忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「僕の大事なコレクション」観ました

 | ロードムービー  com(4) 

僕の大事なコレクション
映画:ぼくのだいじなこれくしょん
原題:EVERYTHING IS ILLUMINATED
製作:アメリカ’07
監督:リーブ・シュライバー
原作:ジョナサン・サフラン・フォア
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】コレクション癖のあるユダヤ系アメリカ人のジョナサン。彼は亡き祖父の命の恩人アウグスチーネ捜すため、祖父の故郷ウクライナへとやって来た。だが、雇ったガイドは英語があやふやなアレックスと、彼の祖父で自称盲目の運転手だった。

”僕の~”などで始まるタイトルには若干イラつくものを感じるようになってきた今日この頃。(だって、どれがどれだか分からなくなるんだもの)
またか、と思いつつ観賞し始めたけれど、これがなかなかの一品でした。
内容は、ユダヤ系の青年が古い写真をきっかけに、祖父の過去を辿る旅に出るというロードムービー。
家族にまつわる品物や目に留まったものを何でもジッパーつきのビニール袋に入れコレクションしてしまう、ベジタリアンで犬嫌いの青年ジョナサン。メチャクチャな英語を話すアメリカ大好き青年アレックス。金持ちユダヤ人を嫌いながら”ユダヤ人のルーツを探るツアー”のガイド業を営む、自称盲目の偏屈な老人。そして、この老人の唯一の友、猛犬のサミー・デイビス Jr. Jr.。
一癖も二癖もある登場人物たちの”ずれ具合”に大笑いし、しだいに打ち解けていく姿にほんわかあったかい気持ちになりました。
どこか郷愁をさそうロマ・ミュージックと、水色の車が走る美しい田園風景(ロケ地はチェコのプラハ)。青空とシーツと向日葵のコントラストなど、優しくノスタルジックな雰囲気が心に残ります。

終盤はホロコーストに関わる話なので、今までの軽妙さが嘘のように重くなってゆくのですが、それでも観終わっての後味は不思議と悪くないんですよね。
ネタばれですが、アレックスの祖父はこの旅の最後に自ら命を絶ちます。それは終盤に明らかになる彼の過去…小さな村で起こったユダヤ人虐殺で生き残り、ユダヤ人であることを捨て、名前を捨て、”自分”を殺して”ユダヤ人嫌いのウクライナ人”として生きてきた彼の、償いか解放か…?
老人の満足そうな表情が何を示しているのか、本当のところはわかりませんが、戦争の残した深い傷跡について考えさせられました。
「忘れそうで恐いからコレクションする」というジョナサンの言葉、「過去は常に私たちと共にある」というアレックスの言葉が印象に残ります。
ちなみに、原題「Everything Is Illuminated」は”全てが明らかにされた”という意味。

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■ Comment

こんにちは☆

実はこの映画は「この程度の映画を数見るくらいなら、再見をしよう」と決意させてくれた、感謝の映画です。
(それで「天国から来たチャンピオン」を見る事が出来たのです)

ひまわり畑、は、「ひまわり」という映画を思い出させました。音楽も聞こえるような気がして・・・
あのコレクションは気味が悪いし、血もつながっていないのに、探し当てた人が同じ事していて、気持ち悪く感じた。

ウクライナ、がどういう国かは知らないけど、反戦を静かに訴えていて、その点は良かったと思う。
少しサスペンス風な作りになっていて、まあまあだったんだけど、爺さんが自殺したところがどうにも分からなくて、嫌になりました。自分があの村を逃げ出したユダヤ人だという意味かもしれないし、その時に見られた女性があのおばあさんだったのかもしれないけど???

どちらにしても、若者たちの未来はそれぞれにあると、そう思えるラストは良かったです。
2009/11/04 10:32  サイ〔編集

Re: こんにちは☆

サイさん、こんにちは。

> (それで「天国から来たチャンピオン」を見る事が出来たのです)
「天国から来たチャンピオン」は知らないのですが、きっと素敵な作品なんでしょうね。わたしも機会があったら観てみたいと思います。

> あのコレクションは気味が悪いし、血もつながっていないのに、探し当てた人が同じ事していて、気持ち悪く感じた。
確かに変な感じでしたよね。最初は血が繋がっているのか?と思ってしまって、過去の映像で混乱してしまいました。あと、生き物をコレクションするのは嫌ですよね。後で逃がしてやってれば良いんですが・・・。

> まあまあだったんだけど、爺さんが自殺したところがどうにも分からなくて、嫌になりました。
あれには呆然としてしまいました。しばらく考えて、戦争の残した傷跡は時間でどうこうなるものじゃないんだなぁと、じわじわ効いてきて・・・。これの前に観た「長い散歩」でも自殺があって嫌な気分になったのは確かなんですけど、考えさせられたしアレックスもこうやって考えたんだろうなと思えたんですよね。まあ、結局のところおじいさんの気持ちが理解できたわけではないし、だからこそ”もっと戦争の事を勉強しなきゃいけない”と痛感したんですが。

わたしも再見したい作品はたくさんあるけど、とりあえず若いうち(?)は何でも観て、観る目を養いたいなと思っています。でも時々、観すぎたせいで逆にダメになっていたらどうしようと不安になるんですよね~。年齢によっても面白さが変わるということもあるし、全然知らない監督さんもまだまだいるし、とりあえずは”TVでやってたら観る”というスタイルを続けるしかないかなぁ・・・。
2009/11/04 14:10  宵乃

>わたしも再見したい作品はたくさんあるけど、とりあえず若いうち(?)は何でも観て、観る目を養いたいなと思っています。
>でも時々、観すぎたせいで逆にダメになっていたらどうしようと不安になるんですよね~。
>年齢によっても面白さが変わるということもあるし、全然知らない監督さんもまだまだいるし、とりあえずは”TVでやってたら観る”というスタイルを続けるしかないかなぁ・・・。

さっき書き忘れて・・・
私の考えなんですけど、偉そうに聞こえたら、許して下さいね☆

この先「いつでも、何でも、見たい時に、見られる」とは限らないから、
今そして今後「見られる時に、見たいモノを、初見でも再見でも」
宵乃さんの思うままに、なさったら宜しいんじゃないでしょうか?

イラスト、素敵ですから、ブログも書ける時に、書きたいように書いて(描いて)下さいね~!
いつも楽しみにして待っています♪
2009/11/05 11:00  サイ〔編集

Re: タイトルなし

どうも~。前回のわたしのコメントはちょっと話ずれてましたね(笑)
あんまり気にしないでください。

> ブログも書ける時に、書きたいように書いて(描いて)下さいね~!
そう言っていただけると気が楽になります。実は記事の”それでもこの映画の持ち味である優しさが満ちています”の部分は、語弊がありそうなので書き直すことにしました。(アップしてから”ここ違うな”ってことがよくあるんですよね)
お爺さんの自殺でショックを受ける人もいるでしょうから、そこら辺を書き足そうと思います。
2009/11/05 12:04  宵乃
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