映画「孤独な嘘」観た
製作:イギリス’05
原題:SEPARATE LIES
監督:ジュリアン・フェロウズ
原作:ナイジェル・バルチン
ジャンル:★ドラマ/ロマンス
【あらすじ】厳格で有能な弁護士ジェームズは、妻のアンと共に郊外で静かに暮らしていた。そんなある日、家政婦の夫がひき逃げで亡くなる。近隣に住むビルの車に引っかき傷があったのを思い出し、彼はビルを問いただすが…。
なんかものすっごい評価の低い作品みたいですが、わたしは結構好きでした。不倫とか罪から逃れるとか、いつもなら許せない流れだったはずなんですが、この作品ではスルーできたしラストで涙してしまったという。しかも多くの方がイラッとしたらしいラストで…。
*以下ネタバレ*
まず冒頭。”正しい事をしてるだけ”とビルに自首を勧めていたジェームズが、実はビルと不倫していた妻が車を運転していたとわかった途端に態度を一変。自分のキャリアが危ういと、妻が自首しようとするのを止めさせます。
そんな感じで彼らのエゴを見せ付けられるんですが、”あっさり犯人がわかってしまう急展開”にわたしまで驚いてしまって、混乱しつつ罪から逃れようとする彼らを見ても”まあ仕方がないか”と思いそうになってました。実際こんなことに直面したら、警察が訪ねてくるまで逮捕される可能性にまで頭が回らなかった彼らと、同じになってしまいそうです。
また、ジェームズ自身も気付いてなかったんじゃないかと思われる、妻への深い愛情が表れるのもよかったですね。妻の不倫(というか不満を抱え込んでいたということ)を知り吐いてしまった時から、彼は今まで妻を顧みなかった分まで愛そうとしているようでした。
二人が逢っているところをみて辛そうに顔をゆがめたり、妻のスカーフを抱いて泣き崩れたりするジェームズ。でも、彼女が何度裏切っても、彼の妻への愛情は変わりません。
辛くてもひたすら耐える彼をみていたら、弱っているところに付け込んだ美人秘書と一回関係を持ったくらいなんだっていうのか?と思えてしまいました。
そして、愛はないという不倫相手にかばわれ、夫にかばわれ、ついには被害者の遺族にまでかばわれるという驚異的に恵まれた女アンも、ただ弱いだけで根は善良なんだと伝わってきて、どうにも憎めないひとです。とくべつ美人じゃないところもリアルに感じました。
原題は直訳すると”引き離す嘘”。意味は、ラストにジェームズがアンを想ってついた嘘のことで、他の方々の嘘も含まれているようです(とくにビル)。