忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「コーラス(こーらす)」観ました

 | ドラマ  com(12) 
Tag:フランス 

コーラス
原題:LES CHORISTES
製作:フランス’04 97分
監督:クリストフ・バラティエ
ジャンル:★ドラマ/音楽

【あらすじ】1949年、フランスの片田舎にある寄宿舎「池の底」では、親をなくした子どもや素行に問題ある子どもたちが暮らしていた。新たに赴任してきたマチューは、子どもたちの心を開くため合唱団の結成を決意する。やがて、学校一の問題児ピエール・モランジュが素晴らしい歌声の持ち主だとわかり…。

これいいですよね~。手が付けられない悪ガキと言われていた子供たちが、合唱によって心が一つになっていく様子が見事に描かれています。その過程の見せ方が上手く、省略するところは省略しつつ時間の流れは自然に感じられるようになっていて、上達してくのに説得力があるんですよね。たった97分の作品に、彼らとマチュー先生の過ごした時間がぎゅうッと詰め込まれています。(譜面台役の子はあれで満足してたのかな…?)

とくに天使の歌声と称されるピエール君のソロ!
もちろん全員での合唱も素晴らしいんですが、彼が歌いだすと時間が止まってしまいそうな、「フランダースの犬」のラストみたいに天使が降りてきそうな(笑)感じがするんですよ。
マチューにとって彼は夢を叶えるチャンスをくれた天使であり、そして彼をあるべき場所に導くことが自分に与えられた使命のように感じているようでした。

印象的なのが、初めて人前で歌ったエピソード。母親のことで喧嘩して「君がいなくても合唱はできるんだよ」とソロパートをなくしてしまうんだけど、本番になって突然ソロパート復活!
歌う喜びを歌声と表情で目いっぱい表現するピエールは、きっと自分にとって”歌うこと”がどれだけ大事なのか、自分のすべきことが何なのかわかったでしょう。
この少年は実際にサン・マルク少年少女合唱団でソリストを務めるほどの実力者で、他の役者さんに勝るとも劣らない表現力でした。

また、中には心を開けないまま別れてしまった生徒もいてリアリティありました。その遺恨が何か悪いことを引き起こすのでは…と不安も感じさせつつ、決して後味が悪くなるような展開にはせずに決着をつける(彼にとっては何も終わってないけど)ところが素晴らしい。
出かけている時を狙ったのは、やりやすかったからという理由だけでなく、元クラスメイトやマチューを憎んでいたわけじゃないからだと信じたいです。もし濡れ衣騒動がなかったら、一緒に歌っていたかもしれないよね…。
遠くから寄宿舎を眺める彼の目に、満足感だけでなく寂しさも見えるような気がしました。

ラストは思わずニッコリ。可愛いペピノがずっと待っていたものはこれだったのか!
一度決めたらテコでも動かない、曲げない子なんですが、本当に賢明な子なんだなぁと。バスが止まった時の笑顔が可愛かったです。
現在だったら警察沙汰になりそうだし、校長が警察に届け出たらヤバかったと思うけど、あの二人ならきっと幸せな未来が待ってると思えました(冒頭でもわかりますが)。
再見できてよかったです。

<2018/11/22 追記>
なんとなく久しぶりに「プチ・ニコラ」を再見したら、なんとマチュー先生が出てました!
現実ではこの作品の5年後、舞台設定的には20年後ですね(そうは見えないから完全に同じマチュー先生というわけではないのかもしれないけど)
嬉しくて思わず写真を撮ったので、気になる方は「プチ・ニコラ」の記事へどうぞ。

■ Comment

No title

陰険で冷笑的で酷薄残忍で厚顔無恥なわたしが泣きましたよエンディング。

いい映画を教えてくださってありがとうございます。

くう~~~~~もっと早く見たかったぜい!
2018/10/16 01:28  ポール・ブリッツ編集

>ポールさん

おぉ、ポールさんも堪能できたようですね。
私も感動してウルウルでした。
この企画が良い作品との出会いに繋がって嬉しいです♪
2018/10/16 08:03  宵乃〔編集

観ました

こんにちは。
コレ観てみましたよ〜。
マチューさんは教師の理想みたいな方でしたね。
中でも暴力的な生徒はマチューさんの手に余ったというエピソードには凄くリアリティを感じました。
日本の◯8先生だとああいう生徒も改心させちゃうんでしょうけど笑。
2018/10/24 10:29  ケフコタカハシ〔編集

>ケフコさん

お、ご覧になりましたか!
ホント、あんな素敵な先生に教えてもらいたかったなぁと思いました。
全てが上手くいくわけじゃないところもアクセントになっていましたよね。

> 日本の◯8先生だとああいう生徒も改心させちゃうんでしょうけど笑。

あはは、見たことないけどそんなイメージは持ってました(笑)
夢物語と思われない程度には現実的な夢のあるお話って難しいんでしょうね。
コメントありがとうございました♪
2018/10/25 08:12  宵乃〔編集

こんばんは☆

イラスト良いですね、先生の心まで伝わってきます♪

>ラストは思わずニッコリ。可愛いペピノがずっと待っていたものはこれだったのか!
>一度決めたらテコでも動かない、曲げない子なんですが、本当に賢明な子なんだなぁと。バスが止まった時の笑顔が可愛かったです。

あの子は両親の事分かっていたんですよね、とても切なくなります。。。
でも、仰るように冒頭でも分かりますが、良い人生を歩んできたんですよね・・・。

宵乃さんの記事、とても真っ直ぐな視線で書かれていて、その通り!って感じですが
私には少し冷たいところがフランス映画らしくて何とも言えない感じです。

あの悪い子のその後を思うと胸が痛みますね。。。
譜面台の彼はきっと多分、それぞれの役割があることを学んで、良い大人になったように思います。

記事をアップしましたので、お時間いただけたらお願いします☆


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2018/10/26 20:33  miri〔編集

追伸☆

たくさん映画を見られたんですね!
3つの「一言映画感想」の記事にも、少しずつコメント書かせて頂きますね☆


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2018/10/26 20:41  miri〔編集

>miriさん

いらっしゃいませ!
いつもイラストにもコメントありがとうございます。寂しそうに合唱を見てるモランジュ君に、ほら、君の番だよとアイコンタクトするシーンだったはず。理想の父親みたいな先生ですよね~。

> あの子は両親の事分かっていたんですよね、とても切なくなります。。。
> でも、仰るように冒頭でも分かりますが、良い人生を歩んできたんですよね・・・。

周りから見たら無駄な行動も、彼にとっては願掛けというか儀式というか、願いのために自分ができる精いっぱいのことだったんですよね。それが最高の形で実を結んで、人の思いには力があるんだと思えました。今考えるとマチュー先生がこの学校に来たのも、彼の願いが届いたのかもしれません。

> 私には少し冷たいところがフランス映画らしくて何とも言えない感じです。
> あの悪い子のその後を思うと胸が痛みますね。。。

モランジュ君がすっかり忘れてるところは寂しすぎますよね。よっぽど忙しい人生を送っていたのか、実は自分の手紙を拾ってもらえなくてショックだったのか…(汗)
不良の子はボクサーとかになれば人生やり直せるかも…。根はそう悪い子でもなさそうだったので、いい出会いさえあれば…。

> 譜面台の彼はきっと多分、それぞれの役割があることを学んで、良い大人になったように思います。

文句も言わず頑張ってましたよね。物わかりが良すぎてビックリしてしまいましたが。
譜めくりなど地味ながら大事な仕事もありますし、人の役に立つ喜びがわかる子だったんでしょうね~。

> 3つの「一言映画感想」の記事にも、少しずつコメント書かせて頂きますね☆

ありがとうございます。ゆっくりお待ちしてますね♪
2018/10/27 09:15  宵乃〔編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/10/28 09:19  

こんばんは。

楽しく鑑賞できました。
そんな今回の企画に感謝です。(^^)/

>中には心を開けないまま別れてしまった生徒もいて

観ていて、どんな過程で更生していくのが興味津々でしたが、あのような事になるとは…。
ハリウッド映画では更生→感動となるのが一般的だと思いますが、ある意味リアルなフランス映画に脱帽。

ラストの紙飛行機のシーンは感動しました。
全てを回収しなかったのは、校長の件もあったのかもしれないという宵乃さんの解釈も頷けますね。

ではでは、ありがとうございました。(^^)
2018/10/29 20:51  白くじら編集

>白くじらさん

今回のリクエスト作品、楽しんでいただけたようで私も嬉しいです♪

> ハリウッド映画では更生→感動となるのが一般的だと思いますが、ある意味リアルなフランス映画に脱帽。

私も内容をすっかり忘れていたので、あのままお別れになってしまう展開には驚きました。フランス映画の中でもかなり見やすい部類ですが、ちゃんとハリウッド映画とは違うというところもあってよかったですよね。

> 全てを回収しなかったのは、校長の件もあったのかもしれないという宵乃の解釈も頷けますね。

きっと仲良しな先生か誰かが、あの後ぜんぶ回収して宅配便で送ったと信じたいです!

コメントありがとうございました。
2018/10/30 13:02  宵乃〔編集

No title

こんにちは!やっと見ることができました!!
いや~、いい映画でしたね!!(^^)

>マチューにとって彼は夢を叶えるチャンスをくれた天使であり、そして彼をあるべき場所に導くことが自分に与えられた使命のように感じているようでした。

過去に音楽で挫折をしてるんですよね??その辺の前振りもあって、彼のひたむきさは良かったですね!!


>歌う喜びを歌声と表情で目いっぱい表現するピエールは、きっと自分にとって”歌うこと”がどれだけ大事なのか、自分のすべきことが何なのかわかったでしょう。

計算どおりにいって良かったですが、憎い演出でしたよね!信頼関係ができあがってたんでしょうね!!

>出かけている時を狙ったのは、やりやすかったからという理由だけでなく、元クラスメイトやマチューを憎んでいたわけじゃないからだと信じたいです。

なるほどです!!クラスメイトやマチューを憎んでなかった、という解釈は素敵ですね!そうあって欲しいと僕も思います!!!(^^)

決して褒められる行為ではありませんが・・(^^ゞ

>ラストは思わずニッコリ。可愛いペピノがずっと待っていたものはこれだったのか!
一度決めたらテコでも動かない、曲げない子なんですが、本当に賢明な子なんだなぁと。バスが止まった時の笑顔が可愛かったです。

あの最後の笑顔は可愛かったですね!よく机の上に座り続けましたよね・・・(^^ゞ

フランス映画は苦手ですが、この映画は短いこともあり、一気に見ることができました!素敵な映画の出会いを作っていただき感謝です!!(^^)

新しいブログに記事を書きました!本当に久しぶりですが・・(^^ゞ
2018/11/04 14:14  take51

>take51さん

いらっしゃいませ!
ご覧になったんですね。楽しまれたようで良かったです♪

> 過去に音楽で挫折をしてるんですよね??その辺の前振りもあって、彼のひたむきさは良かったですね!!

ですよね。音楽とは関係ない場所で出会った二人が、音楽で絆を深めていく展開が良かったです。仰る通り、あのソロのシーンは二人の信頼関係が伝わってきました。

> そうあって欲しいと僕も思います!!!(^^)
> 決して褒められる行為ではありませんが・・(^^ゞ

ああいうやり方しか知らない彼なりの配慮だったと思いたいです。miriさんとも話したんですが、ボクシングなどなら彼も更生できそうですよね~。

> フランス映画は苦手ですが、この映画は短いこともあり、一気に見ることができました!素敵な映画の出会いを作っていただき感謝です!!(^^)

フランス映画は苦手でしたか~。この作品はフランス映画的なところは少なめで誰でも見やすい作品だったと思います。take51さんに喜んでいただけて私も嬉しいです♪
2018/11/05 08:00  宵乃〔編集
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