映画「こねこ」観ました
製作:ロシア’96
原題:KOTEHOK
監督:イワン・ポポフ
ジャンル:★ドラマ/ファミリー
【あらすじ】モスクワ。音楽一家の子供たちマーニャとサーニャが、ペット市場で一匹の子猫を買ってきた。いたずら好きのその子猫はチグラーシャと名づけられ、やがて家族の一員に。だがある日、窓からトラックの荷台へ落ち、冬の町で迷子になり…。
これはもう動物好きなら観た方がいいと思う。というか、動物嫌いじゃないなら観てほしいくらい。
もう、にゃんこが究極に愛らしくて、しょっぱなからもだえ転げてしまいました。チグラーシャ(トラ猫の愛称)はもちろんの事、猫屋敷(アパート)などに出てくる猫たちも可愛くて、そのうえ芸達者ばかりです。
また、家族愛もいいですね。姉マーニャと弟サーニャがほんと愛らしいんですが、実は監督さんの実のお子さんだとか。他にも監督の両親と奥さんが製作スタッフとして参加してます。
そんな、家族に支えられて出来た作品だからこそ、優しい気持ちに溢れているんですよね。
家の中をメチャクチャにされても、「これくらい大丈夫よ~」と歌いながら花瓶を直すおばあちゃん。フルートのケースに粗相されても、行方不明になったチグラを夜明けまで探し続けるお父さん。泣きながら雪の街を捜しまわり、新しく買ってやるといわれても、戻った時の事を考え待ち続ける子供たち…。
そして、街で出会う人々の”愛らしい子猫につい構ってしまう”様子には、猫好きとしてとても親近感が湧きました。
特に素晴らしいのが、チグラーシャを快く受け入れてくれた猫屋敷の主フュージン(主人公)。せまい屋根裏部屋で大量の猫と一緒に暮らすおじさんで、猫とサーカスにでるのを夢見ています。でも現実は厳しくて、彼は掃除夫で稼ぎも少ないし、地上げ屋に追われる毎日。そんな彼を慰めつつ、時には仕事を手伝い、時には金持ちに売られてから逃げ帰り(詐欺の主犯は猫…!?)、時には彼を守るため敵に総攻撃をかけ、強い絆を見せてくれます。
実は、フュージン役の人はボリショイサーカスの優れた猫使いらしく、猫たちも彼の本当の相棒とのこと。映画からも、彼らの絆が上辺だけのものではなく、長い時間を過ごして培った本物の絆だということが伝わってきます。
ラストはハッピーエンドで、チグラーシャはマーニャたちのもとへ帰るのですが、一方では、猫たちに囲まれながらもどこか寂しそうな表情を浮かべるフュージンが…。ロシア映画らしく、物悲しい余韻を残します。