忘却エンドロール

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映画「さらば、わが愛/覇王別姫」観ました

 | ドラマ  com(4) 
Tag:チェン・カイコー 香港 

さらば、わが愛/覇王別姫
読み:さらばわがあいはおうべっき
原題:覇王別姫
製作:香港’93
監督:チェン・カイコー
原作:リー・ピクワー
ジャンル:★文芸ドラマ

【あらすじ】1924年、北京。妓楼の母親に捨てられ、京劇の養成所に入れられた豆子(トウツ)。いじめられる彼をかばったのは石頭(シートウ)で、厳しい修行の日々も兄弟のように支えあい耐えるのだった。やがて、彼らはスターとなるが…。

京劇や中国の歴史に疎くついていくのが大変でしたが、とても見ごたえのある重厚なドラマでした。(以下、ネタバレ注意!)
舞台の上でしか自分を見いだせない男が主人公で、前半は辛い子供時代と石頭との友情が描かれています。
養成所に入れるため母親に六本目の指を切り落とされ、女形として心の底から”女”に成りきることを強制され、”慣わし”で西太后の宦官の慰み者にされ…。あまりにも悲惨な子供時代で、彼が自分で選んだことといえば「京劇と石頭を愛する事」だけだったように思えます。
京劇はあんなにも美しいのに、その裏で虐待にも等しい修行が行われ、子供を変態老人に差し出す醜い”慣わし”があるというのが…。また、追いかけられ捕まるだけといっても、ああいうシーンを子供が演じるのはいつ見ても胸が痛みます。

後半は、スターになった彼の”報われぬ愛”と”過酷な運命”が描かれます。
愛する小樓(石頭から改名)が結婚し、しかも相手はかつて自分を捨てた母親と同じ”遊女”。自暴自棄になった彼はパトロンに身を任せ、アヘンに溺れてゆきます。やがて、激動の時代となり文化大革命が起こった時、彼らは群集につるし上げられてしまいます。
面倒見がよく頼れる存在だった小樓が、暴力に屈し蝶衣(豆子から改名)と妻を裏切るシーンは妙にリアルでした。
小樓の妻・菊仙の存在感も彼らに負けておらず、嫉妬に狂う蝶衣を冷静にあしらうのが小憎らしいです。アヘン中毒の彼を看病してからは、しだいに優しさを見せるようになるものの、蝶衣は受け入れようとはしないんですよね。
ラストは原作とは違うようですが、これまでの蝶衣を見ていれば納得できるものだったと思います。

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■ Comment

No title

 宵乃さん、こんばんは

蝶衣(豆子から改名)と妻を裏切るシーンは妙にリアルでした>
子供時代のシーンも辛いけど、このシーンも辛い。
二人の関係は虐待で始まり虐待で終わったんですね。

菊仙の存在感も彼らに負けておらず>コン・リー、凄く良かったし上手かった。
この人が居なかったら完全にレスリー・チャンだけの映画になっていたと思います。

蝶衣は受け入れようとはしないんですよね>
幾ら憎んでも憎み足りないくらいの存在ですから、表面的には意地でも「受け入れ」られなかった。
でも、心の底では最終的に「認めてた」し、「受け入れ」てたと思います。
菊仙が傷付いた蝶衣に舞台衣装を掛けてあげるシーン。
「義姉さん、ありがとう」の言葉は本心からでしょう。
でも、蝶衣の意地が、あの行動になったんだと思います。
菊仙の最期を哀しんだのは、小楼より蝶衣のような気がするんです。

2014/04/12 22:38  鉦鼓亭編集

>鉦鼓亭さん

> 子供時代のシーンも辛いけど、このシーンも辛い。
> 二人の関係は虐待で始まり虐待で終わったんですね。

ホント悲しくて辛いシーンでした…。ふたりの関係を思い返すともうねぇ…(涙)
艶やかな蝶衣の次に、このシーンが印象に残ってます。

> コン・リー、凄く良かったし上手かった。
> この人が居なかったら完全にレスリー・チャンだけの映画になっていたと思います。

もうあまり覚えてないけど、小樓に物足りなさを覚える中、彼女の存在に目が行った気がします。蝶衣と対比しているのは彼女だったのかな?

> 心の底では最終的に「認めてた」し、「受け入れ」てたと思います。
> 「義姉さん、ありがとう」の言葉は本心からでしょう。
> 菊仙の最期を哀しんだのは、小楼より蝶衣のような気がするんです。

鉦鼓亭さんの話を聞いていたら、ちょっと再見したくなってきてしまった…。
蝶衣と菊仙を中心に観たいと思う一方、観たらしばらく鬱々としそうで怖いんですよね~。
とりあえず、オンエアがあったら録画だけしておこうと思います!(笑)
2014/04/13 14:28  宵乃〔編集

こんばんは☆

今朝、新しいPCを初めて開けたんですが、
けっこう(目とか神経が)疲れてしまって(笑)。
今までの方でコメント書かせて頂きます☆

良い機会があって、この映画を先週見ました。

>とても見ごたえのある重厚なドラマでした。
>あまりにも悲惨な子供時代で、彼が自分で選んだことといえば「京劇と石頭を愛する事」だけだったように思えます。

そうでしたね~。

>京劇はあんなにも美しいのに、その裏で虐待にも等しい修行が行われ、子供を変態老人に差し出す醜い”慣わし”があるというのが…。

1920年代から始まる、一般家庭ではない、親に縁の薄い子供達の芸能の世界ですのでね~。
また、慣わしについては、ほんの一握りの子供だけなのですが目をふさぎたくなりました、が、そういう子供だからこその主人公という意味だと思いました。

>面倒見がよく頼れる存在だった小樓が、暴力に屈し蝶衣(豆子から改名)と妻を裏切るシーンは妙にリアルでした。

あの感じはナチスに協力したパリ市民を思い出しました。

>小樓の妻・菊仙の存在感も彼らに負けておらず~蝶衣は受け入れようとはしないんですよね。

もし違う出逢い方をしたら、二人は良い友人になれたような気もしました。真ん中に入っている人間が彼では・・・。

>ラストは原作とは違うようですが、これまでの蝶衣を見ていれば納得できるものだったと思います。

あの終わり方しかなかったと思います☆ 

もう鑑賞されて長い時間が経って、詳細はお忘れかもしれませんが、
この映画を見たのでどうしてもコメントさせていただきたくて参りました。

本当に美しい、詳細まで神経のゆきとどいた、素晴らしいイラストです♪


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2016/11/28 18:35  miri〔編集

>miriさん

いらっしゃいませ!
新しいパソコンは慣れるまで大変ですよね。ゆっくりものにしていって下さい。とりあえず「高速スタートアップ」だけはすぐ無効化した方がいいですよ。起動できなくなる恐れがあるので。

> 目をふさぎたくなりました、が、そういう子供だからこその主人公という意味だと思いました。

そうですね~。特別だからこその濃厚なドラマでした。

> あの感じはナチスに協力したパリ市民を思い出しました。

ほとんどの人が暴力の前には無力ですよね…。人間はそういう歴史を何度も何度も繰り返して、技術的には進歩しても中身は…。

> もし違う出逢い方をしたら、二人は良い友人になれたような気もしました。真ん中に入っている人間が彼では・・・。

きっと蝶衣も心の奥底ではそういう風に思っていたと思いたいです!

> もう鑑賞されて長い時間が経って、詳細はお忘れかもしれませんが、
> この映画を見たのでどうしてもコメントさせていただきたくて参りました。
> 本当に美しい、詳細まで神経のゆきとどいた、素晴らしいイラストです♪

チェン・カイコー監督の傑作ですから、観たら話さずにはいられないと思います。詳細は忘れているものの大筋は覚えているし、いくつかのシーンが目に浮かぶくらいで、私も初見ですごい衝撃を受けたようです。
イラストもお褒め頂嬉しいです。自分で見返しても、かなり頑張ってるな~と思いました(笑)
2016/11/29 07:31  宵乃〔編集
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