映画「ミニヴァー夫人」観ました
読み:ミニヴァ―ふじん
原題:MRS. MINIVER
製作:アメリカ’42
監督:ウィリアム・ワイラー
原作:ジャン・ストラッサー
ジャンル:★ドラマ/戦争
【あらすじ】1939年、ロンドン郊外に家族と暮すミニヴァー夫人。ある日、バラに「ミニヴァー夫人」とつけさせてほしいと駅長に頼まれ、こころよく了解する。だが大学から長男ヴィンが帰った日、村の名門ベルドン家のキャロルが頼みごとにやって来て…。
いわゆる戦意高揚映画だそうです。確かにラストの牧師の演説は違和感がありますが、予備知識なしで観たので素直にベルドン夫人との交流と家族ドラマに感動しました。
無駄遣いを夫婦で打ち明けあったり、花の品評会を楽しみにしていたりと幸せな日常から始まり、しだいに戦争に脅かされていく過程が丁寧に描かれています。その不安感は観ている側にも伝わってきて、まだ戦争の怖さを理解していない幼い息子が「もう戦争終わっちゃったの?」「まだよ。」「よかった~」と話しているシーンでは、母親の気持ちを考えると泣きそうになりました。
そして、深く心に残ったのはやはり日常生活の部分。
大学で社会主義に目覚めたヴィンと、祖母のため駅長のバラの出品を諦めさせてほしいと頼みに来たキャロルとの、口論から始まった恋。祖母であるベルドン夫人は相手が平民だと言って反対しますが、二人の強い想いやミニヴァー夫人の説得からついに結婚を認めます。やがて迎えた品評会の日、審査員の決定を覆して駅長のバラ「ミニヴァー夫人」に一等を贈るくだりは感動的です。
わたし的には、ここで終わっても良いと思えるくらい好きなシーンです。
再見追記<2017/06/28>
内容をほとんど忘れていたので再見。
冒頭の物欲に流される夫婦に「あれ、こんな人たちだっけ?」と思ってしまったり。そういえばブルジョア家庭の話でした。
つまり一般的なブルジョア家庭の平和な日常がコレということか。戦争が始まるかもしれないという時期に、つい現実逃避したくなったのかもしれないけど。
前半で印象に残ったのが次男とにゃんこの可愛さでした。演技なのか素なのか、子供らしい言動と無邪気な笑顔に癒されます。にゃんこが大好きで避難する時も一緒で可愛さ倍増。
この次男の可愛さと、長男と貴族の孫娘のロマンスがあるので、ミニヴァー夫人の良妻賢母っぷりが際立ってました。
長男と旦那が出動?してる時に負傷したドイツ兵と遭遇したくだりで、ミニヴァー夫人は彼を”敵”というよりは息子と同じように戦っている兵士として見ているのに対し、ドイツ兵の方は明らかに裕福な暮らしをしていたミニヴァー夫人を”憎むべき敵”として認識するところは考えさせられます。
でも、身分に関係なく町の人たちが亡くなって「一致団結して戦おう!」に繋げるあたりプロパガンダ作品だなぁとしみじみ…。
やはり、バラの品評会で実際のバラを見たら心に嘘をつけなくて、駅長のバラに一等を贈るくだりが一番映像的にも物語的にも美しいと思います。そこで終わってもいいけど、でもさすがにこれだけだと戦争の恐ろしさを伝えきれてないからなぁ…。