映画「バスケット・ケース」観た
原題:BASKET CASE
製作:アメリカ’1982 93分
監督:フランク・ヘネンロッター
ジャンル:★ホラー
【あらすじ】バスケット・ケースを抱え、NYの安ホテルへやってきた青年ドゥエイン。彼は双子の兄ベリアルのため、かつて兄を殺そうとした医者たちを探し出す。だが、そこで出会ったクリニックの受付嬢シャロンとドゥエインが恋に落ち…。
これは切ねぇ…。思わず泣いてしまいました。
異形ゆえの孤独、兄弟の絆…などのキーワードにピンときた方は、ネタバレを避けて映画を見てください。何にも知らずに見るのが一番面白いと思います。
以下、ネタバレありの感想です。
最初はいかにもなB級ホラーという感じがして、笑いながら見てたんですよね。
兄ベリアルの造形がチープでなんだか間抜けだし、ストップモーションで描かれる動きがぎこちなくて見てて(転んだりしないか)不安になります。
あと、食事の時にバスケットケースにポイポイ食べ物を放り込むドウェインの雑さがいい。缶詰そのままって(笑)
力任せに復讐を果たしていく様子はぜんぜん怖くなくて、顔面にメスとか刺さるシーンなんかは「頑張ってるなぁ」と微笑ましくなりました。
でも、後半になって彼らの背景がわかってくると一気に切なさが増してくるんですよね。
出産時に母親を亡くし、醜いシャム双生児だったために父親に憎まれてきたこと。それどころか、金に物を言わせて医者にベリアルを取り除かせるなんて残酷にもほどがあります。手術時のベリアルの悲鳴といったら…!
生理的嫌悪感を抱かせるには十分な造形をしていたベリアルが、いつの間にかドゥエインと同じただの子供に見えてきました。
とくに唯一の理解者である祖母の優しさに触れている時、とても穏やかな目をしているんですよね。ずっと大好きなお祖母ちゃんと暮らせていたら、きっと医者への復讐なんて考えなかったでしょう。
ドゥエインもベリアルのことを大切に想っていて、トイレの便器に隠れていた兄をすぐ抱き上げるくらいには仲良しです(笑)
そんな兄弟の絆の強さが双子同士のテレパシー(切り離されてベリアルしか使えなくなった)という形でも表れており、それが終盤の悲劇に繋がってしまうんですよね。
一人では外を出歩くことはできず、何もかもを弟に依存しなければならないベリアル。誰もが自分を一目見るなり悲鳴を上げて、恐怖に顔を引きつらせます。それに対し、ドゥエインはわき腹の手術痕の他に変わった部分はなく、それどころか見た目は好青年?なのでモテモテです。
双子なのに理不尽なまでに境遇が違い、テレパシー能力のために隠し事ができない二人…。ベリアルにとって青春を謳歌する弟はどうしようもないくらいにうらやましかったはずですし、同時に自分から離れていってしまうかもしれないという寂しさと恐怖を感じる出来事だったと思います。
悲痛な兄弟喧嘩の末に、まるで繋がっていた頃のように二人が横たわっているラストが印象的でした。
ちなみに、タイトルの意味は入れ物としてのバスケット・ケースのほかに、(手術などで)両腕両脚を切断された人という意味も含まれているようです。
あと、何気に三部作なんですが、続編はこの作品の良さをぶち壊す展開のようなので、この作品が好きなら見ない方が良いかも。…ホント、ちょっと気になって調べたのを後悔したので、調べない方がいいと思います。
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