映画「永遠(とわ)の語らい」感想
製作:ポルトガル/フランス/イタリア’03
原題:UM FILME FALADO(仏語:UN FILM PARLE/英語:A TALKING PICTURE)
監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
ジャンル:ドラマ
【あらすじ】2001年7月、地中海。歴史学教授のローザは、遺跡めぐりをしながら7歳の娘マリアに人類の歴史を教えていた。そんなある日、2人はアメリカ人船長に船内での夕食の席に招かれる。そこでは3人の女性がそれぞれ母国語で語り合い…。
この作品はよくわからなかったですね。
9・11を意識してるんだろうという事はわかるんですけど、なんか数コマの風刺漫画をびろーんと伸ばしたような感じでわたしは面白いとは思えませんでした。
まず、親子の遺跡めぐりが描かれる第一パート。せっかくいろいろな遺跡を映しているのに、まるで絵葉書のように固定された映像でストレスが溜まります(神父の”三位一体”のお話は興味深かった)。母親は本でしか見たことのない場所を実際に見たくて来たのに、遠くから眺めて娘に昔話(終わったこと)のように話して聞かせるだけだし、娘の方も素直にそれを聞いて「あれは何?」「どうしてそうなるの?」と優等生のように質問するばかり。あまり感情移入させたくないのか…。その割には少女と犬が戯れてるシーンあったけど?
そして、三人の女性と船長が夕食の席で会話する第二パート。フランス人・イタリア人・ギリシャ人の女性たちと、ポーランド系アメリカ人 (アメリカではポーランド人を馬鹿にするポーリッシュ・ジョークというのがあるそうです) の船長がそれぞれ母国語で会話。それ自体は面白かったのだけど、話の内容はあるようなないような…わたしがわからなかっただけかもしれませんが。
そこに、ポルトガル人の親子が加わり、彼らだけ母国語ではなく英語を話すことに。こういう意味ありげなところは、ポルトガルやそれぞれの国の関係に詳しければもっと面白かったのかも。
ラスト、置いてきぼり(衝撃的ともいう)の第三パート。何と言ったらいいのか…暴力の歴史は今でも続いているということでしょうか?
マルコヴィッチさんの顔がインパクト抜群。少女に贈ったアラブ人形のことは知らないまま、放心してるしかないという感じでした。
ちなみに原題はどれも”語る映画”。邦題もなかなかですね。
深読みできる方にはたまらない作品かもしれません。