忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「チャイルド・イン・タイム(ちゃいるどいんたいむ)」

 | ドラマ  com(2) 
Tag:イギリス 

原題:THE CHILD IN TIME
製作:イギリス’2017 84分
監督:ジュリアン・ファリノ
原作:イアン・マキューアン
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】児童文学の作家であるスティーヴは、スーパーマーケットで幼い娘ケイトを見失った。娘の失踪により妻ジュリーとの関係も悪化し、彼は罪悪感に苦しみながらもケイトを探すことに没頭していく。3年後、深い悲しみを抱きながらも教育委員会の仕事と執筆でなんとか毎日を過ごす彼だったが…。

娘を誘拐された主人公スティーヴを、カンバーバッチさんが演じていてとても良かったです。どこにでもいる普通の父親であり夫である主人公の心情を、繊細な演技で見せてくれました。
こんなことがあれば夫婦の間はぎくしゃくするし、お酒に頼りがちになるのも仕方ないことなんだけど、それでも希望を捨てずに前を見る夫婦の姿に涙が…。「あの子がまだどこかで生きていると思う?」と奥さんに聞かれて「いなくなればわかるはずだから…」というような言葉を返し「そうね」と納得する。一緒にいるとどうしても”あの子だけがいない”という現実が突き刺さってしまうけど、想いは同じなんですよね。

だから心までは離れないよう、お互いのことがわかる距離感でいようとする二人がいじらしい。音楽を教えている奥さんが、旦那にピアノをやってみないかと誘ってみたり。練習した成果を録音して送り、彼女を驚かせてやろうと練習を頑張る姿に”癒し”の兆しが見えます。
きっと”時間が癒してくれる”という言葉は、ただ時間が過ぎればということではないんでしょうね。積み重ねる毎日の出来事がなければ、ただの空っぽの時間では癒しも何もない…。

言葉よりもシーンと演技で伝えてくる作品で、静かながら映画の醍醐味を味わえました。
とくに印象に残ったのが、奥さんが暮らしている田舎のパブで、窓越しに女性と目が合うシーンです。言葉はなくても、この二人の間に何か通じ合うものがあったんだと伝わってきます。そして、その後に別の場所で同じように窓越しに目が合うシーンがあって、なんらかの転機を予感させるんですよね。

ふとした瞬間に聞こえてくる、見える娘の幻覚。見知らぬ少年。
解決したわけではないし希望の根拠なんてものはないけど、二人が娘のためにできる”帰ってくるまで、変わらずあの子の親であり続けること”はきっとこの二人にならできるのだろうと思えました。
主人公の友人のエピソードについてはいまいちよくわからなかったけど、心に残る作品で見られてよかったです。

■ Comment

No title

宵乃さん、お久しぶりです、元気でいらっしゃいますか?
僕は去年の暮れに一回更新したけど、また空いています

主役のバッチさん(書くと長いので略)は人気俳優になって結構経ちますが
最初はちょっと苦手で、「うーむ、この人の顔はどうも馴染めんなあ」と
思ってたんですが、ドクターストレンジを見てからは結構渋くてかっこよく見えるようになりましたね。
ストレンジがなければ苦手なままだったでしょうから
そう考えるとアベンジャーズ様々マーベル様々なのです。
なかなか凄味のある表情できるので悪役も似合いそう。

この作品は僕はスターチャンネルの無料放送で見ました。
あそこは有料だけどたまに無料でやってくれるので助かります。
だいぶ忘れてるんですが、確か教育委員会の会議、的な場面でバッチさんも出席していて、「スウェーデン(だったかノルウェーだったか)ではアルファベットを教えずに口答で言葉を覚えるそうだから、我々も取り入れよう」と意見に「そんなの馬鹿げてる。イギリスにはイギリスのやり方がある」みたいにバッチさんは反対する、っていう場面だけ何故か覚えています。
そりゃ僕もアルファベット教えない話が本当だったら驚きですけど、イギリスごときがスウェーデンにかなうわけないだろって言いたくなりましたね。
北欧はヨーロッパではかなり先進的ってイメージ持ってます、先入観かもしれないけど

友達の子供がえりは僕もよくわからなかったですが
引退してのんびり暮らそうとしても心はストレス社会で病んでしまっていた
…って解釈しか出来ませんねえ
2022/04/11 17:51  バーンズ

>バーンズさん

いらっしゃいませ、お久しぶりです!
3月末に家族でノロウイルスにやられてゲーゲーしてましたが、今は元気です(笑)
色々と落ち着かない世の中ですが、自分のブログではお互いマイペースにやっていきましょうね。

>ドクターストレンジを見てからは結構渋くてかっこよく見えるようになりました

私も結構苦手意識が強かったんですが、最近は渋さがでてきて味わいある俳優さんという印象です。ホント、悪役も似合いそうだし、これから渋い役が増えていきそうで楽しみ~。

教育委員会の会議のエピソードはすっかり記憶の彼方ですが、妙なシーンが記憶に引っかかるという体験は私も覚えがあります。これだから他人の映画感想は面白いですよね。

>イギリスごときがスウェーデンにかなうわけないだろって言いたくなりましたね。

あはは、ズバッと言いますね。スウェーデンは社会保障とか進んでる部分がピックアップされる(逆に言うとそれ以外の部分があまり伝わってこない)から、私もなんとなく近未来的なイメージ持ってます。それに対してイギリスは王室とかゴシップ記者、食文化と人間味を感じられるので身近な印象。新しいことを取り入れる柔軟性で言えば、スウェーデンの方が上というのもわかる気がします。

>引退してのんびり暮らそうとしても心はストレス社会で病んでしまっていた

これも忘れてしまいましたが、主人公と何か対比の構図になってたんですかね~?
いつか再見することがあれば、彼にも注目してみたいと思います。
コメントありがとうございました♪
2022/04/12 10:35  宵乃〔編集
名前
タイトル
URL
本文
非公開コメント

■ Trackback

.