映画「セントラル・ステーション」観ました

製作:ブラジル’98
原題:CENTRAL DO BRASIL
監督:ヴァルテル・サレス(ウォルター・サレス)
ジャンル:★ロードムービー/ドラマ
【あらすじ】リオデジャネイロの中央駅で代書業を営むドーラ。ある日、夫への手紙の代筆してあげた女性が、直後にバスに轢かれて死んでしまう。彼女は一人残された息子ジョズエを連れ帰り、色々あった挙句に父親のもとへ送り届ける事になり…。
ロードムービー大好きなわたしの心の一本。ブラジル映画は先日の「シティ・オブ・ゴッド」含め片手で足りるほどしか観たことがありませんが、その中でもこれが一番です。
オンエアがあったので永久保存しようと居間のレコーダーに録画したら、タイミング悪く家族にテレビを占領され、観るのが遅くなってしまいました。
それで久しぶりの再見となったんですが、冒頭からまるで覚えてないシーンがあってびっくりしてしまいました。ドーラが中央駅で代筆の仕事をしていると、目の前で万引きした少年(青年?)とそれを追う男が走り抜けていきます。しばらくすると外から銃声が。一瞬ビクっとするけれど、ドーラはそのまま何事もなかったように仕事を続けるんですよね。
98年製作で現代を舞台にしていたようなので、この頃でもこんな感じだった様子。「シティ・オブ・ゴッド」といい、リオデジャネイロっていったいどれだけ恐ろしい所なんだ、と思って調べたら、こんなものが出てきました。→「外務省海外安全ホームページ 在リオデジャネイロ日本国総領事館”安全の手引き(PDF)”」
95年から減少しているけれど、2009年で日本の約5倍の殺人事件が発生し、人口のことを考え合わせると約34倍!…もう日本から出たくありません。
話が逸れましたが、そんな場所で冷淡に生きてきたドーラと、(売人に騙された)彼女に売られかけた少年ジョズエとの父親さがしの旅…しょっぱなから険しい道のりで目が離せません。
売人に騙されたといっても、金を受け取った時の笑顔は少年にとっても観てるわたしたちにとっても嫌悪を感じるもの。それでもジョズエが彼女と一緒に行こうとするのは、父親を探すためにはお金を持つ大人が必要だったからにすぎません。彼女にしてみても、このまま少年が殺されては寝覚めが悪いから命がけで救出したけれど、あとはお金を渡してバスに乗せてさっさと面倒ごととオサラバしたいという感じ。
ロードムービーだから、そんな二人でもしだいに心を通わせていくわけだけども、あれだけのことがあっても許して受け入れてしまうのは、やはりブラジルの人々の強さとおおらかさがあるからでしょうか。
手紙を通じて人の優しさや愛情に触れ、本来のやわらかな心を取り戻したドーラの笑顔が印象的でした。
ちなみに、冒頭の代筆依頼をする人々は駅にいた素人さんたちで、女優さんが机を置いた途端に集まってきて勝手に話し始めたとの事。そんなに文盲が多いということと、伝えたい言葉をたくさん抱えているという事に驚きました。
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■ Comment
>→「外務省海外安全ホームページ 在リオデジャネイロ日本国総領事館”安全の手引き”」
映画は未見なので、読ませてもらっていませんが、この部分が目につき、見せて頂きました。
これは、やはり、日本にいては全く分からない国なのですね。
というか、多分、そういう国の方が多いのでしょうね~。
(先進国でも銃がある国は、一歩裏に入れば怖いと思うし)
中東・ロシア系列の国々・ラテンアメリカ諸国・アフリカ諸国・多分東南アジアも・・・
多分それらの国で生まれた場合、
リッチだと誘拐されたり殺される側に、プアーだと犯罪をする側に、
物心ついたら、もうすでに、自分がどちら側に所属するのか、ハッキリと分かるのでしょうね~。
映画でそれを表現することは、そしてそれを日本で見ることは、一体どうなんだろうか?
色々と考えさせられますね!
(だからと言って、ミュージカルや青春モノばっかりを見てはいられないですしね)
この映画も、タイトルを覚えておいて、いつか機会があれば鑑賞したいです☆
2011/03/03 19:03 miri〔
編集〕
おぉ、イラストはラストシーンですね!
早朝の、朝焼けにモヤがかかった感じが良く出てますね。
早速ですが、お借りしま~す。^^
始めはジョズエがドーラを膝枕してあげているシーンにしようかと思っていたんですが、このラストシーンを見て、これしかない!と。
ふたりにとってかけがえのない旅だったと、しみじみ思う瞬間ですよね。
> 早朝の、朝焼けにモヤがかかった感じが良く出てますね。
> 早速ですが、お借りしま~す。^^
ありがとうございます、いろんな人に見てもらえてわたしも嬉しいです!
2011/03/04 07:32 宵乃
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/03/04 08:03
いらっしゃいませ!
この安全の手引きは度肝を抜かれました。あの映画が調べるきっかけになったものの、漠然と”過去のこと”だと思っていたので・・・。これまで思い描いていた海外のイメージも、ガラガラと音を立てて崩れてしまいました。
> リッチだと誘拐されたり殺される側に、プアーだと犯罪をする側に、
> 物心ついたら、もうすでに、自分がどちら側に所属するのか、ハッキリと分かるのでしょうね~。
ですね。やはりそういう世界に生まれ育った人たちと、平和な日本でぬくぬくと暮しているわたしたちでは、分かり合えない部分もあるのだと痛感しました。安全な場所で、映画を観て、心を痛めたり考えたり・・・悪いことではないけど、結局そこまでが限界なのかも。わざわざ、あんな危険な場所に行って、生活してみるような人はごくごくわずかでしょうしね。
> この映画も、タイトルを覚えておいて、いつか機会があれば鑑賞したいです☆
これはおススメです。再放送あるといいですね!
あと、昨日と今朝の鍵コメ読みました。時間は朝6時頃でどうでしょう?
初めてのリクエスト企画。気持ちを新たに頑張りましょうね♪
2011/03/04 10:36 宵乃
『グロリア』(ジーナ・ローランズ版)を連想してしまいます。
アパートか何かの部屋に子供のいっぱいいるシーンが、印象に残ってるんですが・・本作だったかなぁ・・??
コメントありがとうございます。
余震が続いているので、てぃむさんもお気をつけくださいね。
> 『グロリア』(ジーナ・ローランズ版)を連想してしまいます。
アフロがふわふわな男の子と逃げるやつでしたっけ?
少年の眼が少し似ているかも。
> アパートか何かの部屋に子供のいっぱいいるシーンが、印象に残ってるんですが・・本作だったかなぁ・・??
う~ん、売人の家にいた子供は数人だった気がします。
たぶん違う作品なんじゃないかなぁ?
2011/03/12 09:47 宵乃
宵乃さんも観てたのね!
イラストは少年がドーラを想いバスを追っかけていくシーン。
気持ちが滲み出てくる柔らかい色使いですね。是非戴きたいと思いますが・・?。
ドーラはジョズエが自分をいつか忘れるだろうと言いますが、絶対に彼は忘れないでしょう!
2013/07/09 14:10 bamboo又の名をしずく〔
編集〕
いらっしゃいませ!
この作品はいいですよね~、たぶん私が初めて観たブラジル作品なんじゃないかな?
> イラストは少年がドーラを想いバスを追っかけていくシーン。
> 気持ちが滲み出てくる柔らかい色使いですね。是非戴きたいと思いますが・・?。
いつもありがとうございます。もちろんいいですよ~。
ベタなのに深く心に残る名シーンでした。
> ドーラはジョズエが自分をいつか忘れるだろうと言いますが、絶対に彼は忘れないでしょう!
ですよね!
バスの中で涙しながら手紙をしたためるドーラに「大丈夫だよ」と言って抱きしめてあげたいです。
素晴らしいイラストです☆
この映画の良いところが全部詰まっている、そんなシーンですネ♪
>ロードムービー大好きなわたしの心の一本。
そうでしたか~! この記事、震災前だったのですネ~!!! 前にコメントさせて頂いていたんですネ~。 今回、1月9日のオンエアをやっと見ました♪ 宵乃さんが記事を書かれていた事は覚えていたのですが、こんなに遅くなってしまいました!
>・・・しばらくすると外から銃声が。一瞬ビクっとするけれど、ドーラはそのまま何事もなかったように仕事を続けるんですよね。
今も変わらないのでしょうか? ワールドカップもあったし、もうすぐオリンピックも開催されるというのに・・・。
>…もう日本から出たくありません。
昨今、色々な意味でそういう事ですネ・・・。
>話が逸れましたが、そんな場所で冷淡に生きてきたドーラと、・・・
>売人に騙されたといっても、金を受け取った時の笑顔は・・・
>ロードムービーだから、そんな二人でもしだいに心を通わせていくわけだけども、・・・
書かれてるとおりです・・・。
胸が潰れそうになるシーンの連続ですが、うまいこと乗せられたし、あのお祭りにいたっては「何かの宣伝?」とか思っちゃいましたが、最終的にあの場所であぁいう事になったのは、良い落とし方でしたね☆
。。。調べたら監督は「モーターサイクル・ダイアリーズ」の人で、納得でした☆ ロードムービーは お手の物でしょう。 事実にあった事でもフィクションでも、上手に映画にしてくれましたね。
>手紙を通じて人の優しさや愛情に触れ、本来のやわらかな心を取り戻したドーラの笑顔が印象的でした。
ラストシークエンスは ちょっとキレイ過ぎたけど、まぁあり得るかな?と思いました。 「手紙を書く事」を、その外面や内面をうまく使って、良い描写をしていました☆
(リオであの男に金返せと言われるとか、命狙われるとかは、考えないように努力しました・笑)
>ちなみに、冒頭の代筆依頼をする人々は駅にいた素人さんたちで、女優さんが机を置いた途端に集まってきて勝手に話し始めたとの事。そんなに文盲が多いということと、伝えたい言葉をたくさん抱えているという事に驚きました。
これはまったくの驚きで、日本だったら? そう、きっと終戦直後の感じかも? まだそんな時期なんだ・・・と、しみじみ静かに驚きました。。。
.
2015/02/04 13:25 miri〔
編集〕
> この映画の良いところが全部詰まっている、そんなシーンですネ♪
ありがとうございます。
逆光とか意外と苦労したのを覚えてます。もっと大きいサイズにしておけばよかったなぁ。
そういえば震災前の記事でしたね。時がすぎるのは早い…。
> 今も変わらないのでしょうか? ワールドカップもあったし、もうすぐオリンピックも開催されるというのに・・・。
観光客が来るような地域は多少良くなってると思いますが、そうじゃないところはあまり変わらないかもしれません…。
安全の手引きのリンク先が変わっていたので、新しく張り直しました。なんか…増えてる気がする。
> 胸が潰れそうになるシーンの連続ですが、うまいこと乗せられたし、あのお祭りにいたっては「何かの宣伝?」とか思っちゃいましたが、最終的にあの場所であぁいう事になったのは、良い落とし方でしたね☆
本当に上手い監督さんですよね。一歩間違えれば辛くて観てられない内容になりかねないところを、万人が感動できて考えさせられるような作品になってました。
お祭のシーンは、ブラジル怖い!という印象を和らげるためかも(笑)
> ラストシークエンスは ちょっとキレイ過ぎたけど、まぁあり得るかな?と思いました。 「手紙を書く事」を、その外面や内面をうまく使って、良い描写をしていました☆
そうそう、”手紙”の使い方が良かったですよね。物語に温かみをあたえつつ、ブラジルの現状を伝えてました。
ホント、日本でいえば終戦直後くらいの感じで、わたしも驚きました。
> (リオであの男に金返せと言われるとか、命狙われるとかは、考えないように努力しました・笑)
確かに、それは気になりますよね。
またすぐ旅に出ることになったりして(笑)
コメントありがとうございました♪