忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「タハーン ~ロバと少年~」観ました

 | 社会派ドラマ  com(8) 
Tag:インド 

タハーン ~ロバと少年~
製作:インド’08
原題:TAHAAN: A BOY WITH A GRENADE
監督:サントーシュ・シヴァン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】カシミール地方。家族やロバのビールバルと共に暮していた8歳の少年タハーン。3年前から父親が行方不明だったが、父がくれたロバがいつも一緒だった。そんなある日、借金返済のためビールバルが売られてしまい…。

後半は嫌な汗をかく展開なんですが、ラストで予想外に感動してしまって一気に大好きになった作品です。
舞台は紛争中のインド北西部カシミール地方ということで、最初からきな臭さが漂ってきました。ちょっと村はずれに行けば銃声が聞こえてくるし、廃墟と化した町だってでてきます。
そんな中、幼いながら強く優しい心をもつ少年タハーンが、父親とのつながりでもある親友のロバを取り戻そうと奮闘するお話です。
前半は、だいたいロバの新しい持ち主である商人ダールに付いてまわるんですが、コイツがけっこう嫌な奴でした。仕事を手伝う青年ザファルの扱いが酷いんですよ。彼が質問に答えようとまごつくたび、”お前は馬鹿だから聞くだけ無駄だ”という態度で遮るので、私自身話すのがとろいのもあってムカついてしまいました。根はいい人だとわかっていても、約束は破るし、嫌な気分になることもしばしば…。
→以下ネタバレ注意!

そんなこんなで、ぜんぜんロバを返してくれないダールにお駄賃を渡され(受け取り拒否!)、ザファルには「あきらめろ、ロバを買い戻すには1000往復しなきゃらならない。」と忠告されます。
そこに現れたのが謎の青年イドリスでした。ロバを取り戻したいのなら仕事をあげる、と親切顔で持ちかけてきた彼を信じ、少年は知らず知らずのうちにゲリラの手伝いをさせられてしまいます。
少年が手榴弾を運ぶ姿に、また平気な顔をして子供を利用する大人にゾッとしました。
ちなみに、原題の意味は「タハーン:少年と手榴弾」で、邦題より直接的。

終盤、ある小さな奇跡によってタハーンは自分がとんでもない事をしようとしていたことに気付きます。
『ビールバル、1000往復して必ず連れ戻すよ!!』
少年の涙ながらの言葉に、わたしも視界がぼやけてしまいました。
希望に満ちたラストも心に響きます。

■ Comment

こんにちは。
本当に終盤は胃が痛くなりっぱなしの映画でした(汗)。
おっしゃるとおり、
最後がああならなければ
後味の悪い嫌~な映画になってたと思います。
困ってる子供を利用する青年なんてすごくタチが悪いですし。
しかしラストがああなったことで
爽やかな印象だけが残ったというのは
何だか不思議です。

個人的には商人の孫が気に入りました♪
2010/10/21 10:02  どらお

>どらおさん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!

連日アジア作品をやっていたけれど、なんだかラストが酷い作品も多かった気がします。
この作品もそういう展開になるのかと、わたしも終盤は胃がキリキリでした。

> しかしラストがああなったことで
> 爽やかな印象だけが残ったというのは
> 何だか不思議です。

ほんとうにラストでぱぁっと希望が広がって、それまでの重苦しさが一気に吹き飛びましたね。
それでいて、少年と一緒に得たものはしっかりとこころに残っていて、不思議な感じです。

> 個人的には商人の孫が気に入りました♪

あの子も優しい善い子でしたね~。商人も孫の前では素敵なおじいちゃんで、子供の話をちゃんと聞いていたのがよかったです。タハーンが彼のところへ時々遊びに行ったりしてたらいいなぁ♪(もちろんビールバルも一緒に!)
2010/10/21 11:34  宵乃

こんばんは、はじめまして。
世の中、殺伐たるニュースやホロコーストもの映画を見た後なので、やラストをみて、心なごみ、暖かくなる映画でしたね!
2010/10/25 00:41  ku

>Kuさん

初めまして、ようこそいらっしゃいました!
コメントありがとうございます。

そうですよね。こんな時代だからこそ、映画のなかくらいは夢や希望を失わないでほしいものです。
この作品のラストには、間違えたって踏み留まれるんだ、ということを教えられました。
少年とロバがこれからも幸せに生きていくのが目に浮かぶようです。
2010/10/25 10:39  宵乃

こんばんは☆

アジア作品、他のは全部見られず消去しましたが、これだけイラストが印象的だったので、とっておいて、やっと今日鑑賞しました☆
鑑賞後に分かったのですが、このイラストのシーン、素晴らしいですネ♪

>少年が手榴弾を運ぶ姿に、また平気な顔をして子供を利用する大人にゾッとしました。

いろいろな意味で日本に住んでいては信じられないような事が、世界では普通におこなわれているのですよね・・・。

>終盤、ある小さな奇跡によってタハーンは自分がとんでもない事をしようとしていたことに気付きます。

ここは見せ場でしたね。後半・・・終盤ですね、このあたり、ドキドキしっぱなしでした。

>希望に満ちたラストも心に響きます。

終わり方が違っていたら、全然印象が変わる作品ですネ。現実は、多分、なかなかそうはいかないのでしょうけど・・・。

ところで、あちらに有難うございました☆

今回再見した「さびしんぼう」は、8年くらい前にBS2でオンエアして録画保存したモノですので、またいずれいつかオンエアあると思います。

アップ内容があれでOKで、嬉しいです。日付は間違えました、テヘッ。本当にたくさん集まってほしいですネ~。

逆に速すぎて疲れること・・・たしかにありますネ。・・・ムダに長いとか、エンディングが数種類あるとかは、昔はそういう事がなかったですネ~!!!

キチンと1つのモノを完成させようとしていないのかもしれないし、技術が発達し過ぎて、あれこれ作ろうと思えば作れるから、結局、作りたいんでしょうね~!

あと「グッバイガール」も再見したのですが、これは現代人が見ても、まぁまぁのスピード感があるので(ニール・サイモン作です)きっと大丈夫だと思います。いつか是非~♪
2010/11/10 19:10  miri〔編集

>miriさん

> アジア作品、他のは全部見られず消去しましたが、これだけイラストが印象的だったので、とっておいて、やっと今日鑑賞しました☆

そうでしたか~。わたしはこれと「ピノイ・サンデー」以外は暗い気分になってダメでした。イラストを見てこの作品を観てもらえて嬉しいです。このシーンは涙がこみ上げてきました。
「ピノイ・サンデー」も消せずにとってあるくらい好きな作品なので、もし機会があったらぜひ!

> 終わり方が違っていたら、全然印象が変わる作品ですネ。現実は、多分、なかなかそうはいかないのでしょうけど・・・。

そうですね。「アフガン零年」なんかは最後までシビアで、それについて思い返すのも考えるのも避けてしまうので、わたし的にはこれぐらいじゃないと訴えかけるものを受け止めることができません。そういう点においても、あのラストでほんとによかったと思います。

> 今回再見した「さびしんぼう」は、8年くらい前にBS2でオンエアして録画保存したモノですので、またいずれいつかオンエアあると思います。

8年前!じゃあ、そろそろオンエアあるかもしれませんね~。覚えておきます。

> 技術が発達し過ぎて、あれこれ作ろうと思えば作れるから、結局、作りたいんでしょうね~!

気が散ってしまうというのはあるかもしれませんね。どんどん新しい技術がうまれて興味を引かれるだろうし、話題性というのもありますし。やはり、ちゃんと引き算ができるかどうかが監督の手腕ということでしょうか。
「グッバイガール」もオンエアあったら必ず観ますね♪
2010/11/11 10:56  宵乃

こんばんは♪

宵乃さん、遊びに来てしまいました~(*^_^*)コンバンハ

宵乃さんのブログは私がこれまで観た映画がたくさんありすぎて、しかもイラストが全て素晴らしくて・・・!!誘惑に負けたら、いつまでも寝られそうにないです(笑)ほんっと~に素敵なブログですね♪♪

そうそう、この映画なのですがよく覚えています。NHKの【アジア・フィルム・フェスティバル】の特集で私も観ました!!日本ではなかなか観ることのできない中東やアジア地域の作品に毎年触れられてとても好きでした。

閉鎖的な地域の現状を強く訴える作品にも心打たれますが、こどもに希望を持たせるこのような物語も、強~い印象が残りますよね。なんだかラストの展開さえも忘れてしまうようなテキトーな映画も数多いですが、宵乃さんの記事を読ませていただいて久々にあの終盤のドキドキとラストの爽快感、パァっと思い出しました^^ あ、この年は「キャプテン・アブ・ライード」というヨルダン映画も一緒に放映されていたのですが、宵乃さんはご覧になりましたか?この映画も、ツライ大人の世界から子どもたちに"希望"を持たせたグッとくる映画でした!日本で配給・公開されている映画なんてほんの一握りで、良い映画ってきっと世界中にたくさんあるんでしょうねぇ。

宵乃さんのブログで、改めて素敵な映画の1シーンを思い出せて良い時間を過ごせました♪また少しずつ宵乃さんの記事を読ませていただきます♪映画好きにはしあわせなブログです~^^

2013/05/18 01:20  はなまるこ〔編集

>はなまるこさん

いらっしゃいませ、遊びに来てくれて嬉しいです♪
わたしもやる事が一区切りついたので、今日辺りはなまるこさんのブログにお邪魔しようかなぁと思ってたところなんですよ。

> 宵乃さんのブログは私がこれまで観た映画がたくさんありすぎて、しかもイラストが全て素晴らしくて・・・!!誘惑に負けたら、いつまでも寝られそうにないです(笑)

ありがとうございます~!!
きっと同じオンエアを観ていた事がたくさんあったんでしょうね。わたしもどの映画の記事から読ませていただこうか悩んでます(嬉しい悩み!)

> NHKの【アジア・フィルム・フェスティバル】の特集で私も観ました!!日本ではなかなか観ることのできない中東やアジア地域の作品に毎年触れられてとても好きでした。

ホントこういう特集はありがたいです。いつも話題作ばかり見ているとそれしかないような気がしてしまうけど、こんな素晴らしい作品がたくさんある事を思い出させてくれました。中東やアジアの事を知るのにもいいですしね~。

> 閉鎖的な地域の現状を強く訴える作品にも心打たれますが、こどもに希望を持たせるこのような物語も、強~い印象が残りますよね。

この映画によって希望を持つ事ができた子供がたくさんいるのかもしれないと思うと、改めて映画の素晴らしさに気付かされます。

> 久々にあの終盤のドキドキとラストの爽快感、パァっと思い出しました^^

嬉しいお言葉ありがとう~。わたしも自分の感想を読み返して記憶が蘇ってきました。記事にしておいて良かった(笑)
「キャプテン・アブ・ライード」も観ましたよ。おじいさんと子供たちとの交流が微笑ましくて前半は大好きなんですが、終盤のショックが大きすぎてガーン!となってしまいました。再見する勇気はないけど、思い返すと良い映画だったと思います。

> 日本で配給・公開されている映画なんてほんの一握りで、良い映画ってきっと世界中にたくさんあるんでしょうねぇ。

ですよね~。色々な作品との出会いをくれるbs3には感謝です。
最近のオンエアの再放送だけじゃなく、bs2時代の中東・アジア作品もやってほしいなぁ。「サイクリスト」とか印象に残ってます。

> 宵乃さんのブログで、改めて素敵な映画の1シーンを思い出せて良い時間を過ごせました♪また少しずつ宵乃さんの記事を読ませていただきます♪映画好きにはしあわせなブログです~^^

こちらこそ、はなまるこさんの映画愛がつまった内容の濃いブログを読ませていただいて、今まで観てきた作品の新たな一面に気付かせてもらってます。
お話してるとますます映画が好きになれそう♪
コメントありがとうございました。
2013/05/18 09:37  宵乃〔編集
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