忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「アバウト・ア・ボーイ(あばうとあぼーい)」

 | ドラマ  com(5) 
Tag:ヒュー・グラント 

原題:ABOUT A BOY
製作:アメリカ’02  100分
監督:クリス・ワイツ 、ポール・ワイツ
原作:ニック・ホーンビィ
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】ノース・ロンドン。亡き父がクリスマス・ソングで一発当て、お気楽な印税生活を送る38歳独身のウィル。後腐れないシングルマザーとの恋愛に嵌った彼は、デート相手が連れてきた友人の息子マーカスと出会う。彼らは少年の母親フィオナの自殺未遂現場に居合わせ、それがきっかけでマーカスはウィルのアパートに入り浸るようになり…。

大昔に見て★を付けてたので再見。ヒュー・グラントが空っぽ男を見事に演じていてよかったです。
初見時はたぶん気付いてなかったけど、タイトルの”少年”はマーカスだけでなく大人になりきれてないウィルのことも指していたのか~。二人の”少年”が出会って時間を共有し、少しずつ相手の存在が自分の生活の一部になっていくのが見ていて心地よかったです。
一人で気楽に生きるために誰にも必要とされない人間であろうとし、同時に自分には何もできないと感じていたウィル。でも、そんな彼の何気ない言動がマーカスの気持ちを軽くしていたというエピソードが印象的でした。自分にとってはほんの小さなことでも、相手にとってはそうじゃないこともあります。

最初はカモを殺してしまった時、学校では友達に見捨てられ頼れる味方なんていないと思っていたマーカスを、ウィルは警官から庇います。それはデート相手の手前だったからかもしれないけど、マーカスにとっては思いがけないことだったし、とても嬉しくて安心できる出来事でした。
そして二回目は母親が自殺しないか不安だと打ち明けるマーカスに、「くそっ(なんてこった!)」としか言えなかったエピソード。ウィルは自分には子供の相談に乗るなんて無理なんだというような軽い自己嫌悪を感じていましたが、マーカスの方は正反対で”救われた、不安が消えた”とウィルへの友情と信頼を深めています。母親と自分二人だけではダメだと痛感していた彼にとって、ウィルが感情のままに漏らしたその一言で”もう二人きりではない”と実感できたのでしょう。

また、ウィルの方もマーカスと過ごした時間が増えるにつれて変わっていきます。
最初の方の、会話もなく同じソファでテレビを見ているだけで二人の距離感が変わってくるくだりがいいんですよね。ウィルの心の壁がじわじわ、じわじわと浸食されて、最後には一緒にいても気にならない関係になっていく感じが。
二人の間で起きた出来事は片手で数えられる程度のものだし、どれも映画としてはそう大きな出来事ではありません。でも小さな出来事の積み重ねで着実に二人の絆は深まっているし、ウィルが人生初の本気の恋に破れた時、何もない空っぽな自分の中でマーカスだけは意味のある大切なものだったと気付く展開に説得力がありました。

最後”社会的自殺”をかまそうとするマーカス少年を助けに駆け付けたウィル。おそらく子供時代に父親のクリスマスソングを人前で歌ってトラウマに近いものを抱えていたんでしょう。それでも舞台の上に、マーカスの横に立つことを決意するところにはホロリ。
なんだかんだでラストはアメリカ映画的でしたが、マーカスがウィルの恋を応援するところは、結婚してウィルの家に入り浸れなくなっても大丈夫だから安心しなよ、という少年の成長が伝わってきて感慨深い気持ちになりました。…最初から常に”ウィルよりマーカスの方が大人だった”というのがこの作品らしいです(笑)

書き忘れ追記(2020/04/02)
社会的自殺を止めに車で向かっている時の”「表現するのは止められないわ」「彼が表現しようとしてるのは君だ!」”のやりとりが印象的でした(忘れてたのに)。マーカスの母親と衝突するのは2回目なんだけども、1度目はマーカスが信頼する友人を得たんだと知って彼女は安心し、この2度目では自分が間違えた時に指摘してくれる相手がいると知って、やっと彼女は”心の余裕”を取り戻せたんだと思います。
ウィルを選んだマーカスの眼に狂いはなかった!

■ Comment

こんにちは☆

>大昔に見て★を付けてたので再見。ヒュー・グラントが空っぽ男を見事に演じていてよかったです。

私も再見しました、9年半ぶりでした。

>初見時はたぶん気付いてなかったけど、タイトルの”少年”はマーカスだけでなく大人になりきれてないウィルのことも指していたのか~。
>…最初から常に”ウィルよりマーカスの方が大人だった”というのがこの作品らしいです(笑)

ああ、そういう風に見るのも良かったんですね☆
私はこの映画はよく分からないまま見たように思います(笑)。

>母親と自分二人だけではダメだと痛感していた彼にとって、ウィルが感情のままに漏らしたその一言で”もう二人きりではない”と実感できたのでしょう。

マーカスの気持ちを読み取っておられますね!

>ウィルが人生初の本気の恋に破れた時、何もない空っぽな自分の中でマーカスだけは意味のある大切なものだったと気付く展開に説得力がありました。

そうですね、小さな出来事が全部そうなっていったんですね!

>なんだかんだでラストはアメリカ映画的でしたが、

そういえばそうでしたね、イギリスの映画なのに
あのラストシークエンスはちょっと驚くんですよね、
でもありかな?と納得できますよね・・・。

>少年の成長が伝わってきて感慨深い気持ちになりました。

二人の成長物語なんですね?

恥ずかしいくらい自分のことしか書いていませんが
感想をアップします。
宵乃さんの記事で、目が見開かれたようになりました、有難う♪


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2020/03/27 12:16  miri編集

>miriさん

いらっしゃいませ、miriさんも久しぶりの再見でしたか。奇遇ですね~。

> ああ、そういう風に見るのも良かったんですね☆
> 私はこの映画はよく分からないまま見たように思います(笑)。

見方は人それぞれだと思いますが、私は今回はこの解釈がしっくりきた感じです。次見たらまた変わるかも?

> そうですね、小さな出来事が全部そうなっていったんですね!

さりげない積み重ね描写が上手い作品でした。

> そういえばそうでしたね、イギリスの映画なのに
> でもありかな?と納得できますよね・・・。

あらら、イギリス映画でしたか!
allcinemaでアメリカ映画とあったので勘違いしてました。ロンドンが舞台でヒュー・グラント主演なのになぁ?と思った時に確認すればよかった…。修正します。
心がほんわか、おおらかになれるラストでしたよね。

> 二人の成長物語なんですね?

そうですね、二人とも主役の二人の成長物語だったと思います。

> 宵乃さんの記事で、目が見開かれたようになりました、有難う♪

いえいえ、いつも読んでくださってありがとうございます。
この作品についてお話できて嬉しかったです♪
2020/03/28 07:44  宵乃〔編集

すみません

もしかして「イギリスの映画なのに」というのは舞台がイギリスなのに、という意味でした?
念のため英語版Wikipediaで調べたらアメリカ、IMDbにはアメリカ/イギリス/フランス/ドイツと書かれていてよくわからなくなってきました(汗)
…とりあえず制作会社はユニバーサルピクチャーズなのでアメリカということにしておきます。
2020/03/28 08:17  宵乃〔編集

おひさしぶりです

詳細な部分は忘れましたが印象の良い映画だったと記憶に残っています。過去記事を探ってみるとありました。7年近く前に観ていて、自分で書いた感想に笑ってしまいました!

>ご都合主義でなく皆がそれぞれ繋がるラストに好感が持てる大好きな映画でした。ヒュー・グラントとニコラス・ホルト君の絶妙なコンビがとても良かった!今回大怪我をして実家やメール一本寄越さない妹の本音があからさまに見え隠れし、もう故郷は捨てたと思っていたタイミングだったから、繋がっていくのは血縁のみじゃないとさらに強く感じれました。永久保存版にしたい心温かくなれる映画をありがとう。

すっかり忘れていて、何べん読みなおしてもおかしくておかしくて・・・
当時よっぽど頭に来てたんだね(は・は・は)
読みなおす機会を与えてもらいありがとう! これも映画ならではのことかもしれませんね。
2020/03/31 14:27  しずく

>しずくさん

いらっしゃいませ♪
しずくさんもお好きな作品でしたか。私も再見するまではすっかり内容を忘れていたけど、初見時に付けた★は間違っていなかった!
しずくさんも機会があったらぜひ再見してみてください。

> 自分で書いた感想に笑ってしまいました!
> 当時よっぽど頭に来てたんだね(は・は・は)

あはは、当時の心情に寄り添ってくれる作品だったんですね~。
映画(映画に限りませんが)はそういうことがあるからやめられません。ウィルとマーカスのように、実は海面下で繋がっている島を大事にしていきたいですね。

> 読みなおす機会を与えてもらいありがとう! これも映画ならではのことかもしれませんね。

こちらこそコメントありがとうございます。感想を共有することで得られるものも多いので、これからも機会があれば色んな映画について語り合いましょう♪
2020/04/01 08:31  宵乃〔編集
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