映画「アヒルと鴨のコインロッカー」感想

読み:あひるとかものこいんろっかー
製作:日本’06
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
ジャンル:青春ドラマ/ミステリー
【あらすじ】大学のため仙台に越してきた椎名は、ボブ・ディランの歌をきっかけに隣人・河崎と知り合う。唐突に”隣りの隣り”に住むブータン人・ドルジのため、本屋から広辞苑を盗もうと持ちかけられた椎名は、いつの間にか彼のペースに乗せられ…。
<ネタバレ・毒舌注意!>
かなり評判がいいので楽しみにしていました。
最初は、主人公がおかしな隣人に騙され変なことに巻き込まれていくのを楽しく観ていたんですが、ドルジの死んだ恋人・琴美の話しが出てきたあたりから「あれれ?」という感じになってきて…。
はい、私の嫌いな復讐物でした。しかも、やり方が惨すぎます。
でも、今回それ以上に気になってしまったのが、琴美の無謀な行動の数々でした。
動物虐待&惨殺の連続犯を見つけて頭に血が昇っていたとはいえ、犯人逮捕のチャンスをつぶし、無駄に挑発。すでに犯人に目を付けられたんだから徹底的に犯人逮捕に協力すればいいのに、今度は何もしない…。警察には通報したんだろうけど、ペットショップ勤めを最大限活用し、動物好きの客と連携して似顔絵を配るくらいはしていいと思います。
警察も相当無能でイライラしましたが、彼女は無意識に犯罪を誘発しているようで好きになれません。
この中で、椎名の存在は(私的に)唯一の救いでした。
ラスト、報復で殺人未遂をしたドルジに対し、彼は”神様に見て見ぬふりをしてもらう儀式”をしてあげます。
このまま逮捕されるのを待つより自首した方が罪が軽くなるのに、あえてそうしないドルジ。そんな彼の心を少しでも軽くするために、琴美がかつてやっていたその儀式をする。次にいつ会えるかという問いに答えなかったのも、暗に自首しても良いと伝えたかった…というのは全部わたしの推測ですが、そう考えるとトゲトゲした気持も少しは和らぎました。
でも、ミステリーとしてはちょっと物足りなかったかなぁ…。
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■ Comment
>でも、今回それ以上に気になってしまったのが、琴美の無謀な行動の数々でした。
私は「ナイロビの蜂」の彼女を思い出してしまいました。
あちらは警察も信頼できないシステムだったけど、こちらは頼りないという感じだったのかな?
多分こういう人間がいないと、物語が膨らまないのかもしれませんね。
「チャンネルネコ」でオンエアしたので、見ました。
他にも色々と感じたので、明日か明後日に、虹の方にアップしますので、良かったら読んでやって下さいませ~。
2011/04/11 18:45 miri〔
編集〕
こちらにもコメントありがとうございます!
> 私は「ナイロビの蜂」の彼女を思い出してしまいました。
> あちらは警察も信頼できないシステムだったけど、こちらは頼りないという感じだったのかな?
> 多分こういう人間がいないと、物語が膨らまないのかもしれませんね。
ナイロビの蜂の彼女も大きな犠牲を出してましたしね。でも、残された者の行動をとっても、この作品は強引さが目立って入り込めませんでした。肝心のミステリー部分も、最初のドルジの話は”自分の悩みを相談する時に「オレの友だちがさぁ・・・」と始める”のと同じだと思って見ていたので、真に受けている主人公がとんちんかんに見えてしまって。まあ、彼が唯一の良心でしたが。
> 他にも色々と感じたので、明日か明後日に、虹の方にアップしますので、良かったら読んでやって下さいませ~。
読ませていただきました。「重力ピエロ」は録画してあるけど、同じ監督さんなんですね・・・。
あと、仙台が舞台だったとは、すっかり忘れてました。それは映画の内容より気になってしまうかも。最近また地震が頻繁に起こっているし、これ以上、被災地の風景が変わることのないよう願ってます。
心から安心できる日が早く訪れますように!
2011/04/12 11:19 宵乃
>最初のドルジの話は”自分の悩みを相談する時に「オレの友だちがさぁ・・・」と始める”のと同じだと思って見ていたので、真に受けている主人公がとんちんかんに見えてしまって
鋭い!宵乃さん!
私は椎名と同じで、真に受けてしまって・・・イイ年して恥ずかしいです☆
>「重力ピエロ」は録画してあるけど、同じ監督さんなんですね・・・。
読んで下さり、有難う~!
「重力ピエロ」は、違う監督なんですよ☆
監督が同じなのは「ゴールデンスランバー」という駄作です。
>あと、仙台が舞台だったとは、すっかり忘れてました。それは映画の内容より気になってしまうかも。
伊坂君は仙台ばっかりです。
知らずに見たので、仙台と聞いて、映画の内容よりも、ココ今どうなってんの?とか、ココに出ているエキストラの皆さまの生活どうなってるの?とか、気になって仕方なかったのです・・・。
あと「炎のランナー」を、宵乃さんがアップして下さったおかげで、2月に見た作品の一部が索引から抜けている事に気づきました。本当に有難う☆ 追加中です☆
2011/04/12 11:51 miri〔
編集〕
> 鋭い!宵乃さん!
> 私は椎名と同じで、真に受けてしまって・・・イイ年して恥ずかしいです☆
いえいえ、わたしは今回たまたま気付いたので偉そうにこんなこと言ってますが、この作品の評価がなかなかいいのはこの映像化の難しいトリック部分がうまくいってるからだと思います。あと、彼らの演技も。
> 「重力ピエロ」は、違う監督なんですよ☆
> 監督が同じなのは「ゴールデンスランバー」という駄作です。
あ、すみません。勘違いしてしまいました。
「重力ピエロ」は、「山の郵便配達」を見終わったら観られそうです。
> 伊坂君は仙台ばっかりです。
> 知らずに見たので、仙台と聞いて、映画の内容よりも、ココ今どうなってんの?とか、ココに出ているエキストラの皆さまの生活どうなってるの?とか、気になって仕方なかったのです・・・。
監督の故郷でしょうか?
仙台の風景をたくさん映像に残してらっしゃるんでしょうね。
2011/04/13 11:09 宵乃
こんにちは。
私もこの作品の後半部分はどうでもいい、という感じでした。
言葉の通じない遠い異国にやってきた人間の寂しさと、大学生になったばかりの椎名の心細さが、私的には一番ぐっときました。
ボブ・ディランてノーベル平和賞もらった人ですよね?
この作品で初めて記憶に残ったかも〜。
2017/03/14 00:03 ケフコタカハシ〔
編集〕
いらっしゃいませ。
やはり小説と映画では違いますから、映画化する時は、どこを描くか選ぶことも大切ですよね。
> 言葉の通じない遠い異国にやってきた人間の寂しさと、大学生になったばかりの椎名の心細さが、私的には一番ぐっときました。
全体的に記憶は薄れていますが、二人の出会いを描いた作品という印象が残ってました。二人の人間をボブ・ディランの曲が結びつけたというのが良いですよね。
私もこの作品で彼の曲と名前を記憶することができました。