枚だけ取って何も言わずに去っていくシーンが好きです。
あそこ、良いですよね。
・・・その後の展開を考えると悲しくなりますが
いいシーンだと思います。
それでは!!
2013/12/08 21:23 きみやす
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
> 被害者と加害者(そしてその罪を被る者も)
> だれも、幸せではない。
> そんな中で、唯一、あの“母親”がいるからこそ
> かろうじて・・・
本当に、あれだけ報われない物語のなかで、彼女の存在は大きかったです。
贖罪のための行為でも、決してそれから逃げなかったんですものね…。
> だからこそ、彼女はその他の母親たちと同じように踊るしかないのかもしれません。
> その輪の中に居たとしても、決して晴れない気持ちを一人だけ持って・・・
こういう心情を”踊るシーン”で表現してしまうところがすごい。
彼女の踊りと表情、そして画面全体から伝わってきました。
あの草原、天気が悪いわけでもないのに空気が重く感じられました。
> あそこ、良いですよね。
> ・・・その後の展開を考えると悲しくなりますが
> いいシーンだと思います。
きみやすさんもそう思いますか!
ほんの短いシーンなのに、妙に印象的でした。
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