映画「プレイス・イン・ザ・ハート」観ました
読み:ぷれいすいんざはーと
原題:PLACES IN THE HEART
製作:アメリカ’84
監督:ロバート・ベントン
ジャンル:★ドラマ
【あらすじ】30年代アメリカ南部。酔っ払いの黒人に保安官である夫を殺され、銀行には返済か家の売却かを迫られるエドナ。ふたりの子供とこの家で暮らしたい彼女は、流れ者の黒人モーゼスの言葉で綿花栽培を決意する。目が見えないウィルの下宿も決まり、彼らは様々な困難を乗り越えながら収穫の日を迎える。
家族を守ろうとするエドナのひたむきな姿に感動しました。
そして、仕方なく一緒に暮らし始めたモーゼスとウィルが、いつの間にか”家族”に溶けこみかけがえのない存在になっていくのも良かったです。
とくに、竜巻が近づき家も危ないという時、盲目のウィルがエドナの娘の名を必死に呼びながら家の中を探すシーンでは涙がこみ上げてきました。
もちろんモーゼスの活躍や子供たちの成長にも感動したんですが、わたしの中ではウィルがいちばん印象に残ったようです。エドナに文句を言いにきた彼がふとした拍子にお湯に触れ、彼女が入浴中だと気付きおろおろと部屋を出るシーンはわたしのお気に入りです。
―夫の死、借金、竜巻、差別。
次々降りかかる困難に家族で立ち向かう…。
定番ですが、じんわり心に染みる素敵な映画だったと思います。
2018/3/16 再見
彼女がどうして苦労してるのかすっかり忘れていたので、冒頭のエピソードはビックリしました。酔っ払いの黒人と言ってもまだ少年と言ってもいい歳で、それをあんな風にリンチしてしまうなんて…。主要人物以外の顔と名前が一致してませんが、もしかしてKKKと同じ連中でしょうか?
こういうことがまかり通っていた時代だということを最初にバンと出すことで、鑑賞者を無理なく別の時代に運んでくれます。
また、このエピソードがあるからこそ、流れ者の黒人モーゼスを受け入れるエピソードが引き立ちますよね。借金のことで誰かに構っている余裕なんて精神的にも経済的にもないはずなのに、初めて会った黒人に食べ物を分け、さらに銀のスプーンを盗まれたのに「家で雇ってそれを届けるように頼んだ」とかばうなんて!
綿花のこともあったとは言え、たぶん私が彼女だったらできなかったと思います。モーゼスにとってもビックリする出来事だったでしょうし、こんな恩があったら多少の無茶も聞き入れてしまうのも頷けます。
そして、初見時もお気に入りだった盲目のウィルのエピソードはやっぱり良かったです。彼の心の動きが初見時よりわかった気がします。
入浴中にうっかり部屋に入ってうろたえるくだりでは、自分がとんでもない失礼なことをしたというだけでなく、きっと自分の怒り(子供たちがウィルのレコードをいじった)が八つ当たりだと気付いたんでしょうね。突然入ってきた自分を止められなかったのと同じように、母親だからと言って子供たちがイタズラしないように24時間見張っているわけにはいきません。
あと、竜巻の前にエドナが息子を罰したエピソードがあって、不安を感じた娘がウィルの手をぎゅっと握るんですよ。その時、自分が頼られていることを実感したんだなぁとウルウルしてしまいました。視力を失ってから同情されたり気遣われたりするばかりで、頼られることなんてなかったんでしょう。ここの一家となら対等でいられると実感したからこそ竜巻のエピソードで娘を必死に探し、終わりの方ではエドナがどんな顔をしているのか聞いたりと、一気に距離が縮んだんだと思います。
ただ、不倫エピソードだけは浮いています。女性二人があんまり印象に残らない人で、私にはどっちかが主人公の姉か親友でもう一人は女性教師ということしか…。ラストの「愛がなければ」に繋げたかったのはわかるけど、序盤以降ほとんどエドナとの交流が描かれないのが問題。亡くなった旦那さんが教会で座ってるだけで十分だったよなぁ。しかも、自分を殺した少年も彼の横に並んでいるところがニクイ演出です。保安官として自分が油断したせいもあると思っていただろうし、あの世で友達になったのかも?
出ていったモーゼスやおそらくKKKの連中も一緒にいて、根底にある温かさがこの作品の肝だと思いました。「心の中にある場所」を意味する原題「PLACES IN THE HEART」をよく表しています。
またいつか再見したいです。