映画「月蒼くして(つきあおくして)」観ました
原題:THE MOON IS BLUE
製作:アメリカ’53
監督:オットー・プレミンジャー
原作:F・ヒュー・ハーバート
ジャンル:★ロマンス/コメディ
【あらすじ】エンパイア・ステート・ビル展望台で出会い、意気投合したドンとパティ。彼はボタンが取れそうなのをいい事に、自宅での食事へこぎつけた。だが、彼が食料買出しに行ってる間に、彼の元婚約者や、その父親デイヴィッドが訪ねてくる。
アパートでの会話が最高でした。
かなり下心みえみえのドンと、清純そうに見えて(当時としては)刺激的なセリフがほいほい飛び出すパティ。そして、ドンに娘が傷つけられたと言いにきたのに、いつの間にかパティを口説くことにご執心な金持ちオヤジのデイヴィッド。
計算ずくなのか天然なのか、おじさんたちの求愛をひょいひょいかわすパティが可愛らしく、そして楽しい! 彼女に見事に翻弄されてしまうデイヴィッドもいい味出してます。
ほんとこのオジサン、妻を殴って別れたとか、自分より強い相手は殴らないとか、とんでもないことを言う男なんですが、なぁんか憎めないんですよね。自分で「私には不思議な魅力があるんだ」と言うだけあります。
そして、ほんのちょっとしか登場しないタクシーの運転手。アパートの前に2人を降ろしてから、「どうして彼を信じる気になったんだい?」とパティに問います。「女の勘よ」と答える彼女に「私の娘にもその勘が働けばいいが」と一言。なんかいいお父さんという感じで和みました。
入れ替わり立ち代りする魅力的な登場人物たちと、おしゃれで軽妙な会話に時間を忘れて楽しむことが出来ます。
残念なのは、ドンが遊び人にしか見えなかったことと、彼の婚約者の見せ場が無かったこと。この婚約者とまともに付き合っていたということを示しておけば、パティの見る目は確かだったと思えるのですが…。
ちなみに原題は”Once in a Blue Moon”で意味は”極めて稀なこと”。訳を間違えただけなんだろうけど「月蒼くして」という邦題も素敵ですよね。
すみません、わたしの勘違いでした。原題はTHE MOON IS BLUEで、邦題はそれを素敵に訳したものようです。いったいどこで勘違いしたのやら…どうも済みませんでした。(”Once in a Blue Moon=極めて希なこと”という慣用句は存在します。あと、青い月自体が”希な事、特別な事”を意味しており、それを見ると幸せになれるという言い伝えもあるそうです。)