映画「Wの悲劇」観た

いかに手を抜くか、そんなことばかり考えてます。
製作:日本’84
監督:澤井信一郎
原作:夏樹静子
ジャンル:青春ドラマ/サスペンス
【あらすじ】女優を目指す劇団”海”の研究生、三田静香。次回公演「Wの悲劇」のオーディションで張り切っていたが、セリフ一言の小さな役しかもらえなかった。だが、劇団の看板女優、翔に部屋へ招かれ、そこで大変な事を頼まれてしまう。
前日に観た「セーラー服と機関銃」には唖然としてしまったけど、これは結構よかったです。
タイトルからしてサスペンスなのに、なっかなかサスペンスモードに入らなくて前半はぼんやり鑑賞。やっとサスペンスが始まった時にはほっとしてしまいました。
公演中の「Wの悲劇」からヒントを得て、ついさっき見た”昔の自分”と同じことをする静香に目をつける翔。自分と同じだからその気持ちが手に取るようにわかり、利用(悪意はない)するにはうってつけだと瞬時に考えてしまうところがさすがという感じ。
「Wの悲劇」のマコ役にしてあげるからと言われ、気持ちがぐらつく静香を見ていたら、先日観た「シンプル・プラン」を思い出しました。このまま泥沼化していくのかと思いきや、翔があっさり知人に真相を話し始めるんで気が抜けます。こりゃあ、足掻くまでもなく露見するよねぇ(罪悪感にかられた?)
腹を決めてマスコミの前で、悲劇のヒロインを演じる静香の真に迫った演技がなかなか。薬師丸ひろ子のしゃべり方には若干イラつくものがあったのに、このシーンではまったく気になりませんでした。
終盤、”庇って自分が刺される”というよくあるシーンが。愛があるのはいいんだけど、三人の位置関係をみると庇うより犯人を取り押さえる方が自然な気がしました。もっと貧弱そうな男にすればよかったのに。
あと、劇中劇の方ですが、舞台でマコが母親の身代わりになる為に祖父からナイフを引き抜くシーンがあります。すると、死んだはずの祖父から血しぶきが!
心臓が止まっていたら血しぶきなんて出ないから、あれはマコが知らずに止めをさしたって事でいいんですかね?
劇と現実が二重構造になってるから、腹上死した男も実は…?とか疑ってしまいました。まあ、「さっき閉じたのに(瞼が)勝手に開いちゃって」というセリフがあったから、すでに死後硬直してただろうけど。
それにしても、原作が劇中劇となって使われるなんて面白いですよね。でも、これでネタバレしてから原作を読んで楽しめるんでしょうか。…あのストーリーじゃ読む気にもならないかな?
■ Comment
>いかに手を抜くか、そんなことばかり考えてます
いやいや、全く私には反対の意味で、
なんという素晴らしいイラストだろう、と、写真か?と一瞬思いました。
あの二人がこうして会っていた頃が、きっと一番良かった頃だったんだろうな~と・・・
イラストを見ただけで泣きそうになりました。(この映画には思い入れが多くて・・・)
>利用(悪意はない)するにはうってつけだと瞬時に考えてしまうところがさすがという感じ。
このあたり、現実の三田さんも、何かやっていそうな気がして・・・怖かったです。
>翔があっさり知人に真相を話し始めるんで気が抜けます。
これは知人ではなく、愛人の一人、ですし、同じ劇団のスターですから、誰にも言うわけないだろうって感じで・・・。
>三人の位置関係をみると庇うより犯人を取り押さえる方が自然な気がしました。もっと貧弱そうな男にすればよかったのに。
おぉ~なんという冷静なご意見!!!たった今まで、一度も考えたことなかったです~!
>すると、死んだはずの祖父から血しぶきが!
これは「舞台劇」ですから、リアルを追うのではなく、後ろの方の席の観客にも分かりやすく、って感じではないでしょうか?
>でも、これでネタバレしてから原作を読んで楽しめるんでしょうか。・・・あのストーリーじゃ読む気にもならないかな?
まぁ原作は読みたい人が読むモノですし、多分、この舞台で使われる以外の部分もいろいろと面白いのではないでしょうか?
2011/01/28 18:24 miri〔
編集〕
> あの二人がこうして会っていた頃が、きっと一番良かった頃だったんだろうな~と・・・
> イラストを見ただけで泣きそうになりました。(この映画には思い入れが多くて・・・)
ありがとうございます!
いちおう”いいな”と思ったシーンの中から選んでいるんですが、その基準が”描きやすさ”なのでなんか向上心がないなぁと自分で思ってしまって・・・。でも、miriさんのように感じてくれる方がいると思うと励みになります。これからも頑張りますね~!
> このあたり、現実の三田さんも、何かやっていそうな気がして・・・怖かったです。
自然でしたもんね~。このキャスティングは完璧でした。
> これは知人ではなく、愛人の一人、ですし、同じ劇団のスターですから、誰にも言うわけないだろうって感じで・・・。
う~ん、したたかな大女優にしては気が緩みすぎかなぁと思ったんですよね。深層心理ではもう解放されたかったのかな、と。
> これは「舞台劇」ですから、リアルを追うのではなく、後ろの方の席の観客にも分かりやすく、って感じではないでしょうか?
あはは、いっつも細かい所が気になっちゃうんですよね。原作(ミステリー小説?)ではどうなっていたのか気になる始末で・・・。返り血って捜査の中ではかなり重要なことだと思うので。
> まぁ原作は読みたい人が読むモノですし、多分、この舞台で使われる以外の部分もいろいろと面白いのではないでしょうか?
退屈そうだと思ったので、つい正直に書いてしまいました。
たぶん、小説の売り上げは伸びても、評価は厳しくなってしまったんじゃないかなぁ。なんたって、映画の中で大々的にネタバレされてしまったんだから。(しかも映画そのものの原作と思って読んだひともいるはず)
ちょっと原作者が可哀想になってきました・・・。
2011/01/29 10:30 宵乃
タイトルも主題歌も知っていましたが、30年以上も未見でした。
先日、地方テレビ(深夜)に放映されました。
蜷川幸雄さん追悼と言う事でした。
舞台の演出家役を、蜷川幸雄さん自身が演じていました。
この映画の中でも脇役を演じる西田健さんに辛く当たる場面が強烈でした。
>やっとサスペンスが始まった時にはほっとしてしまいました。
同じ事を思いました。
まあ、薬師丸ひろ子がアイドルから大人の女優になるのを描きたかったんでしょうね。
2016/05/24 05:57 間諜X72〔
編集〕
いらっしゃいませ!
CMなどで主題歌などが印象に残っていると見てないのに見たような気持になって、なんとなく見る機会を逃していることがあります。今回は良い機会に恵まれたようでよかったですね。
> 舞台の演出家役を、蜷川幸雄さん自身が演じていました。
> この映画の中でも脇役を演じる西田健さんに辛く当たる場面が強烈でした。
え~と、誰だろうと思ったら劇中劇の演出をした方が映画とは別にいたんですか。
その演出家役を演出家本人が演じるとは、なかなか面白いですね。
そのシーンはよく覚えてませんが、演技なのか、普段通りなのか、ちょっと気になります(笑)
> まあ、薬師丸ひろ子がアイドルから大人の女優になるのを描きたかったんでしょうね。
ですね~。タイトルから思いっきりサスペンスを想像してたので、やや肩透かし感がありました。といっても、もうほとんど忘れてますが。
そのうち再見しようかな~?
コメントありがとうございました。
>演技なのか、普段通りなのか、ちょっと気になります(笑)
普段通りだと思います。また彼の演技に監督がNGを出すのは不可能とか・・・?(笑)
>三人の位置関係をみると庇うより犯人を取り押さえる方が自然な気がしました
なるほど。その方がいいかも知れません。
2016/05/25 07:59 間諜X72〔
編集〕
> 普段通りだと思います。また彼の演技に監督がNGを出すのは不可能とか・・・?(笑)
あはは、大物俳優より厄介かもしれませんね!
普段通りで画になる演出家っていうのもすごいです。きっと昔ながらの頑固者なんだろうなぁ。
蜷川幸雄が監督した映画「蛇にピアス」。金原ひとみが第130回芥川龍之介賞を受賞した小説を映画化。
「花子とアン」が好評だった吉高由里子主演。高良健吾やARATAが共演。藤原竜也が意外なチョイ役で出演したりして面白かったです。
だけど、色々なブログを読むとあまり評価が高くないんですね。「舞台と映画は違う」と言う意見もあります。難しいものですね。倉本聰が映画監督を務めた時も同じでした。
>普段通りで画になる演出家っていうのもすごいです。
>きっと昔ながらの頑固者なんだろうなぁ。
寺島しのぶに「ブス」吉田鋼太郎に「偽善者」と言った暴言。凄いです・・・(苦笑)。
2016/05/27 06:28 間諜X72〔
編集〕
> 蜷川幸雄が監督した映画「蛇にピアス」。
> だけど、色々なブログを読むとあまり評価が高くないんですね。「舞台と映画は違う」と言う意見もあります。難しいものですね。倉本聰が映画監督を務めた時も同じでした。
原作については一時期話題よく耳にしました。
間諜X72さんは楽しめたようでよかったですね。蜷川さんが監督してたんですか。
確かに、舞台と映画では勝手が違うと思います。カメラで近づいて撮影したものを見るのと、離れたところから舞台を見るのでは、効果的な演出や演技が変わってくるはずですし。
まあ、舞台を観ている感覚で楽しめる映画というのもありますけど。密室劇とか。
最近、邦画を観るのが億劫になってきてるんですが、もしオンエアがあって気分が乗って観られ時は、またお話ししましょうね~。