映画「グローリー(ぐろーりー)」観ました

原題:GLORY
製作:アメリカ’89 122分
監督:エドワード・ズウィック
原作:リンカーン・カースティン ピーター・バーチャード ロバート・グールド・ショウ
ジャンル:歴史劇/戦争/ドラマ
【あらすじ】1862年、北軍初の本格的黒人部隊が創設された。指揮官は、黒人兵らと共に戦う決意を抱いた裕福な奴隷解放論者の子ロバート。だが、彼らを待っていたのは、戦場に回されず肉体労働ばかりという、今までと変わらない扱いだった。
実在したアメリカ合衆国初の黒人部隊を描いた作品。
ショー大佐が両親に送った手紙や、第54連隊についての記録を保存する組織などの情報をもとに、かなり忠実に再現しているそうです。賃金受け取り拒否を考えたのが本当は大佐自身だとか、黒人兵の大半が北部出身だったとか、細かい違いはあるみたいですが。
印象的だったのは奴隷だったトリップの涙と、仲間たちと焚き火を囲みながら話すシーン(これを描きたかったけど無理だった)。
黒人のスピリットを描こうとするこの作品に、モーガン・フリーマンなど多くの俳優がギャラを安くしてでも出たがったそうですが、デンゼル・ワシントン演じるトリップはその中でも異彩を放っていました。助演男優賞受賞も納得です。
また、理想に燃え、背伸びしながらも、しだいに成長し信頼を得ていく大佐もよかったです。
あと、戦闘シーンはリアルすぎて怖かったですね。この時代の戦争が”真正面から撃ち合って兵が尽きたら負け”みたいなものだったのは知っているんですが、こういうシーンを観るたびにゾッとしてしまいます。銃を構えて一列に並び、敵も味方もバタバタと倒れていく中、黙々と行進して発砲するんですよ。
ゲームで戦略シミュレーションというジャンルがあって、小隊などの”駒”が攻撃を受けると”数値”が減っていくんですが、それと同じくらい簡単に人が死んでいきます。(こういうゲームは悲しくて遊べない…)
こんな戦い方をしていたため、南北戦争は米国史上桁違いに多くの犠牲者を出した戦争となってしまいました。
ただの”泣ける映画”だとは思ってもらいたくないのだけど、やはり最後は涙腺がゆるみます。その後、wikipedhiaでロバートの父親の言葉「息子があのように埋葬されて誇りに思う」をみつけて、また涙が…。心に残る作品でした。
2018/11/07 再見
内容を忘れたので再見。戦争映画はあんまり何度も見るものじゃないね…。とりあえず、私の感情が麻痺して凄惨な戦場のシーンを見ても何も感じなくなってしまったからなぁ。
よくできた作品であることは間違いなくて、今回もトリップが仲間の前で語るくだりは感動しました。やはりこの作品の主役はロバートとトリップだと思います。他のメインキャラの見分けも付きやすくてストレスなく鑑賞できました。同じ軍服を着て戦った後半も見分けられるのは私的に嬉しい!
また、ロバートの心情を理解して、冷たい態度を取られても彼を信じ続けた友人もよかったですね。クリスマスの夜の一言がロバートにどれだけの安心感をもたらしただろう?
人間として扱いたいけれど、気の緩みは死を招くから決して優しくはできないし上官らしくしていなければならない。その上で兵士たちの気持ちを一つにまとめるために、信頼関係を壊してはならないというのは難しいことだったと思います。とくにロバートはお坊ちゃんだったし。
「あいつも黒人いじめが好きな白人だ」と陰口をたたかれていた彼が、靴の調達や減額給料の受け取り拒否、北軍内の腐敗に立ち向かうエピソードなど、少しずつ信頼を得ていく過程が丁寧に描かれていました。
ラストのことはすっかり忘れていて、淡々と彼の最期が描かれているのがズーンときます。南北戦争を知る上で重要な出来事なのに、どうして忘れてしまうかなぁ…。
- 関連記事
- 「戦火の勇気」観ました
■ Comment
こんばんは。
こんな映画があったんですね~。
骨太な映画作りで知られるズウィック監督なので、
ぜひ見てみたいです!
仰る通り南北戦争は、アメリカの戦役史上最悪の損害を出してますね。
以前から、「ファイヤーエムブレム」を遊ばれる宵乃さんが、
戦略シミュレーションを嫌いなのはなぜだろうと思ってましたが、
その理由がなんとなくわかりました。
「HP」と「兵士数」は一緒にできないんですよね。
なるほど、と納得しました。
この映画良かったです☆
もしかしたら、いままで見た「戦争映画」の中で一番かもしれません。
去年「デイズ・オブ・グローリー」という戦争映画を見て、今までで一番悲しく辛い重いと思っていたけど・・・
つまりは戦時には「神さま」を、人間はより求め、考えるという事でしょうね~???
イラスト、すっごく素敵です☆
描かれなかった場面も見てみたい気もするけど、私はこの人をすっごく気に入ってしまったので、この場面が良いです☆
知っている限りの黒人スターが出ていました。
>モーガン・フリーマンなど多くの俳優がギャラを安くしてでも出たがったそうですが、デンゼル・ワシントン演じるトリップはその中でも異彩を放っていました。
それぞれの個性と役柄がピッタリで、ホント良かったです。
戦闘シーンは、いつもイヤな思いをします。
私は宵乃さんとは違い、いままで見た中ではまぁマシな方かな?と思いましたが、どんな映画でも、戦闘シーンは、本当にイヤですネ・・・。
2010/07/14 10:04 miri〔
編集〕
まさしく”骨太”といった感じの戦争映画でした。
「ラストサムライ」と被る部分も多いみたいですが、わたしはこちらの方が好きです。
時間のあるときにぜひ。
> 「HP」と「兵士数」は一緒にできないんですよね。
> なるほど、と納得しました。
我ながらセンチメンタルだとは思うんですけど、どうも苦手です。
やっぱり、映画でこういうシーンをみていると、思い浮かべてしまうんですよね。
優秀な”軍師”にはなれそうもないです。
2010/07/14 11:48 宵乃
ほんとに、この作品は良かったですよね。
「デイズ・オブ・グローリー」は未見なのでわからないけれど、凄惨な場面などをリアルに描けばいいというものではないですよね。ゴスペルを歌うシーン、誇りのために突き進むシーンに、人間本来の姿をみました。
> 描かれなかった場面も見てみたい気もするけど、私はこの人をすっごく気に入ってしまったので、この場面が良いです☆
普段描かないタイプの人だったんですが、ヒゲがあったので何とか(笑)
気に入って頂けて嬉しいです。
> 知っている限りの黒人スターが出ていました。
> それぞれの個性と役柄がピッタリで、ホント良かったです。
なんでも脚本にはストーリーの枠組みだけが書かれていて、俳優が自分で骨だけの役柄に肉付けしたらしいです。ものすごく大胆なやり方ですよね。
> 私は宵乃さんとは違い、いままで見た中ではまぁマシな方かな?と思いましたが、どんな映画でも、戦闘シーンは、本当にイヤですネ・・・。
なんというか、兵士が本当にただの”消耗品”として扱われていたのがよく表れていたと思います。偉い人の盾になるのが役目みたいな。
まあ、どんな戦闘シーンも恐ろしい事に変わりはありませんけどね。
2010/07/14 12:14 宵乃
マシュー・ブロデリックが好きなので観ました…ストーリーはほとんど覚えてなくて申し訳ないのですが、なんとも恐い戦闘シーンでしたね。
こういう戦闘シーンは初めてで、恐るべき度胸がなければとてもこういう戦い方は…しかし上にとっては本当に単なる兵士であり、消耗品だったと思います。
ぎゃあぎゃあと泣き叫んだり、爆発が凄いなどの演出より、よほど恐かったです。
あまりのインパクトにここ覚えているんですよねぇ。
こんにちは。
マシュー・ブロデリックのことを調べてみたら、「ウォー・ゲーム」や「ファミリービジネス」に出演していた方なんですね。童顔だけどこの役をしっかりと演じていて、優れた役者さんだと思います。
> こういう戦闘シーンは初めてで、恐るべき度胸がなければとてもこういう戦い方は…しかし上にとっては本当に単なる兵士であり、消耗品だったと思います。
ほんとうに恐ろしかったですよね。まるで生かすつもりがない”死んで当たり前”という戦い方でしたから。
上の人たちはコーヒー片手に「この数向かわせれば、あの要塞だって落ちるだろ?」みたいに軽々しく兵を送り込んでいたことでしょう。
まさに、”敵は外にあらず”というところでしょうか。
2010/07/15 09:57 宵乃
>なんというか、兵士が本当にただの”消耗品”として扱われていたのがよく表れていたと思います。偉い人の盾になるのが役目みたいな。
そうですね、やはり“人間として対等に扱う・扱わない”という事が根底にあるのでしょうね~!
「デイズ・オブ・グローリー」が、一番重いと思ったのは(第2次大戦です)「フランス軍」という名前でありながら、一度も見た事も行った事もない“祖国”のために、使い捨てられる植民地(アルジェリアなどの北アフリカ)の人々を描いていたからです。
宵乃さんの仰ることと根底は同じではないでしょうか?
でも、戦闘シーンだけに限ると、この映画の方が、確かに淡々とし過ぎていて、使い捨てられるモノのように扱われていましたね・・・。
南軍は同じシーンでも皆白人だから、どういうふうに前に出る人を決めていたのでしょう?もしかして貧しい人からとか???
とにかく今の時代では考えられない理不尽さを、戦争映画はいつも教えてくれるし、今でも地球のどこかで戦争があるという恐さも教えてくれますネ。
朝から長々とゴメンなさい☆
良い一日でありますように~!
2010/07/16 07:54 miri〔
編集〕
おはようございます。
> 「デイズ・オブ・グローリー」が、一番重いと思ったのは(第2次大戦です)「フランス軍」という名前でありながら、一度も見た事も行った事もない“祖国”のために、使い捨てられる植民地(アルジェリアなどの北アフリカ)の人々を描いていたからです。
そういうことでしたか。やっぱり、観てないものについて言うものじゃありませんね~。
たしかに根底はそれと同じことだと思います。
> 南軍は同じシーンでも皆白人だから、どういうふうに前に出る人を決めていたのでしょう?もしかして貧しい人からとか???
う~ん、どうでなんでしょう。歩兵の中でのことですよね?
指揮官が決めていそうだから、さすがに多少の貧富の差まで把握してないような。有力者などの子供は最初から歩兵にならないだろうし。銃の扱いの上手さや体格などを考慮するか、もしくは何も考えずに決めた順番になるんじゃないでしょうか。
> とにかく今の時代では考えられない理不尽さを、戦争映画はいつも教えてくれるし、今でも地球のどこかで戦争があるという恐さも教えてくれますネ。
ほんとうにその通りだと思います。
せめて中世時代のように、核兵器や機関銃がなく、作戦を考えたひとも戦場に出てくれば、こんな消耗品扱いは減ると思うんですけどね。
2010/07/16 10:23 宵乃