忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「人生はシネマティック!」観た

 | 戦争ドラマ  com(6) 
Tag:イギリス 

人生はシネマティック!
読み:じんせいはしねまてぃっく
原題:THEIR FINEST
製作:イギリス’2016 117分
監督:ロネ・シェルフィグ
原作:リサ・エヴァンス
ジャンル:★ドラマ/戦争/ロマンス

【あらすじ】1940年、第二次世界大戦下のロンドン。コピーライター部の秘書だったカトリンは、新作プロパガンダ映画の脚本家としてスカウトされた。ダンケルクの戦いでの双子姉妹の活躍を描く事になった彼女は、画家で傷痍軍人の夫を支えるため必死に映画を成功させようとするが…。

戦争と人生と映画をバランスよく描いた作品。
夢いっぱいのタイトルに惹かれて見たところ、いつ空襲で死ぬかわからない第二次世界大戦下ロンドンの描写が辛くて序盤は後悔しました。でも、そんな中でも人を愛し映画を愛する人々の描写が素晴らしく、最後には「見て良かった」と思えたんですよね。
ナチュラルな魅力のジェマ・アータートンさんと、安定のビル・ナイが好演してます。

実話を基にと言いつつ、制作者側の都合と映画の面白さのために変わっていくストーリー。
「大切なのは信憑性と楽観だ」をモットーに、いろんな人たちの意見を聞きつつ柔軟に物語を組み替えていきます。その”いろんな人たち”の中に双子姉妹が入ってないところが危ういものの、戦時中であること、そして彼らの「いい映画を作りたい」という情熱もあって応援できました。

とくにカトリンを脚本家にスカウトした情報省映画局の特別顧問バークリーの『人生の1時間半を捧げたくなるような映画を作りたい』という一言がグッときます。
戦意高揚映画だろうと、上からの注文で思うように撮れなかろうと、見た人が心から「見て良かった」と思える作品ができるならそれでいいんですよ。やはり映画に携わる人たちにとって一番の喜びはお客さんの笑顔なんだろうなぁ、とほっこりしました。

また、過去の栄光にすがる老俳優も良かったです。最初は我儘なおじいちゃんという感じだったのが、ズバズバ言うエージェントにお尻を叩かれ、カトリンに上手いこと乗せられて若き英雄くんの演技指導まで引き受けることに。
意外と扱いやすいおじいちゃんですが、さすが名優だけあって、彼を立てるために変えた脚本で一気に映画が魅力的に。劇中劇だけじゃ物足りなくて、彼らがつくった作品を見てみたいなと思えました。

残念だったのは、突然の死を二回も描いてしまったことですね。
一度目は本当に突然で戦時中というのはこういうものなのだと考えさせられたのに、二度目はお話の都合で死んだ感が強くて先が読めたし、一気に醒めてしまいました。まあ、それを乗り越えて人々の生活が続いていく描写はどちらも良かったんですが…。

とは言えラスト、映画館で観客たちと一緒になって自分の映画を楽しむくだりは感動的で、とくに思っても見なかったワンシーンにホロリとするところはもらい泣きしそうでした。(その前に泣きそうになったのが、主人を亡くして寂しそうに寝そべるわんこの姿だったり)
映画を作る映画が好きならお勧めです。

■ Comment

2度めのは、

かわいそうすぎますよね。私も一番に書きました!
プロパガンダであっても、人々を楽しませることができたら。
映画の存在意義を示してもらえると、うれしくなります。
2019/05/21 09:16  ボー編集

>ボーさん

ボーさんも同じ感想を持たれましたか!
現実に悲劇は突然やってくるものだというのはわかるけども、どうにも素直には受け止められませんよね。

> プロパガンダであっても、人々を楽しませることができたら。
> 映画の存在意義を示してもらえると、うれしくなります。

今までプロパガンダ映画だと若干引き気味で見てましたが、戦争で不安や悲しみに包まれている人たちを笑顔にしていたんだと思うと映画に罪はないと思えるようになりました。
ほんと、映画って素晴らしい!
2019/05/21 13:27  宵乃〔編集

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2019/05/29 21:46  

こんにちは☆

シネフィルWOWOWでオンエアがあって、こちら昨日見ました☆

>戦争と人生と映画をバランスよく描いた作品。
>夢いっぱいのタイトルに惹かれて見たところ、

その通りですね~!
ちょっと前に見た「プラネタリウム」というのも
戦時下の映画製作の話・等で、フランスでしたが、
どちらもたいへんな時代に、今なら考えられないあれこれで
作られてゆくのが分かって

そしてどちらも、ナチスの非道がほとんど描かれていなかったので
ホッとして見られました。

>安定のビル・ナイが好演してます。

最近この人のあまり良くない役柄等での出演作をいくつか見たので
この映画は良かったですね、準主役でしたし!

>実話を基にと言いつつ、制作者側の都合と映画の面白さのために変わっていくストーリー。

まあ今現在もそうなんでしょうね、
ただ契約書が当時とは雲泥の差でしょうけど(笑)。

>その”いろんな人たち”の中に双子姉妹が入ってないところが危ういものの、

これは入らないのが普通のように思います。
もちろん今現在は違うのでしょうけど?

>『人生の1時間半を捧げたくなるような映画を作りたい』という一言

私も人生の1時間半をささげる映画を見たいといつも思っていますが
そのセリフが、ちょっと、あるお店のキャッチフレーズに似ていて
ちょっとだけ引っ掛かりました(翻訳についてです)。

>やはり映画に携わる人たちにとって一番の喜びはお客さんの笑顔なんだろうなぁ、とほっこりしました。
>また、過去の栄光にすがる老俳優も良かったです。
>彼らがつくった作品を見てみたいなと思えました。

仰る通りですね、ただ、あの作品は、私的には
主人公の横のおばさんと一体化して、一緒に見たと思えました。

あのちゃっちー船とか、私の好きな30~50年代の映画に
よく出てくるので、安心して見られました!

>二度目はお話の都合で死んだ感が強くて先が読めたし、一気に醒めてしまいました。

私はあの人は死ななければならないと思って見ていました。
ただ、死ぬ前にお互いの気持ちが伝わったのがビックリで
何も分からないまま、誤解したまま死んでいった人が
現実には多かったと思います。

二人のあのシーンを入れただけ、監督さん達・優しかったのでは?

>まあ、それを乗り越えて人々の生活が続いていく描写はどちらも良かったんですが…。
>とは言えラスト、映画館で観客たちと一緒になって自分の映画を楽しむくだりは感動的で、

そのあたり、本当に良かったです。
ただ、私的には、全体的には「普通」という感じの作品でした。


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2019/07/24 10:54  miri〔編集

イラスト、良い感じです☆

書き忘れました!
終盤の老俳優が訪問したところのシーンですよね?
違ったら教えてください!

女優さん本人よりイイ感じ描かれています。
役柄の性格というか・・・伝わってきますよ♪


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2019/07/24 10:57  miri〔編集

>miriさん

コメントありがとうございます!
戦時中の映画製作を題材にしてる作品が他にもあるとは。陰惨な描写がないなら見やすそうです。いつか機会があったらそちらも見てみますね。

> 最近この人のあまり良くない役柄等での出演作をいくつか見たので
> この映画は良かったですね、準主役でしたし!

色々出演してますもんね。この作品は彼の持ち味も出ているし、いい役でホント良かったです。

> これは入らないのが普通のように思います。

個人の発言力は皆無に等しい時代ですけど、戦時中なら工作員がいそうだし、あんまり事実と違うと「あれは嘘っぱちだ」と情報操作のネタにされかねないかなと思ったり…。

> あるお店のキャッチフレーズに似ていてちょっとだけ引っ掛かりました(翻訳についてです)。

似たキャッチコピーがあるんですか。映画を見る時に「知らなければ素直に感動できたのに」ということって結構ありますよね…。

> 主人公の横のおばさんと一体化して、一緒に見たと思えました。

おぉ、それこそ映画体験!
良い映画鑑賞をされたようで良かったです。

> 二人のあのシーンを入れただけ、監督さん達・優しかったのでは?

むしろ直前に思いが通じ合うシーンがあったからこそ”死を劇的にするために入れた”という印象を強くしてた気がします。彼は戦場に行って死ぬと思ってたのに…。

> そのあたり、本当に良かったです。
> ただ、私的には、全体的には「普通」という感じの作品でした。

えー、登場人物と一体化したのに!?

> 終盤の老俳優が訪問したところのシーンですよね?
> 違ったら教えてください!

えっと、確か初めて映画の仕事で「面白い!」となったところです。男性二人が黒板に色々書いていって、上の要望を取り入れつつプロットを組み立て直したたところ…だったかな。

> 女優さん本人よりイイ感じ描かれています。
> 役柄の性格というか・・・伝わってきますよ♪

ありがとうございます。結構悩んだんですが、やはり映画作りの楽しさが描かれてるシーンがいいかなと、このシーンを選びました。
2019/07/25 11:02  宵乃〔編集
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