忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「麗しのサブリナ」観ました

麗しのサブリナ
読み:うるわしのさぶりな
原題:SABRINA
製作:アメリカ’54
監督:ビリー・ワイルダー
原作:サミュエル・テイラー
ジャンル:★ロマンス/コメディ

【あらすじ】大富豪ララビー家の次男デビッドへの想いを断ち切るため、パリの料理学校に入学した運転手の娘サブリナ。2年後、洗練されて戻った彼女にデビッドは夢中になるが、弟の政略結婚のため仕事一筋の兄ライナスが彼女に近づく。

ビリー・ワイルダー監督の作品はこれで4度目のご紹介にになりますね。やっぱり面白いです。
物語は、プレイボーイに恋しているサブリナの様子から始まり、木の上やら物陰から切なそうに眺めるストーカー気味な彼女が見られます(笑)
といっても、全然可愛いんですよね。デビッドが相手にしないのは、幼馴染の可愛さに気付かないという感じみたいです。
そんな悩める彼女の味方が、お抱え運転手をする父親。なかなかに素敵なセリフを聞かせてくれる、いいお父さんでした。他の使用人たちとも仲良しで、サブリナがみんなの娘のように見えます。
一方、ララビー家の父親は、日常生活も人間関係も仕事中心に回っているような思考回路の持ち主。しかも、クローゼットに隠れて葉巻を吸ったり、オリーブがビンから出せなかったりと、どこか頼りない。ライナスが生真面目な仕事人間になるのも肯けます。
でもそんな渋くて恰好良いライナスにも、弟を彼女から引き離すために”ポケットにグラスを入れた弟を座らせ、お尻を怪我させろ作戦”を実行する非情(おちゃめ)な一面も。やっぱり親子ですね。
割と無表情な役なのですが、サブリナとともに揺れ動く感情の機微を見せてくれます。
最後まで目が離せない素敵なロマンティック・コメディでした。

<2018/05/22 再見>

いい感じに内容を忘れてきたので再見。いかにもダメな次男坊に恋するサブリナが”少女”って感じで可愛かったです。子供の頃にキスされたドキドキな経験がきっかけだったのね。
パリの料理学校で出会った76歳くらいの男爵についてはすっかり忘れていました。料理を学びに来るお爺ちゃん紳士…素敵です。ほんの数分しか出番がないのがもったいない!
サブリナの悩みを言い当て、彼女が大人の女性として自信を持てるように色々アドバイスしたんでしょうね~。そのくだりも見てみたかったなぁ。

デビッドとの再会もすっかり忘れていて、車の運転中に結構離れたところにある駅前で一人立っていたサブリナを目ざとく見つけたのには笑ってしまいました。美女センサーの精度高いなっ!
大人の女性という雰囲気をまとうサブリナに瞬く間にぞっこんになってしまうデビッドには、初見時は今更気付いたのかとあきれたけど、むしろ内面の子供っぽさが前面に出ていた頃に女として見ていたら完全にロリコンだよね。そういう点ではまっとうな男性だったんだなぁと見直しました(笑)

政略結婚を成功させるためにサブリナに近付きつつも、彼女の魅力に目的を忘れそうになるライナスの葛藤は何度見ても良いものです。ハンフリー・ボガートはどちらかというと苦手な俳優さんなんですが、やはり名優と言われるだけあって上手いですね。サブリナとの年齢差もロリコン!とか思うことなく、物語を盛り上げるスパイスくらいに感じられました。

この作品は名言も多くて、今回「おっ」と思ったものをメモしてみました。
・片想いする娘に「私はお前の母と結婚し、幸福だった。いいか、月に手を伸ばすな」
・自信をつけたサブリナが「月に手を伸ばすんじゃないわ。月が手を差し伸べるのよ」
・スフレを失敗したサブリナに男爵が「幸福な恋ならスフレが焦げる。悲しい恋をしているとオーブンのスイッチを入れ忘れる」
・サブリナが「生きがいのある生涯を送るには、傍観者でいてはいけない。人生は自分の手でつかむもの」
他にもあったかもしれないけど、印象に残ったのはこれくらいですね。

あと、冒頭はサブリナの語りから始まっており、昔話の導入みたいでシンデレラストーリーの幕開けを予感させるのも素敵です。今回はファッションにもかなり力を入れているのがわかって、とくにパーティに着ていった通称”サブリナドレス”はまさにお姫様。テニスコートでクルクル舞うとスカートがふわっと波打ち、可憐な彼女を益々可憐に見せています。”デコルテサブリナ”と呼ばれる黒いドレスや帰国時のスーツ、ヨットの時のホットパンツ姿、シルエットが美しい”サブリナパンツ”など、どれも印象的でした。

彼女が帰国後に着る服はパリのデザイナーのものを、という監督の意向で、オードリーが1人でパリの若き衣装デザイナー・ジバンシィの元を訪ねたそうです。ファッションへの情熱から意気投合して兄妹のような関係になったらしく、そういう良い関係が映画の質をさらに高めているんでしょうね。
テーマ曲の「ラ・ヴィアン・ローズ La Vie en rose 」も作品にピッタリで雰囲気を盛り上げていました。
色々気付けた点も多く、再見して良かったです。

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「七年目の浮気」観た

■ Comment

ビリー・ワイルダー最高ですよね~!ロマンチック・コメディ系では、この作品、「アパートの鍵貨します」についで好きな作品です。この映画のヘップバーン、本当にキレイですね。

実は宵野さんのブログにコメントしようとして何度かはじかれていたのですが(涙)、たぶん今はOKですよね?これが受け付けられたら、ほかにも取っておいたコメントがあるので送らせていただきま~す(笑)。
2009/06/05 14:24  Mardigras

Re: タイトルなし

ビリー・ワイルダーはどれを観ても面白いですよね!
映画を観ない人にも自信をもっておススメできます。

> この映画のヘップバーン、本当にキレイですね。

ですよね~♪
ローマのも可愛いですけど、こちらではさらに”恋する女の輝き”が増してます。

>実は宵野さんのブログにコメントしようとして何度かはじかれていたのですが(涙)、たぶん今はOKですよね?これが受け付けられたら、ほかにも取っておいたコメントがあるので送らせていただきま~す(笑)。

今までコメントはじいてしまって、ほんっとうにすみませんでした。
わたしったら分からないのに設定をいじってしまって。以後、気をつけます。
懲りずにコメントしてくれて、ありがとうございます!感謝感謝♪
2009/06/06 07:06  宵乃

連投、お許しください m(・ω・m)ソーリィ

今までBSで「麗しのサブリナ」を観ていました。
考えればヘップバーンの作品は、彼女が年老いてからのを一本観ただけなのです。
ヘップバーンを自分向きではないと勝手に思い込んでいたのですが、
ビリー・ワイルダーのことを撮った映画を数年前に観て、彼が監督した作品を是非観たいと思ったからなの。
結果結構楽しめました。ワイルダー良いですね!
もっと観たい気がしてきました。

2012/07/18 17:59  bamboo編集

Re: 連投、お許しください m(・ω・m)ソーリィ

こちらもありがとうございます!

> 考えればヘップバーンの作品は、彼女が年老いてからのを一本観ただけなのです。
> ヘップバーンを自分向きではないと勝手に思い込んでいたのですが、

それはもったいない。彼女の作品でいいのはたくさんありますよ~。「おしゃれ泥棒」なんてコミカルで楽しいです。

> ビリー・ワイルダーのことを撮った映画を数年前に観て、彼が監督した作品を是非観たいと思ったからなの。

ワイルダーのドキュメンタリー映画でしょうか?
ワイルダーも好きな作品が多いです。NHKでよくオンエアしてるので、気が向いたら他の作品にも挑戦してみて下さいね♪
2012/07/19 10:12  宵乃

ヘップバーン

>他の使用人たちとも仲良しで、サブリナがみんなの娘のように見えます。

僕も同じ事を思いましたね。周りから愛される存在。

>渋くて恰好良いライナス

ボギー。
「カサブランカ」「アフリカの女王」「黄金」とはまた違った男を演じていました。
惜しくもこの映画の3年後に死去。
まだ57歳。無念だったでしょうね・・・。
2013/12/27 05:54  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます♪
サブリナはオードリーにぴったりの役でしたね。みんなに愛される可愛い女の子そのものでした。

> 「カサブランカ」「アフリカの女王」「黄金」とはまた違った男を演じていました。
> 惜しくもこの映画の3年後に死去。
> まだ57歳。無念だったでしょうね・・・。

この作品の三年後にですか…。多くの作品で素晴らしい演技を見せてくれましたよね~。
いつまでも人々の心の中で生き続ける名優さんです。
2013/12/27 07:28  宵乃〔編集

宵乃さんのイラスト

サブリナの可憐なイメージがよく表現されてます。
素晴らしいです。

>デビッドが相手にしないのは、幼馴染の可愛さに気付かないという感じみたいです。

そう言うのってありますよね!

>そんな悩める彼女の味方が、お抱え運転手をする父親。

彼の存在も、この映画の成功の要因だと思います。

>やっぱりビリー・ワイルダー監督の作品は面白いです。

「失われた週末」「サンセット大通り」「七年目の浮気」「情婦」「お熱いのがお好き」「アパートの鍵貸します」
どれも素晴らしい作品です。
2013/12/28 16:20  間諜X72〔編集

Re: 宵乃さんのイラスト

> サブリナの可憐なイメージがよく表現されてます。
> 素晴らしいです。

ありがとうございます♪
オードリーを描く時は、どの年齢でも”可憐さ”を意識してしまいます。

> >そんな悩める彼女の味方が、お抱え運転手をする父親。
> 彼の存在も、この映画の成功の要因だと思います。

ですよね~。名脇役というか縁の下の力持ちというか、こういうキャラを描くのが上手い監督さんだと思います。

> >やっぱりビリー・ワイルダー監督の作品は面白いです。
> 「失われた週末」「サンセット大通り」「七年目の浮気」「情婦」「お熱いのがお好き」「アパートの鍵貸します」
> どれも素晴らしい作品です。

わたしもワイルダー監督は大好きです♪
未見の「サンセット大通り」も早く観たいな~。
その時はまたお話しましょうね。
2013/12/29 11:47  宵乃〔編集

大晦日

>オードリーを描く時は、どの年齢でも”可憐さ”を意識してしまいます。

宵乃さんのオードリーに対する愛情が感じられます。

>クローゼットに隠れて葉巻を吸ったり

喫煙に関して厳しい現在だったらあり得ないですね(爆笑!)
まあ1950年代ですから。

>未見の「サンセット大通り」も早く観たいな~。
>その時はまたお話しましょうね。

よろしくお願い致します。

宵乃さん。今年もお世話になりました。
良いお年をお迎え下さい。
2013/12/31 16:50  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

> 宵乃さんのオードリーに対する愛情が感じられます。

いつもありがとうございます♪
オードリーは今でも銀幕の妖精ですよね。

> 喫煙に関して厳しい現在だったらあり得ないですね(爆笑!)

あはは、そんなところを見つかったら取り上げられちゃいますね。

> 宵乃さん。今年もお世話になりました。
> 良いお年をお迎え下さい。

こちらこそ、いつもコメントありがとうございます。
映画の話ができる方がいて幸せです♪
今年もよろしくお願いしますね~。
では、良いお年を!
2014/01/01 16:42  宵乃〔編集
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