映画「不知火檢校(しらぬいけんぎょう)」観ました
このシーンをじっくり見たら、手に力が入ってなくて安心(笑)
製作:日本’60
監督:森一生
原作:宇野信夫
ジャンル:時代劇
【あらすじ】貧しい家に生まれ、両親のために人から金を騙し取る盲目の少年がいた。成長し按摩師となった徳の市は、罪悪感の欠片もなく悪の限りを尽くしてのし上がる。やがて、仲間をけしかけ師匠を殺し、盲人の最高職位・檢校となるが…。
あまりの悪役ッぷりに唖然としながら観てしまいました。
ピカレスク時代劇っていうんですか?悪漢が主役の。時代劇なのにピカレスクって…語呂がいいような悪いような。
それはさておき、この男の”悪”は少年時代から始まっていました。お祭でお酒を騙し取って両親を喜ばせる(騙し取ったことは内緒)くらいは可愛いもので、金持ってそうな男に手紙を読んでもらい『一両同封すると書いてあるのに入ってない、泥棒だ!』と詐欺師顔負けの仕事をしてみせます。
この頃から、まるで罪の意識を感じていないのが末恐ろしい!!
当然、大人になっても道徳心は芽生えず、更に悪に磨きをかけます。
しゃくで苦しむ旅人と出会い、百両持っていると知ると躊躇なく男を殺害。それを目撃していたヤクザの倉吉には口止め料五十両を渡し、今度また会いましょうと知人の証明にお守りを借ります。そして、それを死体に握らせ…。
彼にとって金や出世がすべてで、他のものは取るに足らないどうでもいいことなんですよね。
彼の欲望は尽きることがなく、隙や弱みに付け込んで女性を慰み者にし、それを苦に自殺しても「死ぬほどのことじゃないのに」と鼻で笑います。そして、偶然再会した倉吉とそ知らぬ顔で仕事をし、「ついでに」と師匠殺害までやらせてしまいました。
ここまでくると、最初の親孝行(に見えなくもない)少年時代はなんだったのかと思えてきます。もしかしたら、生きるのに必要な存在だったから良い顔をしていただけなのでしょうか?
どこまでも”悪”でしかない彼の存在感は相当なもので、全然好きではないけど強烈なインパクトを残しました。時代劇はあまり観ないほうですが、たまにドギツイのにあたって驚かされます。