映画「ロバと王女(ろばとおうじょ)」感想
原題:PEAU D'ANE
製作:フランス’70
監督:ジャック・ドゥミ
原作:シャルル・ぺロー
ジャンル:ミュージカル/ファンタジー
【あらすじ】愛する王妃を病で亡くした王様は、王妃の頼みで彼女より美しい相手としか再婚しないと誓う。そして、沢山の肖像画の中から選んだのは、なんと自分の娘だった。父親からの求婚に困惑した王女は、名付け親の妖精のもとへ相談に行く。
*ネタバレあり*
中世ヨーロッパ風の世界と浮世離れした登場人物、召使や馬は王国カラー(青や赤)に塗ったくられて、妖精や魔法の存在するおとぎ話の世界を演出しています。
亡き王妃の頼みからか、ただの面食いか。王様がたくさんの肖像画をはじいていった結果、いつの間にか王妃よりも美しく育っていた娘の肖像画が残った、というところで物語は始まります。お見合い用の肖像画なんて信用できないと思うんですけどね。
美しい王女(美人さんのカトリーヌ・ドヌーヴ)にさっそく求婚する王様。
「国王の言うことは聞くものだ」と、父親面で権力をかざします。
王女はちょっと困っているようでしたが、ここは軽蔑すべきでしょう。
妖精に相談したところ、無理難題を言って諦めさせる”かぐや姫作戦”を伝授してくれました。
しかし、本気モードの王様は次々と王女の望みを叶え、”太陽の輝きをもつドレス”も国の経済を支える”『金を産むロバ』の皮”さえも王女に贈ります。王女も「こんなにしてくれるんだから、結婚してもいいかも…」と迷い気味。
いや、頑張ったの召使だから。王様命令しただけだから!!
妖精も「父親と結婚するなんていけないことよ」と諭します。そして、てきぱきと王女にロバの皮を被せ、魔法の杖を与えて城から逃がすのでした。まるで、こうなると分かっていたかのように手際がいい…。
この後、赤の国に逃れてた王女は、汚い家で”臭いロバの皮”と人々に蔑まれて暮らし始めます。「なんで私がこんな目に…」とか悲しんでいるものの、魔法の杖があるので家の中には豪華な家具が並んでいるし、困ったことがあっても魔法で解決です。
そして、王子と出会い恋に落ちた彼女は、夢での逢瀬を果たし、指輪を仕込んだ手作りケーキをプレゼント。ついに王子は「この指輪がピッタリ合う女性と結婚する」と国中にふれ出すのでした。
国中の女性が大騒ぎし、”指が細くなる薬”なんてものも売り出されます。
でも、『指がただれた!』と騒いでいたところを見ると、この薬は指を溶かして細くするものみたいです。(怖いよっ!)
国中の女性が集まる中、王女は颯爽と最後に現れ、指輪がはまった途端にロバの皮を脱ぎ捨てます。そして、いい笑顔で太陽のドレス姿を人々に見せ付けるのでした。(なんだか演出が腹黒い…)
こうして王女と王子は結ばれ、父親がどうなったかといえば…。
なんと、妖精と結婚しているじゃないですか!?
どうやら彼女、むかし王様に振られたらしく、王女に協力したのも王様から遠ざけたかっただけの様です。まさか王妃の病も…!?
なんにせよ、そんなことで殺されたロバが可哀想でならない今日この頃。
<2019/03/25>再見
改めて見てみると、結構大胆に童話らしさを追求した作品でした。
普通は童話をそのまま映像化なんてせずに、残酷な部分や現代の感覚では合わないところは改変すると思うんですが、この作品はおそらくそこら辺もそのままです。
その割にはラストでヘリコプターが登場したりと挑戦的なところもあったりして、こういう反骨精神?が印象に残った理由なんだろうなぁ。
そして、美しき王女のドレスの着こなしが素晴らしかったです。空・月・太陽のドレスはどれも地味な人が着たら負けそうな輝かしさなのに、ドヌーヴは見事に着こなしてました。とくに空のドレスがお気に入り。空の映像が流れるのが素敵です。
あと、今回も感じたのが妖精の黒幕感。どう考えても王様は魔法で洗脳されてますよね(笑)
王女がいなくなって悲しみ、絶対に探し出すのだ!とか言っていた王様が、次の登場シーンでは妖精と仲睦まじくヘリから降りてくるんだもの。まあ自分の娘に求婚するような変態は洗脳して更生させた方がいいですけど。
ただ、王妃の病気も彼女が…と疑わずにはいられないのがなぁ(汗)
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