映画まとめ感想(2023/03/24)
「遠い太鼓」監督:ラオール・ウォルシュ
先住民が出てくる普通の西部劇かと思ったら、何気に人間ドラマもあってそれなりに見ごたえありました。ヒロインも添え物じゃなく、きちんと背景や内面が描かれてたし。主人公(ゲイリー・クーパー)と惹かれ合う流れも自然でした。セミノール族の追撃を受けながら湿地帯を抜ける過程では、ワニや蛇なんかも出てきて冒険感あります。あの行程を薄着で歩いてたヒロインは虫刺されやヒルで散々だったんじゃないだろうか(汗)終盤は川での決闘シーンで、まさかの水中戦も見られます。でも、最後こうやって全面対決(双方犠牲者を多数出した後)するなら、最初に制圧した砦に立てこもって迎え撃った方が良かったんじゃないかなぁ…。白人を良く描き過ぎな感じはあったものの、映画と割り切れば楽しめると思います。
「復讐の荒野(1950)」監督:アンソニー・マン、原作:ニーヴェン・ブッシュ
タイトルから家族を殺されたガンマンの復讐劇かなと思ったら、父娘の愛憎劇と牧場経営者同士の確執などが絡み合った見ごたえあるドラマでした。まず特徴的なのが、1950年の作品なのに登場人物の女性たちがみんな強いんですよね。主人公である大牧場主の娘バンスからして男顔負けの気の強さで、牧場経営のことなら父親よりも上手くやれる自信があり、兄でなく自分が後継者なのも当然だと思ってます。TCを恨んでいるのを知っていてリップが自分になびくと確信してるところは、ある意味年相応で可愛く見えてしまったり。彼女の他にも、TCの土地に居座るメキシコ人一家の母は銃を持って徹底抗戦の構えだし、TCの後妻は窮地にあってもしたたかさを忘れていなかったし、銀行の頭取の奥さんは真の支配者オーラがすごかったです(笑)一方で、強くなければ生きていけないんだろうなと思える厳しさも描かれてます。序盤で娘との関係が面白いと思っていたTCが、まるで別人のように娘に対して残酷なことをするエピソードにはゾッとしました。口約束なんて信用できないとは言っても、あまりの仕打ちに涙が。これは復讐されても仕方ないわ…。復讐の仕方も今までTCがやってきただろう”相手の足元をすくう”やり方で納得のいく展開。5万ドルの使い方も良かった。すべてを失ったTCの様子も含めて、本当に最期まで彼らしかったです。
「星のない男」監督:キング・ヴィダー、原作:ディー・リンフォード
1作品録画失敗して図らずも西部劇を立て続けに3本見ることに。主人公と彼を慕う若者、そして冷酷な牧場経営者のヒロインの人間性がどうも受け付けなくて、あまり楽しめなかったです。でも有刺鉄線のことに言及してるを考えさせられた西部劇は「シェーン」以来初めてだった気がするので、色々と考えながら見られました。先住民と血で血を洗う争いをしてまで手に入れた土地で、今度は開拓民同士で殺し合い奪い合い、さらには東部から来た冷血インテリが金と法の知識で甘い汁を吸うだけ吸ってポイしてたとか地獄のようだなぁ…。まあ、血塗られた歴史がない国なんて存在しないだろうけど。