映画「雪之丞変化(1963)」観た

読み:ゆきのじょうへんげ
製作:日本’63
監督:市川崑
原作:三上於菟吉
ジャンル:時代劇
【あらすじ】商売敵にはめられ、密輸抜け荷の濡れ衣で両親を失った少年。その敵を討つため、彼は剣術を鍛え、女形の花形歌舞伎役者中村雪之丞となった。江戸で思いがけず敵・三斎を目にした彼は、まず将軍の側室である三斎の娘に近づく。
やっぱり復讐物は好きになれないなぁ。まず敵の娘に近づくっていうのでアウトです。事情を知っているというだけで、復讐の妨げになるから殺す(未遂)というのも嫌。他人を巻き込む復讐はダメですよ。
という訳で、主人公にまったく感情移入できないし好きじゃないんですけど、面白いかどうかというと面白いんですよね、これが。
みどころは、両親を陥れた3人への復讐が果たされてゆく後半。「こんなことを考える自分が恐ろしい」と言うだけあって、裏切り・喪失・絶望と散々な目に遭わせてから死に追いやります。普段は「よよよ…」と崩れ落ちそうな雰囲気なのに、復讐の折に見せる表情は照明効果も加わってヒヤリとさせる恐ろしさ。
復讐物は嫌いと言いつつ、3人が倒されるのを痛快だと思ってしまいました。
残念だったのは、闇太郎という盗賊が雪之丞に惚れ込んで、やたらと健気だなんだと褒めていたこと。しかも、雪之丞と一人二役だったと言うじゃないですか。キモチワルイし、主人公をヨイショするキャラクターなんて鬱陶しいだけだと思います。
また、ヒロインはなかなか良かったです。べらんめえ口調の女盗賊が雪之丞と出会った後、『あんな、なよなよした男女に惚れるもんか!』と叫びながら畳の上をごろごろしてたのに胸キュンでした。
もう一人のヒロインが謎の死を遂げたりせず、雪之丞とともに去るエンディングだったら★付けたんだけどなぁ…。
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■ Comment
イラスト「おぉ~すげ~!」です♪
この場面をお選びとは!!!
この作品も前からイラストが気になっていたので(今回オンエアがあり)見ました☆
>他人を巻き込む復讐はダメですよ。
やっと、分かりました、そういう意味だったのですね~!
宵乃さんのお気持ちは、ちょっと純粋過ぎて・・・
復讐をする、ということは、もうすでに心がねじ曲がっているのです。
そして復讐する相手と、一対一で対峙できる、ということは
まず不可能ですから(映画の設定上も、現実にも)
まず周りの人に近付いて(なるべくならそうしたくないけど)
その人間も巻き添えで殺しても仕方ない、くらいの気持ちを持つのが
心のねじ曲がったヒトの考える事なのですよ~。
>みどころは、両親を陥れた3人への復讐が果たされてゆく後半。
>復讐の折に見せる表情は照明効果も加わってヒヤリとさせる恐ろしさ。
見応えのある作品でしたね~。
脚本も良かったと思います。
>残念だったのは、闇太郎という盗賊が雪之丞に惚れ込んで、・・・主人公をヨイショするキャラクターなんて鬱陶しいだけだと思います。
これは、この作品が「長谷川一夫 三百本記念作品」だから、
長谷川一夫のファン用の作品なので、それを楽しみに見る作品なのですよ~☆
タイトルバックで大きく出ていたので、それを承知で見る作品かと思います。
>『あんな、なよなよした男女に惚れるもんかいっ!』と叫びながら畳の上をごろごろしてたのに胸キュンでした。
山本富士子さんは、本当に美しいだけではなく、良い女優さんですね!
こういう役柄は初めてでしたが、ホントに特にこの場面は可愛かったです☆
>もう一人のヒロインが謎の死を遂げたりせず、雪之丞とともに去るエンディングだったら★付けたんだけどなぁ・・・。
若尾文子さんが死んだのは、彼のせいでしょうか?
まわりまわればそうだけど・・・
まぁ映画上は死ぬべきキャラでしたね~。
私的には、限りなくチョイ役に近い昼太郎(鼠小僧?)が可愛かったです♪
(らいさまよ☆)
2012/07/10 21:38 miri〔
編集〕
いらっしゃいませ!
イラストにお褒めの言葉ありがとうございます。必殺仕事人みたいでカッコよかったですよね(笑)
> やっと、分かりました、そういう意味だったのですね~!
> 宵乃さんのお気持ちは、ちょっと純粋過ぎて・・・
いや、純粋というか、基本的に映画は主人公に感情移入して観るのが一番好きなので、他人を巻き込んだ復讐をされると、その巻き込まれた方(と家族)に感情移入してしまって、一気に気持ちが離れちゃうんですよね。なので、復讐モノの楽しみ方がよくわかりません。
> これは、この作品が「長谷川一夫 三百本記念作品」だから、
> 長谷川一夫のファン用の作品なので、それを楽しみに見る作品なのですよ~☆
長谷川一夫って雪之丞のことですよね?
登場人物の素晴らしさを、本人の行動じゃなく他人の評価で表現されるとウザくないですか?
わたしが長谷川一夫のファンだったとしても、ああいう描かれ方をされたら冷める気がします。
> 山本富士子さんは、本当に美しいだけではなく、良い女優さんですね!
> こういう役柄は初めてでしたが、ホントに特にこの場面は可愛かったです☆
彼女の他の作品を観たことがあるかどうか定かではないですが、この作品のこのシーンにはズキューンとやられちゃいました。時代劇でこんなことやっても違和感ないのが凄いですね~。
ホント可愛かったです♪
> 若尾文子さんが死んだのは、彼のせいでしょうか?
> まぁ映画上は死ぬべきキャラでしたね~。
実は彼女の存在をすっかり忘れてしまって…。どうして死んだのかどころか、どうストーリーに絡んでいたのかも思い出せません。
でも、鼠小僧は覚えてますね~。雷さまだったとは!
もしかして記事があるかも?と思っていましたが、こちらが探す前に来ていただき、ありがとうございます。
私は若尾さん目当てで見たので、役柄はばっちり把握!
かわいそうすぎます! それもこれも、あんなオッサンに惚れたから…(笑)
お話は基本的には、しっかりしていたと思います。
> 私は若尾さん目当てで見たので、役柄はばっちり把握!
> かわいそうすぎます! それもこれも、あんなオッサンに惚れたから…(笑)
ボーさんの記事を読んだら、忘れていた若尾さんの役がすーっと思い出せたんですよ。
ホント、可哀想な役でしたよね…。なんであんな可愛い人が、あんなオッサンに心奪われてしまったのか!世の中まちがってる!(笑)
雷蔵さん演じる昼太郎の方ならわかるんですけどね〜。
1963年版だからあんなおっさん、と思えたのかもしれません。なにしろ、長谷川一夫がまだ林長二郎と名乗っていたころ、彼を主演として最初に撮られた「雪之丞変化」は1936年の作品! まだ長谷川一夫が20代のころの作品で、女ともみまごう超美形の若い俳優が女形、盗賊、女形の母の一人三役をやるという趣向が大受けし、空前の大ヒットを記録したのであります。三部作だったそうですが、いまはズタズタになった総集編しか残されてません。
その空前のヒットゆえに、300本記念でもう一度やろう、ということになったわけでしょうが、四半世紀過ぎた後の、55歳の身体では女装役にはさすがに無理が……。(^^;) なにしろこの次の作品で長谷川一夫は引退してしまうのです。
だから、雪之丞変化という芝居や映画で一人二役をやるのはもう「前提」になっているのであります。美空ひばりなんかも一人三役で演じているようですね。。
若き頃の長谷川一夫についてはここが詳しいです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~st_octopus/MOVIE/SILENT/29Chojiro.htm
2015/10/19 16:28 ポール・ブリッツ〔
編集〕
いらっしゃいませ!
あぁ、これはリメイクだったんですね。1936年ですか~、ご紹介いただいたページを見たら、本当にキレイなお顔で驚きました。これなら納得ですよ。フィルムがきちんと残っていないのが残念です…。
> その空前のヒットゆえに、300本記念でもう一度やろう、ということになったわけでしょうが、四半世紀過ぎた後の、55歳の身体では女装役にはさすがに無理が……。(^^;) なにしろこの次の作品で長谷川一夫は引退してしまうのです。
ですよね(汗)
完成した作品を観て、自分でも顔のアップはもう無理だと思って引退したのかな…。
> だから、雪之丞変化という芝居や映画で一人二役をやるのはもう「前提」になっているのであります。美空ひばりなんかも一人三役で演じているようですね。
美空ひばり版もあるとは知りませんでした。
前提になってしまうほどの長谷川さんの若かりし雪之丞、みたかったなぁ。
詳しく教えて下さってありがとうございました♪