忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「ミネソタ無頼(みねそたぶらい)」

ミネソタ無頼
原題:MINNESOTA CLAY
製作:イタリア・フランス・スペイン’64 95分
監督:セルジオ・コルブッチ
ジャンル:★西部劇

【あらすじ】無実の罪で投獄されたミネソタ・クレイ。日に日に視力が弱っていた彼は、自分の無実を証明するために脱獄し、故郷へと向かう。だが、そこは保安官の座を得た無法者フォックスが我が物顔で町を支配していた。クレイを憎むフォックスは、彼を今度こそ地獄に突き落とそうと動き出す。

これは久々に痺れる西部劇でした。
まず主人公が私的にとても好感度高いです。脱獄囚だけど無実の罪で投獄されてたし、無血脱獄でドクターとの友情がキラリ。脱獄してきてどこにやってきたかと思えば、故郷の町というのが人間らしい。
しかも、脱獄囚だということをわきまえていて色々と配慮できる人だし、なんというか奥ゆかしいんですよね。亡き妻に生き写しな娘ナンシーと、その娘にぞっこんな若者の未来を陰ながら応援する姿にしみじみ。最後まで”育て親の親友”として娘を想いやってました。

一方、彼と敵対するフォックスのキャラも良かったです。力づくで保安官の座につき、町から高額のみかじめ料を巻き上げる男で、美女に翻弄されることなく引き際も心得ている悪党でした。
とくに、主人公を憎んでいた理由がとてつもなく個人的すぎるのが逆に良かったです。一般的には小物だと嗤われそうな理由ですが、それだけこだわっているというのが今までの行動からもわかります。終盤、主人公を倒すためにナンシーを盾に使った時は、本当に心の底から”本物”だけを求めていたんだなぁと感動してしまいました。
だって、普通なら良くも悪くも意識しそうなものなのに、まったく眼中にないんだもの。こういうところがとても好き。

西部劇らしくクライマックスも盛り上がります。眼病を患う主人公が音を頼りに、暗闇に紛れて複数の敵を次々と倒していくのがカッコいい(暗くて映像もよく見えないのに!)。そして、酒場で待つフォックスは銃声が聞こえるたびに外の様子が気になって、それでも今から出ていけば自分が撃たれるだけだから待つしかないと手元のグラスに意識を戻そうとする。…が、再び銃声が響き…というのを繰り返す描写が素晴らしい。
張り詰めた空気がありありと伝わってきて、このシーンだけでも見る価値あると思います。

ラストは予想外すぎて笑えてきたんですが、たまにはこんなのもいいですよね。
ピースを組み合わせられるペアネックレス?の使い方とか、裏切りは女のアクセサリーと言わんばかりの悪女の矜持なんかも良かったです。
ちなみに原題は主人公の名前「ミネソタ・クレイ」です。クレイと無頼じゃ”い”しか被ってないよ(笑)

関連記事
映画「殺しが静かにやって来る(ころしがしずかにやってくる)」

■ Comment

名前
タイトル
URL
本文
非公開コメント

■ Trackback

.