映画「モン・パリ(もんぱり)」観ました
原題:L'EVENEMENT LE PLUS IMPORTANT DEPUIS QUE L'HOMME A MARCHE SUR LA LUNE
NIENTE DI GRAVE, SUO MARITO E INCINTO [伊]
A SLIGHTLY PREGNANT MAN [英]
製作:フランス・イタリア’73 96分
監督:ジャック・ドゥミ
ジャンル:★コメディ/ロマンス
【あらすじ】自動車教習所を経営する中年男性マルコは、体調がすぐれないのを恋人イレーヌに心配され病院で診てもらうことに。しかし、そこで思ってもみなかった診断を下される。なんと太り気味のお腹は妊娠のためだと言うのだ。そのニュースに世界中の人々が沸き立ち…。
面白かった~。1973年にこんな題材でこんな楽しい作品が世に出ていたとは!
このおおらかさはフランスとイタリア合作だからこそなのかな?
以下、ネタバレを含む感想となっているので未見の方はお気をつけて。
最初は「ロシュフォールの恋人たち」の監督さんだからロマンスものなのかなぁと思ってたんですが、なんともまあ大らかで幸せに満ち溢れた世界を描いたラブコメでした。
何がどう大らかなのかと言うと、ぽっこりお腹の中年男性マルコが”妊娠した”というニュースに、みんなが「すごーい、人類の進化だねー!」と歓迎ムードなところです。女性たちは「これで男性も女性の気持ちがわかる」と喜んでいるし、男性の中にも喜んでいたり面白がっている人がほとんど。
ネガティブな人もいるはずですが、感情的に反対している人はわざわざ描かず、人口急増を危惧する程度にとどめているところが見やすかったです。
たぶん内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモン)が懸念され始めた頃に作られた作品なんでしょうね。メスのオス化とか騒がれていた気がするし。
人類の進化だと歓喜していた学者さんと、最初にマルコを診察した何の医者だかよくわからない女医さん(白衣を着てないからカウンセラーかと思った)が、完全に浮かれた調子なのも面白い。主人公のことを貴重なデータくらいにしか思っていなさそうだけども、嫌な感じはまるでしない見せ方でした。
あと、マタニティ・ドレスなどを作っていた会社が専属契約を持ちかけてきて、街中が妊夫のマルコ一色に染まっていくところもいいですね。ゆったりしたズボンを履いた彼が乳母車を押しているポスターがいかにもな感じでリアル!
自分の美容院を広くしたいと思っていたフィアンセが、強気の交渉で「生まれてくる子の10年間の教育費と有給休暇、そして好評ならギャラ1万ドル(だったかな?)上乗せ」とガッポリもぎ取るところが男前でした。
反対に妊娠してからめっきり優しくなったマルコの表情なども良かったです。生まれてくる子供のためにもきちんとしたいとプロポーズするところは、母性的父性が発揮されてました。
喫煙家だったのが自然と禁煙し始めて、周りにちやほやされても夫婦(仮)仲は良好。最初は戸惑っていたフィアンセも生まれてくる子供が待ち遠しいといった具合で、男性が妊娠する世界もいいかもしれないと思えます。
だからこそ、祭りが終わっても二人なら乗り越えられると思えるんですよね。
友人たちに見守られての結婚式、そして奥さんの告げる幸せな一言に笑顔で見終えられました。
旦那さん妙に可愛いと思ったらマルチェロ・マストロヤンニだったのか!(そして奥さんはドヌーヴ。相変わらず顔が見分けられないです)
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