原題:ON THE BEACH
製作:アメリカ’59
監督:スタンリー・クレイマー
原作:ネヴィル・シュート
ジャンル:★SF/戦争/ドラマ
【あらすじ】第三次世界大戦が勃発し、核攻撃で北半球が全滅した。南半球にも放射能汚染が迫るなか、本国に帰れなくなった米国の原潜がメルボルンに入港する。そして、艦長タワーズは学者たちと共に北極圏に汚染調査に出掛るのだった。
タイトルから青春ものやロマンスものを想像していたため、最初から漂う重々しい雰囲気に驚いてしまったんですが、人々の言葉の端々から状況が分かるにつれ、じわじわと心を蝕む絶望感や、それでも人として日々を生きていく強さが伝わってきました。
家で静かに終えようと考える者、最後まで楽しむ事を忘れず人生に悔いが無いよう”生きる”者、せめて故郷でと無人の街へ帰っていく者。死に向かう人々の様子が、静かに淡々と描かれています。
なかでも、いずれやってくる放射能による苦しみから妻や赤ん坊を守るため、安楽死の薬をどう手に入れようか思案する男のエピソードは切ない…。
破壊シーンもグロテスクな描写もないのですが、核戦争の恐怖と愚かさを静かに訴えかける作品でした。
ちなみに、原題は船乗りのスラングで、”船上にいない、岸にいて仕事がない”という意味だそうです。