忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「暗黒街のふたり」観ました

暗黒街のふたり
製作:フランス’73
原題:DEUX HOMMES DANS LA VILLE
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
ジャンル:★ドラマ/犯罪

【あらすじ】銀行強盗を計画したリーダーとして懲役12年の刑を受けたジーノ。彼の社会復帰を願う保護監察司ジェルマンの力添えで出所した彼は、妻のためにも真面目に第二の人生を歩み始める。だが、彼の更生を疑うゴワトロー警部と再会し…。

実にやるせない作品でした。
本気で人生をやり直そうと頑張るジーノを踏みにじるように、不運や世間の冷たい目、そして悪意と無関心が彼を追い詰めていきます。
とくに酷いのがゴワトロー警部。彼は優越感を得るためにこの仕事をしてるんでしょうね。だから、自分がぶちこんだ犯罪者が、自分よりいい生活をしているなんて許せない
あらゆる手段でジーノを刑務所に送り返そうとする姿は、ジーノを知っている側にとって腹立たしいものでしかありません。(根拠はないけどマザコンっぽいし、立ってるだけで不気味!)

もちろん、彼を信じて家族や息子のように想ってくれている人もいました。彼が心から反省していると知っているジェルマンはもちろん、その家族や、仕事をくれたおじさんなどです。
彼らの存在にジーノがどれだけ救われたことか!
彼らを見ていて、自分だったら前科のある者を偏見を持たずに見られるだろうかと考えてしまいました。きっと、無関心によって彼を死刑にしてしまった陪審員たちと、同じ結論を出してしまうんでしょうね…。
ゴワトロー警部のような存在が現れないため、誤った判決を下さないため、わたしたち国民が制度に関心を持ち、目を光らせている事が大事だと思いました。

また、この作品では”残酷なギロチン刑”を批判しているんだけど、見せしめのために使わないのなら死刑囚を苦しませないギロチン刑(あと日本の絞首刑も)は残酷とも言い難い気がしました。死刑そのものが残酷と言うならわかるけどね。
原題の意味は「街のふたり」、邦題は”暗黒街”にしたせいで内容を誤解されそうです。

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■ Comment

こんばんは☆

再見しました。すっかり忘れていたので、初見同様だったと思います。

>実にやるせない作品でした。
本当にね・・・特に音楽がこの映画の感じを出していましたね。

>わたしたち国民が制度に関心を持ち、目を光らせている事が大事だと思いました
そうですね・・・我が国は昨年から大きな変化があったけど、あまり国民的な議論には発展していませんね・・・。

感想をアップするかもしれないので(ちょっと迷っていますが)短いコメントでゴメンネ☆
あ、イラスト、すっごく感じ出ていて、イイです♪ 
DVDのパッケージの写真より、このイラストの方が、この映画の感じを出しています。いや、全くホントに!
2010/08/28 22:02  miri〔編集

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2010/08/28 22:35  

>miriさん

こんにちは。
miriさんは久しぶりの鑑賞だったのですね。あの音楽を思い出すと切なくなってきます。

> 我が国は昨年から大きな変化があったけど、あまり国民的な議論には発展していませんね・・・。

まだまだ未完成の部分もあると思うので、より良い制度にしていきたいですよね。
とはいえ、わたしもまだ実感できないかも・・・。

> DVDのパッケージの写真より、このイラストの方が、この映画の感じを出しています。

ありがとうございます。このシーンを気に入って描いたら、パッケージと同じシーンで「しまった!」と思ってたところです。安心しました。
もし、記事を書くことになったらどうぞ使ってくださいね。

余談ですが、変に心配性のわたしは「冤罪で死刑になったら!?」と考えて、日本の絞首刑について調べた事があるんですよ。そしたら、日本が行っている落下式は、頚椎を骨折して一瞬で意識を失い、すぐに脳死に至るので苦痛は少ないとありました。もちろん、実際に体験しないとそれが本当かどうかわかりませんが・・・ブルブルッ。
2010/08/29 11:45  宵乃

こんばんは☆

感想文ですが、最近のフィルム・ノワールの特集のようなモノで、
いくつもオンエアされましたが、
その中で、この映画ではなく、他の作品にする事にしました。

宵乃さんの、このブログには、アップされていないようですので、
今回イラストはお借りできず、残念です☆

イラストの事、本当に、ありがとう~!
また今後も宜しくお願いします♪
2010/08/29 22:36  miri〔編集

>miriさん

いえいえ、こちらこそいつもイラストを使って頂きありがとうございます。
この作品の感想が読めないのは少し残念ですが、miriさんの記事楽しみにしてますね。
では、また~!
2010/08/30 11:51  宵乃

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2010/08/30 13:29  

おはようございます

>原題の意味は「街のふたり」、邦題は”暗黒街”にしたせいで内容を誤解されそうです。
暗黒街?のタイトルが不思議でたまらなかったの・・・邦題は集客を狙った上でのタイトルでしょうか???

ごめんなさい、miriさんへの返信を読んでしまいました(*_*;
>変に心配性のわたしは「冤罪で死刑になったら!?」と考えて、日本の絞首刑について調べた事があるんですよ。そしたら、日本が行っている落下式は、頚椎を骨折して一瞬で意識を失い、すぐに脳死に至るので苦痛は少ないとありました。
宵乃さんも私に負けないぐらい心配性なのね。
私も冤罪物の映画や小説、ニュースに触れるたびに、夫や子供が逮捕されたらどうしようと本気で心配します。(自分が逮捕されることは先ず無いだろうと確信しているのは脳天気ですが)。特に「それでも僕はやっていない」を観た頃は、長男が東京に就職した頃だったので、痴漢と間違えられない方策を身振り手振りで教えました。原作者は未だ社会復帰できていないほど苦しんでいます。
最近死刑執行の場所がニュースで詳しく報道されていましたね。ドロンの映画と比較して、ほっとしたのは実感です。

暗黒街のふたりはあまりにも切なくて、書いているだけでもすがるようなドロンの目が浮かび投稿不可となりました。感情移入しやすいので、私はできるだけ明るくなれる作品を選ばなくてはいけません。
2010/09/02 09:45  bamboo編集

>bambooさん

いらっしゃいませ。
最近の邦題はそのまんまカタカナでというのが多くて味気ないですけど、こういうだまし討ちのようなのも考えものですよね。ドロン主演で”暗黒街”なんて狙いすぎです。

> ごめんなさい、miriさんへの返信を読んでしまいました(*_*;
> 宵乃さんも私に負けないぐらい心配性なのね。

いえいえ、わたしも目に付いたら他の方のも読んでますから、大丈夫ですよ~。
bambooさんも心配性だったのですね。わたしも冤罪ものや事故のニュースなんかをみると不安でたまらなくなります。
「それでも僕はやっていない」もほんと怖かった・・・!(女の痴漢もいるから自分も心配になったり。)勘違いでひとりの人生を目茶苦茶にしてしまうなんて、あってはならないことですし、やはり男性のためにも専用車両は必要だと思います。

> 暗黒街のふたりはあまりにも切なくて、書いているだけでもすがるようなドロンの目が浮かび投稿不可となりました。感情移入しやすいので、私はできるだけ明るくなれる作品を選ばなくてはいけません。

わたしも基本、明るいクスクス笑えるようなものが好きです。ただ、ぐるぐる考えてしまうものや辛すぎるものは、記事に書いて吐き出すことで気持ちが楽になることもあるんですよね。公開しなくても、いちど形にしてしまうのも手だと思いますよ。
2010/09/02 10:57  宵乃

昨日見ました。

BS2から録画した「シシリアン」と「暗黒街のふたり」を2本立てで自宅で見ました。
みなさんがおっしゃるように、「暗黒街のふたり」と言う邦題は誤解を招きますね。

さて、ジーノを精神的に追い詰めるゴワトロー警部が本当に憎らしかったです。それだけ演じるミシェル・ブーケが良い演技をしていた訳ですが・・・・・・。
警部が言うように、一度犯罪を犯したものは再びやる可能性がある。警察の人達が彼らから狙われる場合もある。それは当たっているんでしょうけど。実際、愛妻が死んでからアパートで騒音の苦情を言われたジーノが住民を脅す場面がありましたし。
それにしても警部は、やり過ぎでしたね。
死刑が決まって、憔悴しきって、美男とは言えない風貌になったジーノを演じたドロンも好演です。
そして何と言っても大御所ジャン・ギャバン。「シシリアン」のマフィアのボスとは違って保護司の役。貫禄・風格が凄いです。引退して田舎でノンビリ過ごしていたギャバンをドロンが引っ張り出したそうですね。

宵乃さんの絵。相変わらず素晴らしいです。
2010/10/31 12:40  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

いらっしゃいませ!
そうなんですよね。シシリアンと近い時期にオンエアしたのもあるし、”暗黒街”なんてタイトルについていたら誤解するなというほうがむりだと思います。

> さて、ジーノを精神的に追い詰めるゴワトロー警部が本当に憎らしかったです。それだけ演じるミシェル・ブーケが良い演技をしていた訳ですが・・・・・・。

演技でここまで嫌な役を演じきれるというのもすごいですよね。
初犯のジーノをあそこまで憎むのはもう病気という感じでした。

> そして何と言っても大御所ジャン・ギャバン。「シシリアン」のマフィアのボスとは違って保護司の役。貫禄・風格が凄いです。引退して田舎でノンビリ過ごしていたギャバンをドロンが引っ張り出したそうですね。

ドロンが引っ張ってきたんですか~、それはドロンにお礼を言いたい!
彼の重厚な演技がこの作品には必要不可欠だと思います。
イラストも楽しく描けました♪
2010/11/01 10:28  宵乃

今頃になってですが

録画したのを観ました。あの空気、戦争をくぐりぬけて来た男達だからこそ、醸し出せるのでしょうね。ゴワトロー警部の冷淡さはレミゼラブルのジャベールのようです。ジャンとドロンの見つめ合うシーンいいですね。セリフが少ないから、一層本当の信頼関係が感じられます。もしロブロウ主演なんかで焼き直しで撮ったら、うすっぺらい感じになるでしょう。
2011/05/27 17:31  ごんべい

>ごんべいさん

はじめまして、ようこそいらっしゃいました!
ごんべいさんもBSプレミアムなどで映画をよくご覧になるのでしょうか。このブログで取り上げている作品は大抵オンエアのあったものなので、よかったらまたお立ち寄りくださいね。

> ゴワトロー警部の冷淡さはレミゼラブルのジャベールのようです。

レミゼラブルは一度しか見てませんが、ジャベールの嫌~な感じは覚えています。執念深いところといい、確かに似ているかもしれません。

> ジャンとドロンの見つめ合うシーンいいですね。セリフが少ないから、一層本当の信頼関係が感じられます。もしロブロウ主演なんかで焼き直しで撮ったら、うすっぺらい感じになるでしょう。

ロブ・ロウですか、画像検索してみたら目元がちょっとドロンに似ていました。俳優さんにお詳しいのですね!
でも、いくら雰囲気を似せても、技術が進歩しても、なかなか上手いリメイクがないのが現実。ごんべいさんの仰るとおり、薄っぺらになってしまうのは目に見えてます。
古きよき名作をこうして観られるのだから、最近のリメイクに頼る傾向は何とかしてほしいものですね~。
2011/05/28 10:11  宵乃

トラウマ(笑)

40年経ってストーリーは殆んど忘れてしまったんですけど、
あのYシャツの襟をジョキジョキ、ガタン!ストン!は忘れようにも、忘れられない。
「1000日のアン」の断頭台と共に焼き付いてます。
誰もが不安に思う事だから、やっぱり死刑シーンというのは怖いですね(反対派じゃないけど)。
「死刑台のメロディ」もそうだし、偶々、少しだけ見たイギリスのTVドラマでも、そんなシーンが有って・・・。
(読んで嫌悪感を抱くかもしれないので書きませんが、ほんの100年ちょっと前の英国の絞首刑(庶民用)は日本人には想像も出来ない酷い方法でした、この一件だけで、英国人に人権だのイルカだの金輪際、言われたくない)

当時、フランスでは死刑制度の可否を巡って大論争中で、ギロチン反対だったギャバンが引退を中断してまで出演した映画だったと言われてましたね。
記憶違いかもですが、ラストの刑務所を出て歩いていくギャバンの姿。
「ああ、これでギャバンも見納めか・・・」と思った記憶があります。

当初、ギャバンはドロンを嫌ってたというのが定説なんですが、
ギャバンの父性とドロンが持つ永遠の不良少年性は、非常にマッチして絵になるんですよね、僕は、このコンビ大好きです。
黒澤映画の志村喬と三船敏郎(二人で主役を張ってた頃)の感じに、少し似てる気がします。
2012/06/19 23:27  鉦鼓亭〔編集

>鉦鼓亭さん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
これは一度観たら一生忘れられないレベルの衝撃でしたね~。「1000日のアン」は未見ですが、「ダントン」の断頭台シーンも生々しくて印象に残ってます。
案外、処刑シーンを描いた作品って多いのかな?

> (読んで嫌悪感を抱くかもしれないので書きませんが、ほんの100年ちょっと前の英国の絞首刑(庶民用)は日本人には想像も出来ない酷い方法でした、この一件だけで、英国人に人権だのイルカだの金輪際、言われたくない)

あ~…、たぶんこの記事を書く時に調べました。あれはされる方はもちろん、する方もかなり辛いものがありますよね。英国は紳士の国だとか言ってますけど、こういう事を知ると上辺だけなのかなぁと思ってしまいます。

> 記憶違いかもですが、ラストの刑務所を出て歩いていくギャバンの姿。
> 「ああ、これでギャバンも見納めか・・・」と思った記憶があります。

そのシーンは観た気がします。最後の出演作というのもあって、哀愁漂うラストになってたんでしょうね~。

> ギャバンの父性とドロンが持つ永遠の不良少年性は、非常にマッチして絵になるんですよね、僕は、このコンビ大好きです。
> 黒澤映画の志村喬と三船敏郎(二人で主役を張ってた頃)の感じに、少し似てる気がします。

ドロンを嫌ってたんですか!
鉦鼓亭さんの仰るとおり、このコンビが出ていると様になるのに…。不思議です。
志村三船コンビもいいですよね!
2012/06/20 11:24  宵乃〔編集
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