ダグラス・サーク監督2作品感想

『天はすべて許し給う(てんはすべてゆるしたまう):All that heaven allows』
1955年アメリカ、ダグラス・サーク/エドナ・リー、ハリー・リー
『悲しみは空の彼方に(かなしみはそらのかなたに):Imitation of life』
1959年アメリカ、ダグラス・サーク監督、ファニー・ハースト原作
二作品とも同じような事を言っている気がしたので、まとめて感想いきます。
とりあえず、メロドラマの巨匠(今ではアイロニーの巨匠かな)がつくった作品らしいけど、これはあまりメロドラマという感じではありませんでした。事故や家出、親の死なんかの急展開は確かにそうだけど、登場人物は意外と冷静というか。時々、感情の変化があっただろう時間をばっさり省いていて驚かされますし。まあ、メロドラマがどんなものか正確には知らないのでなんともいえませんが。
とにかく、このふたつの作品から感じ取れたのは、”どんなに足掻いても変えられないものと、見方を変えるだけで変わるもの”があるということでした。生まれや肌の色、生死は変えられるものじゃないけど、偏見や差別意識は人の中から生まれるものだから見方を変えれば何の障害でもない、ということなのかなと。
でも、「天はすべて許し給う(原題の直訳だと”天が許し給うすべて”)」というタイトルに込められた意味は、「天が許すのはたったこれだけしかない」という皮肉らしいです。
個別の感想としては…
「天はすべて~」はキャリーがしっかりした女性で好感が持てたけど、キャリーの子供とは思えない自分勝手なふたりにはイラッとした。TVを貰った時の表情がいい!
「悲しみは~」の方は、サラ・ジェーンとの最後の抱擁のシーンで泣いてしまった。ラストの葬儀では、女優として華々しい生活を送っていたローラよりも、黒人という事を隠して生きようとしたサラ・ジェーンよりも、自分を偽らず生きてきたアニーがほんとうに豊かな人生を送ってきたのだという事に感動!
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■ Comment
これはイラストなの?目を皿の様にして見ましたが、写真画像のようにしか見えません!
凄い、凄いなぁ!
このイラストを頂きたいのですが・・・私のブログに宵乃さん作と断り書きを付けて載せても良いでしょうか?
>”どんなに足掻いても変えられないものと、見方を変えるだけで変わるもの”があるということでした
”人を変えようとするより、まず自分が変わることで変えられる” と云うことですよね。難しいけれど、一番近道だと最近は心から思えています。
>TVを貰った時の表情がいい!
私も同感でした。TVを送った長男の憎たらしかったこと!
『imitation of life』の原題もストレートで良いですね。
>はぐれた娘を捜していた未亡人ローラは、仕事を探す黒人女性アニーとその娘サラ・ジェーンと出会う。同情から一緒に暮らしはじめるが、ローラが女優として成功するにつれ彼女はなくてはならない存在となった。だが、サラ・ジェーンは黒人であることを隠そうとし・・・。
女3人で暮らす設定が興味深いわね。
疑問
リメーク版なのですか?’59年作なのに時代背景は1974年ですね。
いらっしゃいませ~、拍手ありがとうございます♪
イラストも気に入って頂けたようで、bambooさんのブログに載せて頂けるとは嬉しいです。どうぞ使ってください。
> ”人を変えようとするより、まず自分が変わることで変えられる” と云うことですよね。難しいけれど、一番近道だと最近は心から思えています。
そうですよね。映画にすると”自分が変わることで周りも変わっていく”というふうに描きがちなのに、この監督さんは一番伝えたいところだけ描いて、後は潔いくらいにバッサリそぎ落とした感じがしました。
ほんと、原題もストレートで良いと思います。
> >はぐれた娘を捜していた未亡人ローラは、仕事を探す黒人女性アニーとその娘サラ・ジェーンと出会う。同情から一緒に暮らしはじめるが、ローラが女優として成功するにつれ彼女はなくてはならない存在となった。だが、サラ・ジェーンは黒人であることを隠そうとし・・・。
> 女3人で暮らす設定が興味深いわね。
あ、はぐれた娘も見つかるので女4人ですね。
ローラはあくまで女優であり、アニーはローラのとても親しい”使用人”で子供たちの母親、というポジションが哀しかったです。
> リメーク版なのですか?’59年作なのに時代背景は1974年ですね。
うわぁ~、やっちゃった(汗)
正しくは1947年でした。ご指摘ありがとうございます、訂正しておきますね~。
2010/07/06 09:37 宵乃
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