忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「砂漠の流れ者」観た

 | 西部劇  com(6) 

砂漠の流れ者
製作:アメリカ’70
原題:THE BALLAD OF CABLE HOGUE
監督:サム・ペキンパー
ジャンル:★コメディ/西部劇/ドラマ

【あらすじ】砂漠のど真ん中で仲間に裏切られ、水もなしに置き去りにされたケーブル・ホーグ。彼は復讐のため何が何でも生き延びると誓い、4日後には水を掘り当てる。そして、そこが駅馬車が通る道の側だと知り、休憩所を営み始めるのだった。

荒野を彷徨う系の作品かと思って期待したら、彷徨っているのは冒頭だけでちょっとガッカリしました。ふつうはサム・ペキンパー=バイオレンスみたいな期待を抱くようですが、それもありません。それどころか、復讐に向かうかと思えば水で金儲けを計画し、商売を始めるかと思えば女にうつつを抜かし、西部劇という雰囲気でもなかったかも。砂漠で生きる男の半生(というほどでもない?)を描いた感じです。

しかし、ケーブル・ホーグという男には妙な魅力があり、娼婦の胸元が何度も(しつこいくらい!)頭をよぎったり、お札に印刷されたインディアンがニヤリと笑うなどのコミカルな演出と相俟って、なんか憎めないんですよね。砂漠で出会ったインチキ臭いエロ牧師や、自分の名前を下着に刺繍した娼婦など、他の登場人物たちも魅力的。
人間の温かみを感じるほのぼのとしたエピソードも多く、あの「ワイルドバンチ」を撮った監督とは思えませんでした。

ただ、個人的に分割画面には何故か生理的嫌悪感を抱いてしまうので、それを多用した冒頭にはイラッとしてしまいます。でも、この作品はペキンパーがいろいろな演出で遊んでいるようで、観終わった頃には忘れてました。愛すべき小品という印象。
西部劇に詳しければもっと楽しめるかな?

ちなみに、原題を直訳すると”ケーブル・ホーグのバラード”で、リバイバル公開タイトルになってます。

■ Comment

これもまた久しぶりに見ました。

僕はペキンパー監督作品の中ではこの映画が一番好きです。先日BS2で久しぶりに見ました。
笑わせながら話を進めて行くのですが、最後が悲しく切ないです。
ケーブルを裏切った男二人のうち一人を許してやった事が裏目に出たのかな?
自動車やバイクが普及するとあの水飲み場も必要がなくなってしまう。時代の変化。水飲み場を去る決心をするケーブル。哀愁が漂っています。ジェイソン・ロバーズ。好演です。

ステラ・スティーヴンスが演じる娼婦はしたたかだけど、可愛いです。時々見せる寂しそうな表情がいいです。
ケーブルと一緒に歌いながら風呂に入ってる。すると予定よりも早く駅馬車が到着する。小さいタオルで隠しながらお尻丸出しで走っていく場面は抱腹絶倒です。
また、自分はやっぱりサンフランシスコに行きたい。ケーブルと牧師に「二人とも外で寝て。」と言う場面はホロリと来ました。
デヴィッド・ワーナーが演じるインチキ牧師。他人の女房に横恋慕。でも、なぜか言う事に説得力がある人です。ケーブルとは腐れ縁的な友達。
太っ腹って感じの銀行頭取も良い味出してますね。
「砂漠の流れ者」と言う邦題。すごくいいです!
2010/09/08 17:58  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

いらっしゃいませ!
間諜X72さんはこの作品がペキンパー作品で一番お好きなんですね。ほのぼのしつつ哀愁もあり、ワイルドバンチとは趣がちがいますがわたしも気に入ってます。
ラストが唐突で切なくて、でも彼らしいなと思えました。

> 自動車やバイクが普及するとあの水飲み場も必要がなくなってしまう。時代の変化。水飲み場を去る決心をするケーブル。哀愁が漂っています。ジェイソン・ロバーズ。好演です。

時代の移り変わりにともなう寂しさ、物悲しさというものがすごく伝わってきました。彼の表情がほんといい!

> ケーブルと一緒に歌いながら風呂に入ってる。すると予定よりも早く駅馬車が到着する。小さいタオルで隠しながらお尻丸出しで走っていく場面は抱腹絶倒です。
> また、自分はやっぱりサンフランシスコに行きたい。ケーブルと牧師に「二人とも外で寝て。」と言う場面はホロリと来ました。

彼女もほんと可愛いですよね~。ケーブルがローブか何かを取って戻ってくるのも待てずに走り出すところでは、わたしも笑ってしまいました。表情豊かにコミカルなシーンも切ないシーンもこなしていて、ケーブルの相手役としてピッタリでした。
牧師の最後のお祈りも心に響きます。
邦題もピッタリだし、素敵ですよね!
2010/09/09 10:17  宵乃

こんにちは☆

この作品の感想文はアップしない事にしましたので、今日初めて記事を読ませてもらいました。イラスト、とっても素敵です☆

私はジェースン・ロバーツが好きなのですが、こんな役柄は見たことなくて仰天しました。
タイトルバックでサム・ペキンパーと知り「ギョエ~見るのやめようかな?」と思ったくらい苦手な監督ですが、この作品は全然違ってて、そうですね「掘り出し物」って感じでした☆

>人間の温かみを感じるほのぼのとしたエピソードも多く、あの「ワイルドバンチ」を撮った監督とは思えませんでした。

ワイルドパンチは未見ですが、とにかく暴力監督って感じだったんですけど、宵乃さんが書かれたエピソード全て愛せる感じで、何というか素晴らしい作品でした☆
見て良かったし、調べたら監督本人も一番好きな作品との事で嬉しかった♪です。

最後は哀しいかもしれないけど、いろいろな意味で、あれで良かったような気もします。
命を救ってもらった人も、彼女も、ニセ牧師も、皆、心に一生、彼と共に、生きたと思うから☆
2010/09/12 16:00  miri〔編集

>miriさん

こんにちは、いつもコメントありがとうございます!
ジェースン・ロバーツというと主演のオジサマですよね?
顔をみても他の出演作が思いつかないわたしですが、この役はほんとぴったりという感じでした。普段はもっと渋い役なのかな?

> タイトルバックでサム・ペキンパーと知り「ギョエ~見るのやめようかな?」と思ったくらい苦手な監督ですが、この作品は全然違ってて、そうですね「掘り出し物」って感じでした☆

わたしも監督の名前を見た時はびっくりしてしまって(タイトルバックではボケっとしていて気付かなかったんですが)、こういうのも撮る人だったんだなぁと監督のイメージが変わりました。

> 見て良かったし、調べたら監督本人も一番好きな作品との事で嬉しかった♪です。

おお、そうだったんですか~。確かに楽しんで撮ったという雰囲気が伝わってきますよね。
この作品が、多くのペキンパーファンに愛されているのもわかる気がします。

> 最後は哀しいかもしれないけど、いろいろな意味で、あれで良かったような気もします。
> 命を救ってもらった人も、彼女も、ニセ牧師も、皆、心に一生、彼と共に、生きたと思うから☆

そうですね、哀しいけれど人々の優しい目に見守られての最期は温かさを感じました。
心に残る作品だと思います。
2010/09/13 09:57  宵乃

彼は

「ジュリア」のリリアンの彼氏です☆
その時と他にもう一回、オスカー(助演男優賞)とってます♪
2010/09/13 11:30  miri

>miriさん

あ、「ジュリア」の作家先生でしたか!
なんかこう知的で包容力のありそうな雰囲気でしたよね。
2回もオスカーとってる方なのに、全然気付きませんでした・・・。
教えてくれてありがと~!
2010/09/13 11:35  宵乃
名前
タイトル
URL
本文
非公開コメント

■ Trackback

.