映画「華麗なるヒコーキ野郎」観ました

次の瞬間に怒り出します。
読み:かれいなるひこーきやろう
原題:THE GREAT WALDO PEPPER
製作:アメリカ’75
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
ジャンル:★ドラマ
【あらすじ】1925年代ネグラスカ州。第一次世界大戦の後、遊覧飛行で日銭を稼いでいたウォルド。彼は同じ境遇のアクセルと命がけの曲芸を繰り返すが、死亡事故を起こしてアクセルは飛ぶのをやめた。やがて、ハリウッドでスタントの仕事を始めたウォルドは、ライバルで憧れの人物である元ドイツ空軍撃墜王ケスラーと出会う。
最初は、遊覧飛行や曲乗りで人々を笑顔にしている様子が微笑ましくて、無茶して大怪我したり、それで恋人にリンゴ(?)投げつけられたりしていても、古きよき時代だなぁという感じで楽しんでいました。でも、飛んでる飛行機の翼の上を歩くだの、パイロットでもない女性を翼に乗っけるだの、観ているだけで冷や汗がでてくるような事をするようになり…。
こんな展開になるとは思ってもみなかったので、胸がきゅうっとしてしまいました。そして、だんだん観衆の求めているものが酷く残酷なものだったとわかってきて、親友の事故のシーンで野次馬たちに腹が立つ一方、こうやって映画を観ている自分も同じなんだという気分になってきました。
こんな悲しい出来事があったのに、それでも空に魅せられ戻ってきてしまうウォルドの気持ちは、正直わたしにはわかりません。しかし、クライマックスの複葉機による一騎打ちは、わからないながらも深く感動してしまいました。ウォルドが空の彼方に消えていくラストが印象に残ります。
<2019/09/19再見>
久しぶりに再見してみたんですが、犠牲者が出ることがわかってるとダメですね…。なんでそんな危険なことをするんだ!と思ってしまって、あまり主人公の気持ちに寄り添えなかったです。
そのせいか序盤、アクセルとの出会いのエピソードもコミカルさより「危険だとわかってるのになぜそんなことを…」と主人公の一般人とはかけ離れた感覚に恐怖を感じてしまったり(汗)
ウォルドの飛行士歴?が何年か知りませんが、完全に依存症になってますよね…。アドレナリン中毒というんでしょうか?(医学的に正しいか知りませんが緊張状態になるアドレナリンの分泌後、リラックスのために快楽物質のエンドルフィンが分泌されるとかなんとか)
友人の恋人が自分の目の前で死んだ直後にも、処分を言い渡しに来たニュートさんに「そんな馬鹿な!」と食い下がる自分が冷血だとは思ってない。今までの仕事が1年間できなくなるにしても、彼の様子はどちらかというと飛べなくなること自体に危機感を覚えているようで怖かったです。
ちなみに、彼女が恐怖で固まってしまった時に着陸できなかったのは、機体が斜めになるからなんでしょうか。ウォルドが反対側にきてバランスが取れた時、このまま着陸したら良いのでは?と思ってしまったんですが…。反動で吹き飛ばされる可能性があるとしても、上空から落ちるよりかは生存率が高かった気がします。
あと、後半で登場するケスラーの昔話にはゾッとしてしまいました。パイロットとして未熟な若者は容赦なく撃墜していったのに、自分と張り合える熟練の操縦者には敬意を払って見逃すって…。あんたと同じってことは、見逃せば祖国の若者が犠牲になるってことでしょ!?
「未熟な操縦者を撃墜するのはむなしい、本気で競い合っている間は生きていると実感できる」という気持ちはわからないでもないけれど、結局のところ”自分が若者を殺している”という罪悪感を忘れさせてくれたからということだと思いました。
彼も戦争で傷を負ったというエピソードなのかもしれませんが、主人公にとって最初から最後まで彼は憧れの存在として描かれていて、あまりにセンチメンタルなんですよ。主人公には戦闘に参加できなかったことを悔やむよりも、若き飛行士たちが生還できるように教官として指導していたことに誇りを持ってほしかった…。
ラスト、壊れた飛行機で去っていくウォルドの様子を映した後、ウォルド・ペッパー(1895-1931)と書かれます。
1926年に始まって、アクセルと出会ってから事故までの年月と、謹慎処分が解ける前にスタントマンとなってケスラーと飛ぶまでの年月を合計すると5年ということでしょうか?
劇中に年月の経過が描かれてなかった気がするので、いまいち死を暗示しているのかどうかわからなかったです。アクセルは多少老けてた気がするけど…。
再見して入り込めなかったのは残念でしたが、色々考えられたのは良かったです。
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■ Comment
空に生きて、空で死んだ男。
偉大なるウォルド・ペッパー。
コメディタッチの映画かと思ったら、翼に乗った女性の墜落死。
そして友人が無神経な野次馬による焼死。
痛ましい場面が二つありました。
この映画をテレビで見ました。日本語版。
焼死する友人の叫び「ウォルド!何とかしてくれー!」が今でも耳から離れません。
またあの女性が消える場面。
僕が長年愛用していた時計やメガネをなくした事に気付いた瞬間になぜかあの場面を思い出しました。人の命と物を一緒に考えてはいけないですが・・・・・・。
ラストの一騎打ち。あれでウォルドは満足した事でしょう。爽やかさがありました。
邦題。「華麗なる」と言うのが1970年代っぽいですね。
2011/01/23 12:15 間諜X72〔
編集〕
> 空に生きて、空で死んだ男。
> 偉大なるウォルド・ペッパー。
こうやって書くと「カッコイイ!」って単純に思うんですが、この作品を観るとそういう生き方しかできなかった不器用さというのが印象に残ります。
> 焼死する友人の叫び「ウォルド!何とかしてくれー!」が今でも耳から離れません。
あれはほんとうに痛ましいですよね。煙草の男(でしたよね?)は捕まらないんでしょうか。
> またあの女性が消える場面。
> 僕が長年愛用していた時計やメガネをなくした事に気付いた瞬間になぜかあの場面を思い出しました。人の命と物を一緒に考えてはいけないですが・・・・・・。
なんとなくわかります。あんなにあっけなく人の命が消えてしまうなんて、と怖くなりました。あの大きな空のなかにいると、人間なんてちっぽけなものです・・・。
> ラストの一騎打ち。あれでウォルドは満足した事でしょう。爽やかさがありました。
そうですね、なんともいえない余韻がありました。
まさしく”男の映画”という感じですよね。
2011/01/23 13:53 宵乃
こう言う映画に出て来る男達って、夢を追いかける少年っぽさがあります。女性はそう言うのに惹かれるのでしょうか?
主人公のウォルドはまさにそうです。夢の為にその後事故死してしまうのですが。
夢がない男はあまり魅力がないです。
2011/01/31 20:40 間諜X72〔
編集〕
> こう言う映画に出て来る男達って、夢を追いかける少年っぽさがあります。女性はそう言うのに惹かれるのでしょうか?
そうですね~、程度にもよりますが夢を追う男性は魅力的に感じます。映画じゃなくても、そういうひとは主人公のように輝いてますよね。ただ、自分の力だけではなく、周りの助けもあって夢を追うことができるんだ、と理解している人じゃないとダメかな~。
その点、ウォルドは合格、だったかな?(細かい所は忘れ始めてます・・・)
> 夢がない男はあまり魅力がないです。
やはり男性からみてもそうですよね。ひたすら夢を追う姿は、少なからず誰しも憧れるものがあります。
2011/02/01 10:34 宵乃
この映画、高校生になる前に映画館で見ていて、今日再見しました。
っていうか初見同様でしたが・・・。
イラスト素敵ですね! 女性を描かせたらピカイチの宵乃さんらしいです!
>最初は、遊覧飛行や曲乗りで人々を笑顔にしている様子が微笑ましくて、・・・古きよき時代だなぁという感じで楽しんでいました。
このあたりは楽しく見られますよね~☆
>こんな展開になるとは思ってもみなかったので、胸がきゅうっとしてしまいました。
中盤は見ているのが苦しいシーンが続きましたね・・・。
>そして、だんだん観衆の求めているものが酷く残酷なものだったとわかってきて、親友の事故のシーンで野次馬たちに腹が立つ一方、こうやって映画を観ている自分も同じなんだという気分になってきました。
あのタバコはひどかったですよね・・・
もしかしたら現実にそういう事故もあったのかもしれない・・・なんて思っちゃいました。
でも、映画を見ているヒトは同じではないと思いますよ~。
だってそんなシーンを求めてこの映画を見たわけではないのですから・・・。
>それでも空に魅せられ戻ってきてしまうウォルドの気持ちは、正直わたしにはわかりません。
このあたり、他のヒコーキ乗りの映画をいくつか見て記憶にあるので
なんとなく分かるような気もしますね~。
>しかし、クライマックスの複葉機による一騎打ちは、わからないながらも深く感動してしまいました。ウォルドが空の彼方に消えていくラストが印象に残ります。
この監督らしい作品だと思いました。
再見時の感想もちょっと書いた記事のURLを入れさせて頂きますね~♪
> イラスト素敵ですね! 女性を描かせたらピカイチの宵乃さんらしいです!
ありがとうございます!
やはり黒髪美女と、渋いオジサマを描くのは楽しいです。描きたいシーンが見つかってからは、映画も集中して観られますしね~。
> でも、映画を見ているヒトは同じではないと思いますよ~。
> だってそんなシーンを求めてこの映画を見たわけではないのですから・・・。
そういえばそうですね、どうも見てるだけで何もできないのがもどかしくて・・・。わらわら駆けつける観客が酷いのはもちろんの事、運営側の対応も十分じゃなくて、色々と腹が立ってしまいました。
> このあたり、他のヒコーキ乗りの映画をいくつか見て記憶にあるので
> なんとなく分かるような気もしますね~。
わたしもいくつか観ていますが、たいてい残される女性に感情移入してしまって、「どうしてそうまでして飛ぶの?」という気持ちが強くなってしまいます。まあ、それでも愛し続ける女性の気持ちも、そこまでわかるわけじゃないですけどね~。
この監督の作品は他に2作しか知りません。余韻を残すラストが上手いかも?
そういえばこの映画、二十数年前の下宿先の近所にあったレンタルビデオ屋に、「素晴らしきヒコーキ野郎」のあらすじと宣伝文句がはさまれて並べられてたな……。
わたしはテレビで見ていたからひっかからなかったけれど、「素晴らしきヒコーキ野郎」のつもりでレンタルした人がいたら……悲惨だったろうなあ(^^;)
> そういえばこの映画、二十数年前の下宿先の近所にあったレンタルビデオ屋に、「素晴らしきヒコーキ野郎」のあらすじと宣伝文句がはさまれて並べられてたな……。
あはは、致命的ミス!
「素晴らしきヒコーキ野郎」は未見ですが、こちらは結構重い内容だからショックだったでしょうね~。
私もどちらが観たことがある方なのかわからなくなりそうだし、紛らわしい邦題はホント困りますよ。
コメントありがとうございました。
我々男は、いくつになっても損得勘定抜きに挑戦したいものがある。そう思います
膝を痛めたのに鍼治療を受けて、再びマラソン大会に参加したくなった僕がそうです。
>だからこそ映画のカッコいい登場人物にみんな憧れるのです。
「動く標的」のポール・ニューマンも、皆さんが憧れる存在です。
画像の女性。スーザン・サランドン?マーゴット・キダー?
最近僕も頭がボケてきました。すみません・・・(反省)。
2019/07/28 15:00 間諜X72〔
編集〕
おぉ、マラソン大会ですか!
ブロガー友達のtake51さんもマラソンに再挑戦されてました。膝に負担をかけないよう色々研究されていて参考になると思います。「サラウンドに嵌った男の新たな挑戦」でその記録が読めますのでぜひ。
> 画像の女性。スーザン・サランドン?マーゴット・キダー?
> 最近僕も頭がボケてきました。すみません・・・(反省)。
いえいえ、私なんて俳優の名前と顔がほとんど一致してませんから(汗)
私も忘れてますが、たぶん主人公?の恋人か奥さんだったと思います。