何となく再見。洪水に沈む町での現金争奪戦ですね。今見ると「洪水になるかも」っつってんのに家や教会を守ろうと居残る女どもに、うざいを通り越して怒りが湧いてきます。主人公と強盗団が命がけの攻防に突入する原因は、双方の若者(主人公含む)が不用意に銃を出すせいだし、何気に”悪い見本”をしっかり描いて教訓を提示する作品かも?三つ巴の展開はまあまあで、モーガン・フリーマンが彼らしい役を卒なく演じてました。あと崩壊していく洪水の町の描写はかなり頑張ってたんじゃないかな。個人的には、ヒロインが自分を襲おうとしている男に対してではなく、これから男を殺さなければならないということに恐怖しているシーンが一番良かったです。その後、一人殺すのも二人殺すのも同じだと割り切るのではなく、自分に銃を向けてきて初めて殺す覚悟を決めたところと、結局仲間に助けてもらって極限状態から解放されて思わず倒れ込むところも良かった。序盤の行動の印象の悪さを、後半演技力で覆した女優さんがすごい。
12/22「恐怖の報酬【オリジナル完全版】(1977)(きょうふのほうしゅう)」
前に観たのとは別物かというくらいに画面がクリアで驚いてたら本当に別物だった…。これリメイクだったんですね。確か53年版は雨のシーンとか真っ暗で、ギラギラ光る主人公たちの眼くらいしか見えなかった覚えが。結構忘れていた上に再見だと思い込んでいたのもあり、序盤の登場人物紹介エピソードのところからついていくのが大変でした。投資家?とギャングはわかったけど、後の二人のことがよくわからないまま鑑賞。それでもグイグイ引き込まれるものがありました。命がけの仕事に、車の整備から入るのがいいよね。あんなボロ車に命を預けるなんてホントよくやるよ。道中も目が離せない展開で、とくにボロい吊り橋のシーンは一体どうやって撮影したんだろう。進むたびに壊れていくあの絶妙さ…、狙ってできるものなの!?時限装置を作るくだりも面白かったし、救われないラストも良かった。きっとこの作品は地獄を描きたかったんだろうなぁ。英語題SORCERERには「魔法使い」だけでなく「運命を司るもの」とかいう意味があるそうで、彼らは死神に気に入られちゃったのねと思いました。
1/4「天気の子(てんきのこ)」
まったく期待してなかったんだけど「君の名は。」より楽しめました。犯罪がどうこう言われてたけど、家出少年が主役でファンタジー要素(かなりふわっとした設定)があるならこれくらい良いのでは。私は「ルパン三世」くらいの感覚で見てました。個人的に面白かったのは、ヒロインの弟君のことを(恋愛の)センパイと呼び続ける主人公の性格です。どこまでいっても思春期ボーイで、世界よりも好きな人を選んじゃう思い切りの良さとラストの東京の有様がダイナミックで良かったです。「世界なんて元から狂ってる」というセリフもあるし、そもそも本当に人柱を拒んだせいでこうなったのかどうかはわからないもんね(代償を知らされず力を手に入れるとか悪魔との取引より悪質だし)。ただ、新海監督の昔の作品と比べると心に残るかというというと微妙なところ…。ラストの東京の風景がもっと美しく神秘的だったらなぁと、水没フェチな私は思ってしまいました。