映画「太陽は光り輝く」観ました

読み:たいようはひかりかがやく
原題:THE SUN SHINES BRIGHT
製作:アメリカ’53 90分
監督:ジョン・フォード
原作:アーヴィン・S・コッブ
ジャンル:★ドラマ
【あらすじ】南北戦争から40年。未だそのしこりの残るケンタッキーの田舎町で、老判事プリーストは再選のために日々アピールを行っていた。ある日、知り合いの黒人の甥っ子に近郊の砂糖きび畑を紹介するが、少年はそこで起きた白人少女暴行の犯人にされてしまい…。
あ~、これは心に染みますね。見終わってウルウルしてしまいました。
最初は老判事プリーストさんがのんべぇで懐古主義(嫌な感じではない)で仕方がないおじいちゃんだなぁと思ってたら、後半にはもう「情婦」の老弁護士さんのように印象が変わってました。信念を曲げない強い人なんですよ。
それがハッキリわかるのが、黒人少年が町の人達にリンチされそうになった事件。判事にとっては再選のために一票でも票が欲しい時期にもかかわらず、怒り狂う町人たちを敵に回しても少年を信じます。毅然とした態度で話し合いから始め、最後には扇動者に対して『撃ち合いになればお前を必ず撃つ』と言い放ちます。これがもう格好よくって!
正直、町の奥様方に売り込む時の口の上手さとか見た時は、いい加減な奴っぽいなぁと思ってたので、そんな風に思ってごめんなさい!
他にも、自分が本当に正しいと思うことなら敬愛する将軍の意に反することもするし、町の嫌われ者である娼婦たちに対しても他と変わらぬ態度で接し、赤の他人である少女の将来を父親のように心配してます。まさに清廉潔白な人なので、のんべえで召使に子供みたいなわがままを言うなどの欠点がないとバランスが取れないよなぁと妙に納得。
ある一人の女性の尊厳を守るため、そして彼女を大切に想う人たちの想いを無碍にしないために、葬列に加わる終盤は感動でした。彼の行動に他の人たちも行動を起こし、ついには外聞を気にしていた将軍も葬儀には駆けつけてくれて。結果的に判事の行動が、娘のように思っていた少女の未来を明るいものにするんですよね。
現代なら上手くいきすぎな話かもしれませんが、それもすんなり受け入れられてしまうのは、この時代の作品が持つ大らかさのせいでしょうか。
ラストは改選後のお祝いに町の人たちがパレードを行い、そこには「判事はUS(黒人少年の名)を俺たちから守った」というプレートを持って参列する町人たちの姿も。向かいの家から将軍がサーベルを顔の前に持って敬礼?したり。判事が感無量といった雰囲気で涙ぐんでいるのが印象に残りました。
でも、ラストで部屋に戻っていく後姿が若干燃え尽きた感があるというか…。そのままぽっくりいかないか心配になったり(汗)
古き良き時代の名作だったと思います。
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■ Comment
>あ~、これは心に染みますね。見終わってウルウルしてしまいました。
良い映画でしたよね~☆
7月頃にオンエアがあったのですが、最近鑑賞されたんですか???
>「情婦」の老弁護士さんのように印象が変わってました。信念を曲げない強い人なんですよ。
私も同じ人を思い浮かべました!
>のんべえで召使に子供みたいなわがままを言うなどの欠点がないとバランスが取れないよなぁと妙に納得。
そうですよね(笑)。
良い人で、ダメなとこもある人ですね、高みから見ているのではないところが本当に良かったです♪
>葬列に加わる終盤は感動でした。彼の行動に他の人たちも行動を起こし、ついには外聞を気にしていた将軍も葬儀には駆けつけてくれて。結果的に判事の行動が、娘のように思っていた少女の未来を明るいものにするんですよね。
ここすごかったですよね、葬列に感動したのはあまり多くないし、あの子(少女というよりはちょっと大人だったような?)の未来がね!!!
>現代なら上手くいきすぎな話かもしれませんが、それもすんなり受け入れられてしまうのは、この時代の作品が持つ大らかさのせいでしょうか。
>古き良き時代の名作だったと思います。
作られたのが1953年で、舞台は南北戦争後40年ということなので、今現在の目線では見てはならない話だと思いますし、それで多くの人が納得すると思います。
>判事が感無量といった雰囲気で涙ぐんでいるのが印象に残りました。
>でも、ラストで部屋に戻っていく後姿が若干燃え尽きた感があるというか…。そのままぽっくりいかないか心配になったり(汗)
イラストはそのシーンですよね? とても良いです☆
私は燃え尽きたようには見えませんでした。 ただ、疲れていたからぽっくりいってもおかしくはなかったかもしれないけど(笑)
あの二人が(多分、結婚許可をもらうために)来ていたので、きっと大丈夫だったでしょう。
今年見た映画で一番、いや今までに見た全ての映画の中でも、本当に後味の良い作品でした♪
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いらっしゃいませ~、ホントいい映画でした。
観たのは音楽映画祭の直前ですね。観るのと記事を出すタイミングが遅くなってしまいました。
> 私も同じ人を思い浮かべました!
> 良い人で、ダメなとこもある人ですね、高みから見ているのではないところが本当に良かったです♪
ですよねですよね!
こういうところが親しみを感じられて、町の人たちにも愛されてるのも説得力ありました。
> 葬列に感動したのはあまり多くないし、あの子(少女というよりはちょっと大人だったような?)の未来がね!!!
> 今現在の目線では見てはならない話だと思いますし、それで多くの人が納得すると思います。
私もまさか葬列でこんなにポジティブな方向で感動するとは思いませんでした。いろんな想いが詰まった葬列でしたよね。現代劇じゃ絶対無理です。あの子(あの時代の未婚女性なら17歳くらいかなと思って見てました)にとって、忘れられない日になったと思います。
> イラストはそのシーンですよね? とても良いです☆
なんとなく「エド・ウッド」のベラ・ルゴシの庭のシーンを連想してしまいました(汗)
二人もいるし、きっと大丈夫ですよね。
> 今年見た映画で一番、いや今までに見た全ての映画の中でも、本当に後味の良い作品でした♪
こんな名作を今まで知らなかったなんて!
モノクロが大丈夫な人なら誰でもお勧めできる作品でしたね。
コメントありがとうございました♪
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